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三十汁+α

いよいよ三十路のアタクシを、節度を保ちつつ、垂れ流していこうかな。
とか言ってるうちに、もう@年。

三匹のおっさん <有川 浩>

2012-04-15 08:46:07 | 
三匹のおっさん
有川 浩

文藝春秋

 

 さすが有川さん、な面白さでした。

 愉快、痛快、軽快、爽快!!

 ニヤニヤが止まらない!

 

 還暦を迎えたけど 『おじいさん』 ではなくまだまだ 『おっさん』 じゃい!な3人の、地域密着世直しエンターテイメントってトコでしょうか。

 

 このおっさん3人が、まぁ強い強い。

 武道派2人、頭脳派1人。

 武道派2人はめちゃめちゃ強い!

 カッコイイ!!

 ところが一番アブナイのは、頭脳派の1人だったりするわけで。

 市販のスタンガン、モデルガン(?)改造しまくり?みたいな?

 捕まるよ(笑)

 『エレクトリカルパレード』 には笑いましたよ。

 

 おっさん3人だけでは潤いがないのですが、そこは上手い事孫も絡んできて、これがまた微笑ましい。

 チャラチャラした今時の若者っぽいユウキ(漢字忘れた)は、ちゃんと大事な事は分かってる素直なエエ子やんか~。

 やっぱり尊敬できる大人と交流できる状況っていうのが、大事なんだろうな。

 自分の親はあんまりみたいだから、じいちゃんが居て良かったよね。

 

 個人的には、芳江さんがカッコイイと思うのですが。

 鋭いし、物言いが上品なのにバッサリっていう。

 ステキざーます。

 

 現実はそんなに上手くいかないぜ、って話かもしれないけど。

 それでこそ有川氏的エンタメの真骨頂だと思うし。

 泣けて笑えてハッピーで元気が出る、素敵な1冊でした。

 続編もあるみたいだし、まだまだ楽し~ぃ。

 


骨の記憶 <楡 周平>

2012-04-02 10:27:19 | 

 本屋で時々お見かけしていた気がする楡周平氏、初読み。

 没落した東北の旧家の嫁のもとに届いた宅配便は、51年前に失踪した父の頭蓋骨-って、興味引くじゃーん。

 一体どんなミステリ。

 

 と思ったけど、あんまミステリじゃなかった。

 

 

 

 以下、ネタバレあり!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ結局骨を送ってきたのは、51年前に父が事故死(ありゃー不幸な事故だよね)の時に居合わせた長沢一郎君であり。

 まぁその長沢君はとっくに死んだはずなんだけど、それが実は死んでなかったんだなーっていう。

 長沢君の一生、的な話でした。

 

 まぁずいぶんと波乱万丈な一生でしたな。

 まだ死んでないけど。

 

 多喜ちゃんが死んだのは悲しかったなぁ。

 

 一郎と言い清枝と言い、人生の最後を復讐で終わらせるんだー、と思うとなんとも暗いお話ですよ。

 アタイはやっぱり、救いのある話が好き。

 

 

 

 

骨の記憶 (文春文庫)
楡 周平
文藝春秋

ワーキング・ホリデー <坂木 司>

2012-03-26 11:38:50 | 

 うーむ、さすが坂木氏。(って、まだ2冊しか読んでないけど)

 軽快で愛おしい物語でしたよ。

 みんなイイ子、イイヒト達で、ニヤニヤほくほくしちゃいました。

 

 それにしても小学校6年生って、あんなに料理作れるものかい。

 進クンの料理を食べたくなりましたよ。

 掃除も上手みたいだし、ウチに来てほしいかも。

 あぁでもカロリー計算で、ビール減らされるのは辛いなぁ。

 大和は肉体労働してるんだから、あれくらい許してあげなよー。

 と思ったり。

 

 大和は真っ直ぐな奴だから、一つ一つの出来事にいちいち素直に反応して成長して。

 エエヤツですな。

 ジャスミンもボスも、育てがいあると思う。

 

 このお話の続きが出てる(ウィンターホリディ)ようなので、文庫化を楽しみに待ちたいと思います。

 

 

 

ワーキング・ホリデー (文春文庫)
坂木 司
文藝春秋

戸村飯店 青春100連発  <瀬尾 まいこ>

2012-03-20 13:04:22 | 

 これイイ~~~~!

 めっちゃ良かった!!

 さすが瀬尾まいこ氏!!!

