New Yorkのジャズピアニスト、クニ三上(Kuni Mikami)のブログ

ツアーの様子を中心にお伝えしています。

ブラジル公演記最終日

2009-10-24 10:18:00 | 2009年10月ブラジル
 アトランタ経由でNYへ戻る飛行機の出発は夜の11時というので、昼間はアマゾン川の眺望の良いレストランで食事、そして「アマゾン自然科学博物館」を訪れる。

 30年前に創立した橋本さんの収集した見事に綺麗な蝶や魚の剥製が展示されている。水槽には2mくらいもある魚が二匹「さっき食べたやつです」と言われても、切り身だったのでこの大きさは判らなかった!

 今日は実に暑い、夏に向かって、ますます暑くなるのだろう。ブラジルで出会った皆さん、お元気で。

 コンサートの様子は月曜日のテレビニュースで放映される。



ブラジル公演記16日目「マナウス」

2009-10-23 20:05:00 | 2009年10月ブラジル
 1890年後半、この街がゴム景気で盛況だった時代に建築されたアマゾナス劇場でのコンサート。

 内部はカーネギーホールを思わせる豪奢さである。ピアノはスタインウェイ社製のフルコン。今日は私の演奏前に州立楽団が3曲演奏してくれる。そこのベースとドラムと共演の予定だ。

 リハになって共演者が来たら、エレキベースだった。「ジャズのスタンダードは譜面がないと出来ません」との事。今までのブラジリアンのミュージシャン達は曲を知っていたので私は慌てる。「しまった!」楽譜を持って来ていない。急いでコードを手書きする。

 リハの時間も少なく、「大丈夫かな」・・でコンサートは始まってしまった。

 州文化局来賓からの挨拶、日本国総領事の挨拶、州立楽団の演奏、そして私がソロピアノで20分、続いてドラムのAirton Silva(アイルトン・シウバ)、ベースのHudson Alves(フジソン・アウベス)両氏がステージに登場。「エリントン・メドレー」おや、なかなかやるじゃないの。キャラバンのサンバとジャズを混合したドラム・ソロの見事なこと。

 次の曲で披露したファンキーなベース、私も思わず嬉しくてニヤニヤしてしまう。シャッフルのブルースも出来るじゃありませんか!さっきのリハとは大違い、最後の「Watermelon Man」では私にも新鮮なアイデアを沸かせてくれる好サポート。いや~、やってて実に楽しかった。500人以上のお客さんの反応も上々。

 国際交流基金ジャズピアノのブラジル・ツアーの最終日にふさわしい「会場」「ピアノ」「演奏内容」となった。

 「コンクリートの大都会・サンパウロ」「きれいな海岸の街・レシフェ」「整然とした近未来都市・ブラジリア」「露店の小都市・ベレン」「アマゾンの中心地・マナウス」と数日ずつの滞在だったが各地の違いを楽しめた。

 駆け足の旅だったので、私の各地の印象も偏っているかもしれないが、ご容赦願いたい。

 各地のコンサートが成功裏に終わったのは、各領事館・大使館、交流基金関係者の皆さんのご尽力のおかげである。感謝の念に堪えない。


アマゾネス劇場


マナウス州立楽団


共演者と

ブラジル公演記15日目「マナウス」

2009-10-22 19:42:00 | 2009年10月ブラジル
 ベレンと違ってこの街「マナウス」ではホテル周辺に、日用品、服やカバンを売る露店が見当たらない。旧市街にはあるらしいが。

 今朝の気温は「東京18℃」「NY14℃」「マナウス29℃」である。

 朝9時出発、アマゾナス州立大学の音楽学部でのワークショップである。

 午前中は私の演奏を交えてジャズの歴史を話し、生徒にも弾いてもらう。午後は生徒の演奏へのコメントとアドヴァイス。各2時間で長かったが、皆熱心で、ここにはジャズ科は無いのだが演奏もなかなか上手である。

 ここから700Km奥の部落に生まれたインディオの青年は「耳で学んだ」というのに素晴らしい演奏。天性の才能がある。

 夜はトロピカル・ホテルでちょっと離れた地域で毎年6月に行われる赤・青2組に分かれてのダンスの競演をショーに構成した踊りを見る。

 ここで予期せずピラニアのスープを食べる。白身の魚の入ったチャウダーという風味で美味しかった。から揚げも美味いと言う。この獰猛な魚を食べる人間の方が一枚上手だ。

 ここに住む皆さん、半袖である。考えるに、マラリアやデング熱を持つ蚊にさされる確率は予防注射の際にNYの医師が脅かしたほどではなく、NYや東京で交通事故にあう確率に近いのかも知れない。まあ、車は大きく見えるが蚊は小さいので除けるのに困るが。防虫スプレー出る幕無し。

 NHKの衛星放送が映る。「東南アジアの蝶ツアーで入国できない蝶を持って帰った」という犯人の男性(53)の職業は「アルバイト」となっている。学生じゃあるまいし、過去にも同じような企みで逮捕されているのだから「企業家」くらいに書いて欲しかったのでは?

 「勉強会で集まっていた人達に強盗」という報道。朝5時半に集まってこの20人は何を勉強していたのか?犯人が奪った金額が3万円。ブラジルまで流すようなニュースなのか?



