湊かなえ氏、2冊目の文庫作品でございます。
いやぁ~さすがですな。
何か色々。
主人公の少女二人、由紀と敦子の視点で交互に物語が進んでいく感じなんですが。
この二人の、最初は不純な動機(死体が見たい)で関わり始めた周りの人たちとの交流が、最後にはなんだか爽やかになっちゃって。
あら湊かなえ氏ってこういう話も書くのね。
と思ったら騙されるよぉ~。
やっぱり湊さんの描く女子高生、一筋縄ではいかないよぉ~。
って、『告白』 とコレしか読んでませんが。
最後のひっくり返された感が、いっそ爽快な1冊でした。
以下、ネタバレあり!!!
解説を読むと(読まなくても)分かるんですが、由紀と敦子の視点が 『*』 の数で分けられているのですね。
しかしですね、そうなると最初の 『**』 部分がひっかかるんですよ。
あれは詩織の遺書を読んだ後の、敦子の語りって事でイイんでしょうか?
敦子も由紀もそれぞれに苦しみを抱えていて、ちょっとすれ違っちゃったけど、なんかちょっと一回り大きくなって、理解しあえるようになって良かったじゃん。
と思った後の、あの無神経さ。
あれ怖ぇよな。
『セーラ』 って名前に反応しかけるも、結局好きなブランドの話題の方があっという間に心を占めるわけでしょ。
無邪気すぎてこえー。
セーラと詩織は、結果的に因果応報で死んだって事なんでしょうか。
セーラは小倉の盗作絡みで。(これちょっと繋がり薄くて、とばっちり感あるな)
詩織は嘘痴漢で。
仇討は湊さんのテーマなの?
しかし少女達怖ぇな。
裏サイトに悪口を書かれる怖さを十分味わって自分もすごく苦しんでるのに、あっさりセーラの事書きこんで、しかも大丈夫だろうと思える敦子。
嘘痴漢の被害者がどんなふうに社会的に抹殺されてしまうのか想像もせず、ちょっと自慢げに話してしまえる詩織。
嘘痴漢の被害者家族と関わりを持ったのに、結局その結果手に入れられたブランド物を羨ましいと思う由紀。
しかも由紀のその先の行為。
自分の痛みには敏感で、他人の痛みには鈍感。
しかもそこに悪意がないっていう。
性質悪いなー。
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