琵琶湖の湖底に堆積したヘドロを、微細な気泡「ナノバブル」の発生装置を使って大幅に分解することに成功したと、環境保全対策に取り組 む大津市の認定NPO法人「びわ湖トラスト」などが10日に発表した。同法人や研究者は「ナノバブルによるヘドロの減少量を自然界で実証でき、琵琶湖の浄 化に向けた運用の可能性が開けた」としている。
琵琶湖では、藻やバクテリアなどの有機物が沈んでヘドロが発生。南湖では年間約2ミリが湖底に堆積しているという。ヘドロからはメタンガスが発生し、地球温暖化の原因にもなっている。
実験は、立命館大の今中忠行教授(微生物工学)や大阪市のベンチャー企業「西研デバイズ」と実施。ナノバブルは、直径がナノ(10億分の1)メートルのレ ベルの気泡で、水中に滞留する特性を持つ。装置では空気中の酸素濃度を高め、特殊なセラミックスを通してナノバブルを発生させ、ヘドロに送り込む。ヘドロ の中では好気性バクテリアの活動が活発となり、有機物を水や二酸化炭素に分解する。
大津市柳が崎の琵琶湖(水深3・8メートル)に2・2メートル四方の仕切りを湖底のヘドロの中に埋め込み、その上部にナノバブル発生装置を設置した。
一昨年3月以降、装置を130日間稼働させたところ、仕切りの内側に堆積していた厚さ1メートルのヘドロは、平均で58センチも減少。実験開始から約半月 で、仕切りの内側では好気性バクテリアが増殖していた。今中教授は「ナノバブルが水中に滞留し、水がしみ込んでヘドロが内部から分解された」と説明する。
ナノバブルによるヘドロ除去は化学物質の添加も不要で、しゅんせつ事業より費用がかからないという。同法人は「これまで手が付けられなかった除去問題の解決にもつながる」と話している。
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