New Yorkのジャズピアニスト、クニ三上(Kuni Mikami)のブログ

ツアーの様子を中心にお伝えしています。

エリントン楽団、イリノイ工科大学にて

2008-03-31 21:36:43 | New York
今日はイリノイ工科大学での演奏。会場が狭いのでエリントン楽団も7人編成となっがアレンジがシッカリしているから響きもおかしくないし、かえって小人数の各セクッションの音がハッキリ聞こえて、アレンジの絡み具合が判って面白い。
 飛行機は昼の12時発だったのにトランペットが乗り遅れた。彼はプエルトリコ出身でリハーサルにも遅刻常習だ。暑い国の人にありがちな傾向だが。・・・
 という訳で、シカゴの空港に着いてからホテルまでの車の中で皆、一斉に携帯を取り出して地元のトランペットを探す。1時間後に発見!シカゴは大都会だからプロのミュージシャンも多いが、これが地方の町だったらジャズメン探しは難しかっただろう。今回のリーダーのジャックがホッとしたような顔になる。彼はベース・トロンボーン奏者、70歳後半だからデュークとの演奏も経験している貴重な現役だ。演奏にはテキサスからの歌手も参加して、夜の11時まで続いた。
 シカゴに親戚のあるメンバーも多く、演奏後にそれぞれが知人たちと過ごした様子で、若手のサックスのアンソニーは地元のジャズクラブのジャムセッションに行ったとかで朝の5時にホテルに戻って、7時の出発時間までそのまま寝ずにいたと言う。元気だね~、身体もデカイけど。
 戻ったNYは晴天、樹々に小さな緑が芽吹いている、風は冷たいが、もう春だ。





結婚式場でのキャバレー・ルル

2008-03-29 21:27:25 | New York
 ピアノ一人での伴奏の場合、演奏しながら舞台での動きや歌手の合図も目で追っていなければならないのでなかなか忙しい。舞台に出る人が電源や楽譜台用ライトのコードを踏んではずれたりする事のないように、と気を使う。
今日はマンハッタンの東にあるロングアイランドでのキャバレー・ルル。シャンデリアのある結婚式場だ。隣の部屋でもアイリッシュの歌手を入れた小さな催しをやっていて、賑やかな昼下がりだった。




ウェストポイントでのキャバレー・ルル

2008-03-22 21:14:51 | New York
 今日のキャバレー・ルルはマンハッタンから北へ1時間の士官学校ウエストポイント内のホテル。軍の学校だから門を通過する際は厳重な警戒で、免許証やパスポートなどのID証を必ず持参しないと入れない。こんな場所にわざわざ攻撃をかける無謀で間抜けなテロリストが存在するとは思えないのだが・・。以前、老人を乗せたバスが警備兵に止められて全員がIDを確認させられたせいで、ショーの始まりが30分遅れたこともあった。
 今日のステージは2度目なので、ショーの流れもあせらずもたれず、良い塩梅となった。初日はどうしても舞台に出る順番や曲の出だしのイントロに戸惑う。
 ここは周辺がベア・マウンテン(熊山脈)という国立公園だから、緑がとても奇麗な風光明媚な所である。窓の外を、マンハッタンで見るよりも数倍川幅が広くなったハドソン川の上流が、ゆったりと流れている。

(仕官学校のホテル)

ジョージ・ジー・オーケストラ

2008-03-21 02:15:01 | New York
 今日の夜は「ジョージ・ジー・スイング・バンド」との仕事。46丁目(レストラン街と称されている)にある「Swing46」という老舗のジャズクラブ。ステージの前にダンス用に広いスペースが空いているこのような形式のクラブはNYでもここだけ、内装もレトロで洒落ている。
 開始の8時半にまばらだったのに、10時ごろにはダンスするカップル達で賑わい、ブロードウェイ帰りの着飾った紳士淑女もカウンターで飲んでいる。1950年代の古き良き時代を彷彿とさせる。ダンサー達も、踊りながら目当ての相手を口説こうというわけでもなく、それぞれパートナーを交代しながら純粋に体を動かし、汗をかき、帰っていく。殆どの人がダンス教室で習っているプロ級のレベルだ。だからピアノを弾きながら横目でステップを眺めているのも楽しい。音楽はベイシーやグッドマンの懐かしきビッグバンドの名曲ばかりだから、これもやっていて楽しい。




キャバレー・ルル

2008-03-11 02:40:52 | New York
 今日はキャバレー・ルルの演奏だった。キャバレーといっても、ホステスさんがお客さんを囲んで、という店ではない。大体アメリカには、女性がいてお客は男性だけという形式の店は存在しない(ストリップのライブハウスがそれに近いが)。キャバレーとは、ブロードウェイの役者やその新人たちが、歌と語りで一人芝居を構成しピアノの伴奏で進めるショーの事だ。マンハッタンにはキャパ50席位のそのような店が多い。
 キャバレー・ルルは70歳になってもまだまだ元気な女性コメディアン、ルシール・ゴールド(通称ルル)が中心となって、3人の現役ブロードウェイ歌手が共演する。毎月テーマが変わり、「聖パトリックの日」の3月のテーマは「アイリッシュ」だから、曲も「ダニーボーイ」や「マイ・スイート・アイリッシュ・ローズ」となる。
 会場はブロードウェイの劇場街の46丁目。入場券を買った人が「結婚式に招待されたお客」になる設定で行なわれる「トニーとティナのウエディング」というロングランのオフ・ブロードウェイ・ショーが行なわれている小劇場である。ここは10年前は「インディゴ・ブルー」という、オープニングにはマイルス・デイビスも顔を出した、短命なジャズクラブだった。
 我々のショーは70歳前後の世代を対象にしたランチを食べながらの催しで、毎回100人、多い時は300人位がバスに乗ってやってくる。ルルのジョークと歌と寸劇の1時間半でお客さんは楽しい午後を過ごす、という仕組みで、時間がたっぷりある老人達に好評である。