 

 まさしく青春100連発って感じ。

 もちろんエピソードは100個もないんですが、ある事全部青春やなぁというのを関西的に言うと 『100連発』 なんだな。ふふ

 

 舞台は大阪の下町の中華料理屋。

 そこの兄弟、ヘイスケとコウスケのそれぞれの1人称で、交互に物語は進みます。

 この兄弟、タイプは違うけど根っこは同じっていうか、すんごいエエヤツなんですわ。

 それに出てくる人も、大阪人だけじゃなくて関東人だってエエヤツやんか。

 なんかもう、ニヤニヤしちゃいます。

 古嶋君の子供みたいにまっすぐな友情とか。

 北島君の穏やかな健やかさ(大阪にだってこういう奴おるんやぞ、みたいな)とか。

 みんな愛おしいヨ。

 

 ところであの大阪の下町感は、住んだ事ある人間にしか書けなさそうですよ。むふふ

 

 

 

 以下、ネタバレあり!!!

 

 

 何となく馴染めてない気がして、居場所がないっていうか居づらいような、あのコテコテの大阪の下町を飛び出したヘイスケだけど。

 結局大阪に帰るんだけど。

 1回出ると出ないとで、その居場所の大切さとか自分にとっての位置とか、そういう認識はやっぱ全然違うと思うし。

 だからヘイスケはもう迷わないなじゃないかな。

 いや、迷うんだろうけど。若いし。

 

 そして、コウスケが親父さんに怒られたのも、そういう事なんじゃないかな。

 コウスケ的に甘ったれてたつもりはなかったんだろうけど、だからこそ親父さんは怒ったんだろうな。

 うんうん、親父ってのは言葉にしない(できない)けど、大事な事は分かってるもんさねぇ。

 

 

 それにしても、アリさんカッコ良かったな。

 やっぱ年下と付き合うからには、アレくらいの度量が必要なのか。。。。ブツブツ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戸村飯店 青春100連発 (文春文庫)
瀬尾 まいこ
文藝春秋

ぼくは落ち着きがない <長嶋 有>

2012-03-18 12:16:05 | 

 なんか長嶋さんぽくなかった。

 いや、特に何も起こらないのは長嶋さんぽいのかな。

 そしてなんか文体に中々馴染めなかったのは、熱があったからかしらん。

 

 マイナーな図書部、部室は図書室の一角にべニアで仕切られただけの空間。

 でもコンロあり、マイコップで飲食可。

 うわ~~~イイなぁ~、という感じであります。

 そこに住みたいよ(笑)

 

 ストーリーはまぁ図書部員のあれやこれやで、ホントに何気ない彼らの日常なので、もぅココで書いても仕方ないんでアレですけど。

 なんというか、微笑ましい。

 と思うのは、オトナになってしまったからなんでしょうか。

 部員同士のいざこざ、文化祭、似たような別の部とのいがみ合い(でも楽しそう)、友達の突然の引きこもり、足りないコトバ。

 どれもがキラキラしているではありませんか。

 

 多分この空気を味わいたくて、また読んでしまいそうな物語でした。

 

 ところで金子センセの書いた 『僕は落ち着きがない』 を、読みたいっす。

 あと写写丸って?(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼくは落ち着きがない (光文社文庫)
長嶋 有

光文社


逃げろ <高村 透>

2012-03-18 11:25:14 | 

 さすがアスキーメディアワークス、読みやすかった。

 

 地球に巨大隕石が落ちてくる。

 テレビでは 『逃げてください』 と呼びかけられている。

 けど主人公はとりあえず出勤してみる。

 こういうとこ、日本人ぽいな(笑)

 

 巨大隕石が落ちてくるなら、どこに逃げたも無駄だと思うんだけど。

 どこに逃げようっていうのか、逃げてどうなるのか。

 

 物語は 『逃げてください』 って呼びかけられてから隕石がまだ落ちてこない間の物語なので、上の疑問は解決されないんですがね。

 だからって 『なーんだ』 って感じじゃなかったっす。

 

 

 個人的には、各キャラクターの語り口調が好きでした。

 少女のぶっきらぼうさとか、老人の 「~ですな」 とか。

 

 

 以下、ネタバレあり!!!

