他に思い浮かぶ言葉がない。もちろん、ジダンの事である。
すべては順調だった。ひょっとしたら、3点くらい取られるのでは?との思いもあったが、フランスは何とかイタリアを押さえて、ひょっとしたら勝てるかも?と思っていた。
フランスはイタリアを追い詰めていたが、最後のピースが足りなかった。あと1点を取るためには、魔法が必要だった。それでなければ、青い壁は壊せないほど強固なものだった。その魔法をかけれる唯一の選手がジダンだった。
そのジダンが延長の後半、遂に壁を崩しにいった。実はジダンは強烈にヘディングが強い。完璧なパスに、完璧なヘディング、完全な魔法だった。あれ以上、何を望めばいいの?あれを止めたブッフォンに対して、ただひたすら敬意を払った。8年前なら、間違いなく入っていたシュートだ。8年後、時が残酷なのか、相手が悪かったのか、とにかく時は取り戻せなかった。だが、それでもよかった。ジダンが魅せてくれた魔法に、ずっと僕は酔っていたのだから。
いつもフランスでは勝てないと思っていた。スペインに勝てるなんて夢にも思っていなかった。だが、そこからジダンは突如、伝説を再開させた。神話をもう一度、奏で始めた。ジダンとともに、スペシャルな守備が機能しだした。マケレレ、ビィエラが芸術的な守備を見せだした。このジダンが魅せる、大人のチーム、インテリジェンス溢れるゲームに、ただただ酔っていた。ああ、サッカーて数学みたいにエレガントで、綺麗なんだ~って。
だが、これはギフトだった。だから、どっかで夢が終わると思ったし、このままジダンのW杯で終わってしまっては、美しいけど8年の時をどう説明したらいいのか?とも思った。ブッフォンの奇跡的なセーブは、ジダンのかけた最後の魔法以上に、現実とはリアルなんだと思わせるのに充分だった。だから、俺はブッフォンを心の底から讃えた。
そこで終わっていれば全てがハッピーだった。PKでどちらが勝とうが、もう充分だった。だが、そこからが悪夢だった。マテラッツィとジダンの間に何が起こったかは、ジダンが真相を語るまでは分からないだろう。そして、僕は多分ジダンに同情する。だが、どんなに同情しても、真相が分かったとして、どんなにマテラッツィがひどい事を言っていたとしても、それで世界中のみんなが同情し、理解したとしても、もうジダンに名誉挽回する機会がないんだ。そして、ジダン自身の傷が癒える事はない。あんな形で自身のサッカー人生を終わらせなければいけなかった事に対して。
ジダンはきっとプレーに集中しすぎていたんだと思う。これが自身の最後の試合で、W杯の決勝だってのすら忘れていたのかもしれない。ただひたすら、目の前の敵を、壁を崩すのに、全身全霊かけて、それだけに集中していたのだと思う。だから、マテラッツィに過剰に反応してしまったんだろう。一瞬でもこれが最後のゲームだ、決勝だと頭によぎれば、あの行為はとめられたと思う。それすらないほど、集中してたのだ。そうだ、せめてそう思いたい。
すべては順調だった。ひょっとしたら、3点くらい取られるのでは?との思いもあったが、フランスは何とかイタリアを押さえて、ひょっとしたら勝てるかも?と思っていた。
フランスはイタリアを追い詰めていたが、最後のピースが足りなかった。あと1点を取るためには、魔法が必要だった。それでなければ、青い壁は壊せないほど強固なものだった。その魔法をかけれる唯一の選手がジダンだった。
そのジダンが延長の後半、遂に壁を崩しにいった。実はジダンは強烈にヘディングが強い。完璧なパスに、完璧なヘディング、完全な魔法だった。あれ以上、何を望めばいいの?あれを止めたブッフォンに対して、ただひたすら敬意を払った。8年前なら、間違いなく入っていたシュートだ。8年後、時が残酷なのか、相手が悪かったのか、とにかく時は取り戻せなかった。だが、それでもよかった。ジダンが魅せてくれた魔法に、ずっと僕は酔っていたのだから。
いつもフランスでは勝てないと思っていた。スペインに勝てるなんて夢にも思っていなかった。だが、そこからジダンは突如、伝説を再開させた。神話をもう一度、奏で始めた。ジダンとともに、スペシャルな守備が機能しだした。マケレレ、ビィエラが芸術的な守備を見せだした。このジダンが魅せる、大人のチーム、インテリジェンス溢れるゲームに、ただただ酔っていた。ああ、サッカーて数学みたいにエレガントで、綺麗なんだ~って。
だが、これはギフトだった。だから、どっかで夢が終わると思ったし、このままジダンのW杯で終わってしまっては、美しいけど8年の時をどう説明したらいいのか?とも思った。ブッフォンの奇跡的なセーブは、ジダンのかけた最後の魔法以上に、現実とはリアルなんだと思わせるのに充分だった。だから、俺はブッフォンを心の底から讃えた。
そこで終わっていれば全てがハッピーだった。PKでどちらが勝とうが、もう充分だった。だが、そこからが悪夢だった。マテラッツィとジダンの間に何が起こったかは、ジダンが真相を語るまでは分からないだろう。そして、僕は多分ジダンに同情する。だが、どんなに同情しても、真相が分かったとして、どんなにマテラッツィがひどい事を言っていたとしても、それで世界中のみんなが同情し、理解したとしても、もうジダンに名誉挽回する機会がないんだ。そして、ジダン自身の傷が癒える事はない。あんな形で自身のサッカー人生を終わらせなければいけなかった事に対して。
ジダンはきっとプレーに集中しすぎていたんだと思う。これが自身の最後の試合で、W杯の決勝だってのすら忘れていたのかもしれない。ただひたすら、目の前の敵を、壁を崩すのに、全身全霊かけて、それだけに集中していたのだと思う。だから、マテラッツィに過剰に反応してしまったんだろう。一瞬でもこれが最後のゲームだ、決勝だと頭によぎれば、あの行為はとめられたと思う。それすらないほど、集中してたのだ。そうだ、せめてそう思いたい。