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午後の遺言状(映画)

2016-06-14 | 映画・演劇

午後の遺言状は1995年公開で乙羽信子の遺作となった作品。この映画の公開直前に亡くなったそうだが、映画を見ている限り病気末期の人間とは全く感じられなかった。渥美清もそうだけど俳優というのは凄い根性だね…!

老女優の身に起こる様々な出会いと出来事を通して、「人間の老いと死」を静かに、時にコミカルに描いたヒューマンドラマの名篇』だそうだがノンキに過ごしてきた自分にとって何となく分かりにくかった。感性の問題だろうな?

乙羽信子は明るい役柄の印象が強いがTVで再放送された「裸の島」を見てビックリした思い出がある。この映画も杉村春子との掛合いが見ものだが、ガラッと変わった雰囲気を出していて凄い女優だったと再認識した。

老齢の女優蓉子は避暑のために、豊子に管理を委託している山間の別荘に滞在する。そこで、人間の老いと死や夫婦に関わる事件に次々と遭遇する。奇妙な短い遺言とともに大きな石を残した用意の良い老人の自殺、重度の認知症になったかつての女優仲間と、献身的に看護するその夫との再会と別れ、亡き夫の思わぬ人物との不倫、義理の娘の結婚(婚約=足入れ式)など・・・。その度に蓉子は元気付けられたり、落ち込んだり、自身の死について考えたりする。

この映画は第19回日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめその年の映画賞を独占したそうだが、新藤兼人作品は簡単そうで難しい…。

乙羽信子は本作撮影時には癌の為、余命幾ばくも無い状態だった。夫でもあった新藤監督は乙羽の余命についての説明を主治医から受けていたが、乙羽には知らせず撮影に踏み切った。このことについて新藤はエッセイの中で、「乙羽さんが近代映画協会(1952年に新藤らが設立した映画制作会社)で40年もいろいろ仕事やってくれたことに対するお返しとしてもやりたいと思ったし、もし途中で倒れてしまっても、仕事をやって倒れたほうが気もちがいいんじゃないかなと思ったんです」と語っている


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