 

 

 

 

 

 

 結局あれなんだね、主人公が逃げてたのは隕石からじゃなくて、色んな現実から逃げてたって事なんだね。 

 血の繋がってない妹との恋心とか、その自殺とか。

 

 しかし入谷率いる 『人間』 軍団はすごかったな。

 真の人間性への回帰が暴力的で本能的なものへって、それは人間性じゃなくて獣性だろ。

 この前読んだ 『RANK』 といい、終末にはヒトはそっちへ向かうのか。

 ま、そうじゃないとエンタメになりにくいもんね。

 

 そんな中、サクラとの交流は良かったですな。

 つかのまの平和でしたな。

 主人公のトラウマも昇華されたみたいだし(笑)

 

 ラストが主人公が 『隕石から逃げよう』 ってトコで終わるって、あんな局面でも主人公は希望を取り戻したぞって感じで、イイんではないでしょうか。

 

 

 

逃げろ。 (メディアワークス文庫)
高村 透
アスキーメディアワークス

RANK <真藤 順丈>

2012-03-17 11:01:06 | 

 近未来の日本、国民は監視カメラに常に見られ、そのネットワークによって順位付けされている。

 ランク圏外に落ちた人間は、抹殺される。

 

 イイねぇーイイねぇー、ありがちとはいえこの設定はイイよねぇー。

 

 どんな風に監視されてて、どんな風にランク付けされているのか。

 ランク圏外に落ちた人間は、どうして堕ちたのか、抹殺される時どう足掻くのか。

 ランク圏内の人間の人間性はどうなのか。(絶対ヤなやついるはず)

 

 

 残念ながら、期待した程の高揚感は得られませんでした。

 1個ずつのエピソードとか見せ場とかはイイのになぁ。

 なんでだろ。

 

 

 以下、ネタバレあり!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ランク社会で起きた特別執行官惨殺事件が、やっぱある程度この物語の格っていうか肝だと思うんだよね。

 そのミステリ部分の種明かしが弱いのかなぁ。

 一人捕まっても、結局違う実行犯が居たみたいだけど、そんなすご技が何人もいるのかい?

 彼らはどうやって逃げていたんだい?

 全てが槌谷の手引きだったのかい?

 にしてはその辺は書かれてないわけで。

 

 佐伯のイカレっぷりもまぁ悪くないけど、なんか足りない。

 結局彼がキーパーソンになって、ラスト春日と組んで槌谷をやっつけるなら、もっと徹底的にクレイジーかもうちょい感情移入できるようなちょっとイイ奴かであってほしいっていうか。

 佐伯が感じてた 『眼』 ってのは、結局中位層の人間達の視線だったってこと?

 でも実際見られてるわけじゃないんだから、それって強迫神経症程度っていうか…それともあの層の無関心ぶりが許せなかったって解釈かい?

 

 抹殺された人間の行く末(=リサイクル)にも、あまり衝撃を受けられなかったなぁ。

 私の感情がマヒしてんでしょうか。

 

 なんか、なーんかオシイ感じの1冊でした。しょぼん

 

 

 

 

 

 

 

RANK (ポプラ文庫)
真藤 順丈
ポプラ社

少女 <湊 かなえ>

2012-03-11 11:09:03 | 

 湊かなえ氏、2冊目の文庫作品でございます。

 

 いやぁ~さすがですな。

 何か色々。

 

 主人公の少女二人、由紀と敦子の視点で交互に物語が進んでいく感じなんですが。

 この二人の、最初は不純な動機(死体が見たい)で関わり始めた周りの人たちとの交流が、最後にはなんだか爽やかになっちゃって。

 あら湊かなえ氏ってこういう話も書くのね。

 と思ったら騙されるよぉ~。

 

 やっぱり湊さんの描く女子高生、一筋縄ではいかないよぉ~。

 って、『告白』 とコレしか読んでませんが。

 

 最後のひっくり返された感が、いっそ爽快な1冊でした。

 

 

 

 以下、ネタバレあり!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 解説を読むと(読まなくても)分かるんですが、由紀と敦子の視点が 『*』 の数で分けられているのですね。

 しかしですね、そうなると最初の 『**』 部分がひっかかるんですよ。

 あれは詩織の遺書を読んだ後の、敦子の語りって事でイイんでしょうか?

 

 

 敦子も由紀もそれぞれに苦しみを抱えていて、ちょっとすれ違っちゃったけど、なんかちょっと一回り大きくなって、理解しあえるようになって良かったじゃん。

 と思った後の、あの無神経さ。

 あれ怖ぇよな。

 『セーラ』 って名前に反応しかけるも、結局好きなブランドの話題の方があっという間に心を占めるわけでしょ。

 無邪気すぎてこえー。

 

 

 セーラと詩織は、結果的に因果応報で死んだって事なんでしょうか。

 セーラは小倉の盗作絡みで。(これちょっと繋がり薄くて、とばっちり感あるな)

 詩織は嘘痴漢で。

 仇討は湊さんのテーマなの?

