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日医、読売新聞の“誤報”に憤り

2015-01-30 13:55:10 | 医療と介護

マイナンバー巡り、質問状

 
m3.com 2015年1月28日(水) 配信 池田宏之(m3.com編集部)

 日本医師会は1月28日、マイナンバーを巡る読売新聞の記事について、事実に基づいていないとして「全くの誤報。訂正を求める」と指摘し、読売新聞社に対して質問状を送ったことを明らかにした(資料は、日医のホームページ)。1月19日付の同紙の記事では、「厚生労働省が、研究会の提言に基づいて、導入が検討されているマイナンバー制度の個人番号カードを被保険者証代わりに使えるようにすることを決めた」旨を報道していたが、日医常任理事の石川広己氏は、「厚労省に確認したが、決定した事実はなかった」などと説明した。議論が進む中での報道については、「世論を誘導したい人物の影響があったと詮索する以外にない」として、意図的な世論誘導を狙った記事であった可能性を指摘した。
 記事では、個人番号カードについて、厚労省における「医療等分野における番号制度の活用に関する研究会」で、「健康保険の被保険者証代わりに使えるように提言した」と言及。さらに研究会の提言を受けて、「厚労省が決定した」と伝えた。記事掲載後、複数のマスコミが、類似の内容を伝えた。
 記事で言及された研究会のメンバーでもある石川氏は、「研究会の提言」について、中間まとめでは、被保険者機能の付加については、賛否両論の併記である点を指摘。「昨年12月に中間まとめを出しただけ」と、最終決定でない点を強調した。その上で、石川氏は、「(両論併記を、機能付加の提言と理解するには)飛躍がある。全くの誤報で、思い違いも甚だしい」と、憤った。記事掲載後に、日医が厚労省に確認したところ、「(記事内容を)厚労省で決定した事実はない」との回答を得ていて、決定を知らせる厚労省の正式な発表もない状態。日医は、訂正を求めている。
 会見で、石川氏は、記事が掲載されたタイミングにも言及。マイナンバー制度を巡っては、2016年1月の開始に向けて今後、制度設計の議論が続く流れとなっている。日医の発表した文書では、「(議論を待たずに)あたかも決定したかのような記事の掲載は、議論を特定の方向へと誘導することに他ならず、結果的に世論誘導及び既成事実化に利用されているのであれば問題」として、決定前に世論の動向を伺う“アドバルーン”的な記事であった可能性に言及している。
 日医は、個人番号カードへの被保険者機能の付与については、「患者のプライバシー保護や安心の観点から単純に容認できない」として、慎重な姿勢を見せてきた経緯がある(『個人番号カードと保険証一体化に懸念、日医』を参照)。日医は経緯を問い質す質問状を、1月22日に読売新聞社に送ったが、1月28日夕方の時点で回答はないという。


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