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七福神宝の入船・近頃河原の建引

2014-02-10 | 映画・演劇

国立小劇場で初めて文楽なる物を見た。勉強不足で感想も述べられないが変わった日本の伝統芸能であることは確か。

人形遣いが人形を操作し、三味線が情景を音色で表し、太夫が一人で様々な人の心を語り、奇妙といえば奇妙な芸能でこれは何に似ているのかと考えたが急に幼い時の紙芝居を思い出した。琵琶法師の弾き語りの物語に人形劇がくっ付いて始まったのかなと思うけど、人形劇をくっ付けた発想がユニークで大阪庶民が熱狂的に受け入れた所が面白い。

文楽は心中物が多いと聞いていたが、非人間的な人形が主役なので悲しい話も思い切った演出ができ、気楽に楽しめる所が見所か?近松門左衛門に聞いてみたいが時代にマッチしたのだろうか?

今日の出し物は初春向けの七福神宝の入船と近頃河原の建引

  

七福神宝の入船
七福神が宝船の上で宴会を開き得意な芸を披露する初春向のお目出度い出し物。物語というより踊りの範疇かな。三味線も太夫も七福神ごとに担当が分かれ七名づつ。人形なので楽しい動作を演じていたが一つの人形に3名の人形遣いがいるので計21名、船が満員。

近頃河原の建引
たてひきとは、喧嘩沙汰のこと。 「四条河原の段」で井筒屋伝兵衛が金がもとで喧嘩沙汰を起こし人を殺しお尋ね者になってしまう。
逃亡中の伝兵衛と恋仲にある遊女おしゅんは、伝兵衛と接触せぬよう廓から実家へ帰されるが、伝兵衛が実家にやってくる。

そこからが堀川猿廻しの段。おしゅんの母親と兄は何とかして伝兵衛を追い払らおうとするが結局は二人の一途な思いに負けて、兄与次郎は悲劇的な結末が待つ二人の門出を、御目出度いい猿廻しで見送る。段切りの猿廻しの明るさ華やかさの背後でひっそりとそれを見つめるおしゅんと伝兵衛に悲壮な死の覚悟が映る。
この段には悪人が出てこない。 皆善良で、人の良さから道を踏み外し情に流され悲惨に転落していく伝兵衛に巻き込まれていく。

登場する人物の性格をよく表しているのが劇中のおしゅんのくどき (口説きとは浄瑠璃歌舞伎のクライマックスで演じる個所)
「そりゃ聞こえませぬ伝兵衛さん。人の落ち目を見捨てるを里の恥辱とするわいなあ」
段切りの猿廻し、子猿を遣うには少々テクニックが必要とされる。かつては勘緑さんの十八番で勘十郎さんも上手でした。猿廻しのくだりは、三味線のバートも聴きどころとなっている。

人形遣い、三味線、太夫の三者で誰が主役か分からないが夫々に人間国宝がいるそうだ。人形は頭と右手、左手、足の三人で操るのでかなり複雑な動作をさせていたが結構広い舞台が必要。三味線と人形の動きがピッタリ合うのに感心した。

文楽ファンというのが多いそうだが、これもかなり奥が深い芸能だね!
舞台の両サイドに浄瑠璃の字幕が出るが人形が気になりオチオチ読んでいられず、何を語っているのか殆ど分からない。字幕を映画のように舞台の下に映し出したら分かりやすいと思うが玄人のファンには不評かな?
イヤホンガイドを借りたが歌舞伎ほど理解の助けにならなかった。
もう一度見てみたい気がするがチケットは5700円?

太夫は落語のように人物により声色を変えておらず皆同じ声で不思議だった。ただ人形の方で動作をしているので今誰が話しているのかが分かるが、言葉が古語なので現代語で語ったら面白いかなと思ったりした。

文楽は将来どうなるのかな?私もウトウトしたが結構寝ている人も多かったよ?

 

三業
文楽は男性によって演じられる。太夫三味線人形遣いの「三業(さんぎょう)」で成り立つ三位一体の演芸である。客席の上手側に張りだした演奏用の場所を「床」と呼び、回転式の盆に乗って現れた太夫と三味線弾きが、ここで浄瑠璃を演奏する。対して人形のことを「手摺」と呼ぶが、これは人形遣いの腰から下が隠れる板のことを手摺ということから。

太夫
浄瑠璃語りのこと。1人で物語を語るのが基本で、情景描写から始まり多くの登場人物を語り分けるが、長い作品では途中で別の太夫と交代して務める。掛け合いの場合には複数が並ぶ。浄瑠璃には多くの種別があるが、文楽では義太夫節が用いられる

三味線
太棹の三味線を使う。座り方は正座であるが、膝を広めに座り両足の間に完全に尻を落としている。響きが重いことから「ふと」(⇔細棹は「ほそ」)ともいう。

人形遣い
古くは1つの人形を1人の人形遣いが操っていたが、1734年に『芦屋道満大内鑑』で三人遣いが考案され、現在では3人で操るのが普通である。主遣い(おもづかい)が首と右手、左遣いが左手、足遣いが脚を操作する。「頭」と呼ばれる主遣いの合図によって呼吸を合わせている。黒衣姿だが、重要な場面では主遣いは顔をさらすこともあり「出遣い」と呼ばれる。左・足遣いは顔を隠している。

 

堀川猿回しの段の大夫

切 竹本住大夫(人間国宝、89才少し声が聞きにくかったが元気だね)
奥 竹本津駒大夫

文楽(人形浄瑠璃)などの古典芸能は変な理屈を付けずに「ああ…こういうものか!」と素直に見れば良いそうだ。
何度か見るうちに自然に良さが分かって来るのだろうね。長く続くことを祈っています。

 

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