マイルスカフェ

　東京の池袋にある「マイルスカフェ」は若いミュージシャン達に器材やＰＡシステムの整った環境での演奏の場を提供してきた貴重なライブハウスである。

　自身がトランペットを奏するオーナー（もちろん名前はマイルスさん）は、この店で寺子屋スタイルでのレッスンも開催していて、営利学校システムでのジャズ伝承教育に疑問を感じる私には、このマイルス氏の姿勢は小気味良い。

　そして遂に今年、ここＮＹに「マイルスカフェ・ＮＹ」をオープンさせてしまった！

　小さなエレベーターから一歩踏み出すと、そこはソーホーのロフトを思わせる洒落た、しかし華美でない空間が出現する。ここで「ほほぅ、なかなか」なんてニンマリすると、ステージのあるライブスペースを見て「ええっ！」みたいな驚きを受ける。

　ジャズの本場ニューヨークといえども、新品のドラム、ベース、スタンウェイ・グランドピアノ、音響器材まで揃っている店は皆無である。しかもステージの照明の素晴らしいこと！

　ブロードウェイの役者達が歌で綴る一人芝居の「キャバレー（といって日本のキャバレーとは無関係の、小劇場のことである）」にも十分に使える会場だ。

　マイルスが、ニューヨークに、こんなに素晴らしい空間を創出させた「やったね！マイルス」。