国家戦略特区、医療・健康分科会が初会合
m3.com 2015年1月29日(木) 成相通子(m3.com編集部)
国際的な産業競争力の強化や経済活動拠点作りを活発化させるため、規制改革などを集中して行う国家戦略特別区域で、東京圏の区域会議に設置された「神奈川県健康・医療分科会」の初会合が1月28日、神奈川県庁で開かれた。内閣府大臣政務官の小泉進次郎氏や神奈川県知事の黒岩祐治氏らが出席し、健康・医療分野からの成長産業創設のための制度・規制緩和について協議した。黒岩知事は、運動など健康的な行動をしている人は安くするといった保険料の差別化、外国人医師の業務拡大、医療用ロボット市場の拡大などの案を示した。 (資料は、首相官邸のホームページに掲載)。
分科会後に会見した小泉大臣政務官は「これまでの日本の医療は健康な人にとってのメリットがない。これからは健康になればメリットがある、という方向性を示していくのが大事だ」と話し、後押ししていく考えを示した。
分科会で提示された案は、次回の東京圏国家戦略特別区域会議で提案され、関係省庁とのワーキンググループで実現可能性などを協議する。
●自己採血の規制緩和も提案
東京圏の国家戦略特区は東京都、神奈川県、千葉県の一部で構成。神奈川県健康・医療分科会では、(1)健康・未病産業の創出、(2)最先端医療産業の創出、(3)ロボット産業の創出、(4)国際的医療人材の育成――を掲げ、新たな制度・規制改革について、国と自治体、民間有識者・事業者が検討し、区域会議に提案する(『成田・医学部新設の検討、「重要で緊急性は高」』などを参照)。初会合には、小泉大臣政務官と黒岩知事 、横浜市長の林文子氏ほか、横浜市立大学附属病院長の平原史樹氏や滉志会瀬田クリニックグループ代表の阿曽沼元博氏(順天堂大学客員教授)らが出席し、それぞれの事業案と関係する規制改革などについて話した。
黒岩知事は目玉の改革案として、運動など健康的な行動をしている人の保険料を安くし、それらの行動をしていない人の保険料を上げる「保険料の差別化」を新規に提案。差別化の基準の例として歩数、血圧、体脂肪、心拍数、検診データ、血糖値などが挙がっており、県の担当者は「差額の幅や基準は今後慎重に詰めていきたい」としている。そのほか、自己採血による血液検査項目の制限撤廃や、医療用ロボットを理学療法士が活用できる施設を、現状の病院や介護施設に限らず、スポーツクラブや地域施設でも使えるような規制緩和、最先端医療産業のイノベーション促進を目的とする特許の使用期間の延長拡大、外国人医師による日本人患者の診療、保険外併用療養の対象機関の拡大など多岐にわたる制度・規制改革案を提示した。
横浜市と横浜市立大学附属病院は、同病院を中核とした臨床研究ネットワーク構築による高度医療の開発促進を提案。同病院など一定の要件を満たした特定機能病院への保険外併用療養の拡大や、治験の第Ⅰ相臨床試験の専用病床に関する施設基準の緩和を追加検討するよう求めた。現在は、健康的な人を対象とする第Ⅰ相臨床試験でも患者が入院する病床と同じ施設基準が必要だが、それを緩和することで、治験者を集めやすいものの、設備コストの高い都心部などの病院で第Ⅰ相治験が行いやすくなるとしている。
また、川崎市は、薬事承認の日本版FastTrackの導入として薬事審査資料の一部先行審査や優先審査の実施、早期・期限付き承認といった企業向けの規制の特例などを提案。滉志会は薬事承認の包括承認制度の導入や県とともに外国人医師の業務拡大などを求めた。
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