1890年後半、この街がゴム景気で盛況だった時代に建築されたアマゾナス劇場でのコンサート。
内部はカーネギーホールを思わせる豪奢さである。ピアノはスタインウェイ社製のフルコン。今日は私の演奏前に州立楽団が3曲演奏してくれる。そこのベースとドラムと共演の予定だ。
リハになって共演者が来たら、エレキベースだった。「ジャズのスタンダードは譜面がないと出来ません」との事。今までのブラジリアンのミュージシャン達は曲を知っていたので私は慌てる。「しまった!」楽譜を持って来ていない。急いでコードを手書きする。
リハの時間も少なく、「大丈夫かな」・・でコンサートは始まってしまった。
州文化局来賓からの挨拶、日本国総領事の挨拶、州立楽団の演奏、そして私がソロピアノで20分、続いてドラムのAirton Silva(アイルトン・シウバ)、ベースのHudson Alves(フジソン・アウベス)両氏がステージに登場。「エリントン・メドレー」おや、なかなかやるじゃないの。キャラバンのサンバとジャズを混合したドラム・ソロの見事なこと。
次の曲で披露したファンキーなベース、私も思わず嬉しくてニヤニヤしてしまう。シャッフルのブルースも出来るじゃありませんか!さっきのリハとは大違い、最後の「Watermelon Man」では私にも新鮮なアイデアを沸かせてくれる好サポート。いや~、やってて実に楽しかった。500人以上のお客さんの反応も上々。
国際交流基金ジャズピアノのブラジル・ツアーの最終日にふさわしい「会場」「ピアノ」「演奏内容」となった。
「コンクリートの大都会・サンパウロ」「きれいな海岸の街・レシフェ」「整然とした近未来都市・ブラジリア」「露店の小都市・ベレン」「アマゾンの中心地・マナウス」と数日ずつの滞在だったが各地の違いを楽しめた。
駆け足の旅だったので、私の各地の印象も偏っているかもしれないが、ご容赦願いたい。
各地のコンサートが成功裏に終わったのは、各領事館・大使館、交流基金関係者の皆さんのご尽力のおかげである。感謝の念に堪えない。
アマゾネス劇場
マナウス州立楽団
共演者と