河野談話なぜ検証=「強制性」に保守系不満-ニュースを探るQ&A
-政府が検証することにした河野談話って何。
宮沢内閣当時の1993年8月に河野洋平 官房長官が、第2次世界大戦中の旧日本軍の従軍慰安婦制度について発表した談話のことだよ。慰安婦の募集に関して「本人たちの意思に反して集められた事例 が数多くあり、官憲などが直接加担したこともあった」と書かれていて、強制連行を事実上認め、謝罪する内容だ。閣議決定はされていないけど、「内閣の意 思」として示された。
-談話が作られたのはどうしてなの。
韓国の元慰安婦らが91年、日本政府に公式謝罪や補償を求めて提訴 したことなどが日韓の政治問題となり、宮沢内閣が調査に乗り出したんだ。河野氏の前任の官房長官の加藤紘一氏が92年7月に加藤談話を発表し、慰安所の設 置、経営・監督、衛生管理などで政府の関与を認めた。ただ、「強制連行」に触れなかったことに慰安婦側が反発した。日本政府は調査を続け、韓国側が選んだ 16人の「元慰安婦とされた人」から聴取した結果を基に作成されたのが河野談話だ。
-何が問題になっているの。
慰安婦の募集 に強制性があったかどうかだ。第1次安倍内閣は2007年3月、「政府が発見した資料には、軍や官憲による強制連行を直接示す記述も見当たらなかった」と いう答弁書を閣議決定している。河野談話作成時に事務方トップだった石原信雄元官房副長官が、今年2月に国会で、元慰安婦とされた人の証言の裏付け調査は 行わなかったと明かし、談話の信ぴょう性が揺らいでいるんだ。
-安倍政権の姿勢は。
歴代内閣と同じく、河野談話を踏襲するという立場だ。でも、談話の見直しは安倍晋三首相の持論で、第2次内閣の発足前に「子孫の代にこの不名誉を背負わせるわけにはいかない。新たな談話を出すべきだ」と話していた。与野党の保守系議員の間にも、韓国への配慮で強制性を認め、事実をゆがめたとして不満がある。菅義偉官房長官が談話を検証する意向を示した背景にはこんな事情があるんだ。ただ、談話を否定するようなことになったら、韓国はもちろん、人権を重視する米国も反発するかもしれない。自民党や公明党にも懸念する声があるよ。(2014/03/02-15:02
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