待ちに待ったモダンタイムス文庫版です。
まぁ待ちに待った割に、人から借りて読んじゃったけど。
だって貸してくれるって人がいたからー。
イイーんです、借りて読もうが買って読もうが、オモロイもんはオモロイ。
そのうち買いますから、許して伊坂さん…
相変わらず、軽快でスピーディ。
作家の伊坂好太郎なる人物も出てくるし、後輩は大石倉之助だし、奥さんは謎に強くて怖いし、暴力を生業にする岡本猛は憎めないし。
キャラ立ちまくりです。
あらすじはもう、あちこちで紹介されてるでしょうから、そっちを読んで頂くとして。
国家やシステムについての考察部分が結構長くて、読んでるとうーんとグルグル考えさせられそうになるけど、先が気になるから考えるよりとりあえず先へ進む、みたいな。
おや、そういう部分があるって考えると、いつもより軽快度は下がるのか?
いや下がらないね、そこが伊坂さん。(お前誰やねん)
以下、ネタバレあり!!!
冒頭から、主人公渡辺クンが拷問されてるシーンから始まります。
これが痛いんだよぅ。
いや実際には拷問されずに済むんだけどさ。
伊坂さんの暴力シーンって、温度が低くて、傷みをあまり感じずに読めた気がするんですが、なんかこのシーンは痛かったなぁ。
やっぱ爪を剥ぐってのが、リアルすぎるのかしら。イテテ
その拷問を依頼した、最初は怖くて怪しすぎる奥さんですが、後半になると温かくて魅力的で頼もしい存在になっていくのは何故だ…不思議。
結局彼女は、夫の事が大好きで、単に浮気は死に値するという価値観を持ってる女性だったって事かしらん。
ごく普通の。
ちょっと強すぎるだけの。
うーん、怖い。
でも美人だから許される…かな?
どうでもイイですが、『幸太郎』 の文字を一つ 『好』 に変えるだけで、見事に好色っぽい字面になりますなぁ。
結局 『モダンタイムス』 的には、国家には独裁者はいなくて、世界はだた 『そういうことになっている』 優秀なコロニーって事になるのかな。
渡辺君達も、一矢報いる事もできなかったわけだし。
何やっても無駄っていうか。
だって 『そういうことになってる』 んだもん。
そう考えると虚無っていうか無力感?にヤられそうになるけど、作品的にそこまで虚しくなってなくて救われます。
ちゃんと皆が、もがいて足掻いて考えて考えて考えて、負けたり負けそうになったりしても立ち向かったりするからかなぁ。
渡辺君も別に、逃げたわけじゃないんだと思うし。
世界は大きなものに動かされてるかもしれないけど、人間はささやかに、目の前の事に一生懸命に生きていくんだよね、きっと。
ところでこの文庫版、単行本と大筋は変わってないけど、結構な改稿がされてるみたいですな。
そうなると単行本も読みたい。
そのせいか、ブック●フでフツーなら文庫版が出たらガクンと下がる単行本の値段が、あんまり下がってない。
さすが・・・伊坂幸太郎
さらにモーニング連載(これも驚く)当時の挿絵が入った、特別版なるものもあるらしいし。
出版、メディア界はアツいなー。ウッシッシ
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