 

 

 しかし少女達怖ぇな。

 裏サイトに悪口を書かれる怖さを十分味わって自分もすごく苦しんでるのに、あっさりセーラの事書きこんで、しかも大丈夫だろうと思える敦子。

 嘘痴漢の被害者がどんなふうに社会的に抹殺されてしまうのか想像もせず、ちょっと自慢げに話してしまえる詩織。

 嘘痴漢の被害者家族と関わりを持ったのに、結局その結果手に入れられたブランド物を羨ましいと思う由紀。

 しかも由紀のその先の行為。

 

 自分の痛みには敏感で、他人の痛みには鈍感。

 しかもそこに悪意がないっていう。

 性質悪いなー。

 

 

 

 

 

 

少女 (双葉文庫)
湊 かなえ
双葉社

6時間後に君は死ぬ <高野 和明>

2012-03-10 10:06:27 | 

 このタイトル、上手いよねぇ~。

 超興味引かれるじゃん。

 

 未来が見える山葉圭史にまつわる連作小説です。

 連作つっても、圭史繋がりってだけで、あんま連作っぽくなかったけど。

 って、連作の定義もよく知りませんが。 

 1本目の表題作とラストの 『3時間後に僕は死ぬ』 は、さすがにモロ繋がってたね。

 

 

 以下、ネタバレあり!!!

 

 

 

 いやー、表題作。

 途中までは圭史が犯人じゃねぇの、と思ってました。

 こりゃ失敬。

 

 突然街で見知らぬ男性に予言されて、それを多少の葛藤の後とはいえ、ああもすんなり受け入れて行動を共にするもんかねぇ、という野暮なツッコミは置いといて。

 

 『3時間~』 はハラハラしました。

 犯人は一体誰なのかなかなか見つけられず。

 それが分かったのはもう起こってしまう寸前。

 なんとか食い止めたと思っても、運命はなかなか変わろうとしてくれない。

 美緒は助かるのか、助からないのか?!

 っていう見せ場はもう!!

 なかなか楽しかったっす。

 

 ところで運命がどうやっても変わらないのなら、圭史と美緒ってば、やっぱ最終的に上手くいかないのでは?

 でも美緒曰く 『女は目先の幸せしか見えないものよ』 って覚悟だし、イイんだよきっと!

 

 

 

 

 

 

 

 

6時間後に君は死ぬ (講談社文庫)
高野 和明
講談社

殺す <西澤 保彦>

2012-03-08 08:29:04 | 

 んまぁ~、なんて直接的なタイトル。

 そして目を引くジャケ。

 と思ったら鈴木成一デザイン室。

 くそぅ、またやられた。。。。。

 

 

 なんかやたら会話文が多い本でした。

 それが西澤氏のスタイルなのかい?

 初読みなので分かりませんが。

 キャラをつかみきる前に会話でだーーっと進んでしまうので、イマイチ人物が把握しにくく。

 

 そして人の名前が読みにくい。

 ルビも毎回振ってあるわけじゃないからねぇ、もう字面だけで読み進めましたよ。

 この読みにくい人名ってのは、西澤氏の特徴らしいですな。

 と解説に書いてあった。

 

 うーん、イイけど一人か二人にしてほしいヨ。。。

 

 

 

 以下、ネタバレあり!!!

 

 

 

 

 

 

 うーーーーーーん、どうなの?!

 

 引きはめちゃめちゃ強いんだよな。

 冒頭、光門が殺された女子高生に対して 『この方が幸せかもしれない、もう一生懸命生きなくていいから』 という意味合いの事をつぶやく辺りからして、気になるじゃないですか。

 ほんでその光門がどんどんオカシくなっていくのと並行して、女子高生はどんどん殺されていくわけですし。

 去川の娘の旦那は何やらオカシな事になってるし。

 

 犯人は誰なの?!

 女子高生連続殺人事件と光門はどう絡んでくるの?!

 

 と、散々引っ張っておいて…オチがちょっとなぁ…まぁあくまで個人的意見ですが。

 

 結局光門と女子高生殺害事件は絡まんのかい、とか。

 女子高生連続殺害事件の犯人が分かるくだりも、あれれ、そうなのー?ってなんか緊張感ないっていうか。

 明子殺されたのも唐突だったし。

 光門があっち側に行っちゃった理由(結局病んだ現代にありがちな自分勝手な理論でした、みたいな)も、なんだかなーだし。

 光門取り逃がしすぎだし。

 結局最後、光門死ぬのかい、だし。

 それならどっちかの事件にフィーチャーして、そこに至る経緯とか犯人心の動きを掘り下げてほしかった。

 会話でさらっと 『推測』 って形で語られちゃってるから、なんかうーん、なんだよな。

 ま、好みの問題かもしれませんが。

 

 

 

 

 

 

 

 

殺す (幻冬舎文庫)
西澤 保彦
幻冬舎