ブラジル公演記14日目「マナウス」へ

2009-10-21 20:30:00 | 2009年10月ブラジル
 遂にアマゾン中流マナウスに向かう日である。この日の為にニューヨークから「蚊除けスプレー」しかも「衣類用」「肌用」の二本を持ってきたのだ。

 ベレンから2時間、フロリダを思わせる都会だ。空港の池に亀がたくさんいたけど、他の動物は見当たらず。南アフリカのプレトリアがコンクリートの大都会で動物は野良犬さえいなかった事を思いだす。あの時は車で1時間かけてダチョウやキリンを自然保護区まで見に行った。

 ホテルも今までで一番広い、二部屋あってガスオーブンのある本格的なキッチンが付いている。日本の2LDKのマンションの大きさだ。インターネットも無料でとても良いです。

 「土曜日は午前中にアマゾン川ツアーがあります。」8000円で7時間だから安い。けれど、この後日本のツアーがあるし・・・大体、蚊に刺されないようにスプレーまで持ってきたし、黄熱病の予防注射までしたのに、わざわざジャングルにお金を払って行くというのも、何か妙だ。

 夕方は領事館の方々と一緒に、川田敏之氏のお宅へ招待される。南米に入植され50年、国から表彰を受けている80歳近いのにとても元気な男性である。

 生後5ヶ月の時に日本から同行、アマゾンの水で溶いたミルクで育ち、裸で動物たちと遊んでいた、と話す息子さんと、その娘で川田氏の孫にあたる可愛いお嬢さんも。世話好きなこのお宅に滞在している日本からの若者、そして同じ時期に国際交流基金から派遣されているアニメ主題歌を歌う堀江美都子さんとそのマネージャー、にぎやかな夕べには、アマゾンの川魚「テュクナレ」の塩焼き、「山の動物の裂いたやつ」や自家製のお酒、料理が盛りだくさんであった。

 川田さんの著書を後日、読ませていただくことを約束して夜10時ホテルへ戻る。すでにこの街は人が歩いていない。

 さてさて「水を飲んでは危険」な地域にあるプールで泳いでも良いものかどうか?水を飲まないように犬かきにすれば良いのだろうか?暖かい気候で弛緩した毛穴から危ない水が入ってくるのではないか?疑問は尽きない。


川田氏と

ブラジル公演記13日目「べレン」

2009-10-20 08:52:00 | 2009年10月ブラジル
       

 日本から「出版されました」のメール。過去に私のジャズピアノ教本を数冊だしている全音楽譜出版社から今回は読み物が出版された。タイトルは『ニューヨーク・ジャズマンのおもしろジャズ語噺』NYに住む私の体験を交えて色々と書いた。皆様、ぜひ御一読を。
 http://www.zen-on.co.jp/disp/CSfLastGoodsPage_001.jsp?GOODS_NO=22521

 日本人とブラジル人の架け橋となっている「汎アマゾニア日伯協会」を訪問する。日本人移民入植80周年を迎えた今年は各種の行事が盛大に行われた、とお会いした堤剛太事務局長の話。私の演奏もその記念行事の一環である。

 立派な建物は図書室や婦人会の部屋など部屋数も多く、二階にはとても大きな講堂がある。

 未知の土地を開墾し、スイカなどの野菜をこの地に移植した勤勉な日本人への尊敬の念は大きいという。マラリヤや黄熱病、知らない食べ物、自然との戦いなど当時の移民の方々の苦労は想像を絶する。

 中でも成功しているのは、周辺に30件以上の店舗を持つスーパーマーケット「YAMADA」である。幼い時に移民した山田ご夫妻が作った事業である。日本のイトーヨーカ堂を思わせる広い店内には、電化製品、衣類、食品が並んでいる。会長婦人と記念撮影。

 ランチは昨日と同じ量り売りの食堂。今回は左下から「ソーセージ」「小麦のクレープで巻いたハムとチーズ」「豚のベーコン巻き」「アヒル肉のキャサバ・スープ煮込み」「甘めのピラフ」。


 写真には無いが「水牛のチーズ」「なまずのスープ煮」ときくと驚くが、「コッテリしたチーズ」「フワフワの白身魚」という感触で実に美味である。椰子の実の汁は薄い甘さの透明な液体、とても身体に良いというので飲んでみる。椰子の実1個100円!と安い。温かく甘い「タピオカ」も上等。

 今夜の演奏は大きなアレシャンドレ教会、内部には金箔のキリスト像がある。演奏はベースのパトリッキ・フロレンシア氏と私。アンプを極力おさえてアコースティックに近い状態で弾くと、室内にとても良い音で響いた。

 200名の聴衆の中には新聞で見たのであろうか、明日から開かれている国際犯罪学会議に出席のためにベレンに来ているパナマやフィンランドの方々もいた。

 終了後に収録していた地元TV局のインタビューを受ける。



空港のヤマダの看板


ミセスヤマダと


ブラジル製しょう油・サクラ


日伯協会・堤事務局長


パトリッキ・フロレンシア氏とデュオで演奏中


記念撮影


インタビューを受ける