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パートナーさがし

2014-10-13 11:02:51 | 創作欄
銀司は妻をがんで亡くしてから外で酒を飲み歩くことが多くなった。
寂しかったのである。
60歳の銀司には2人の娘がいたが、長女のさくらは36歳で独身。
次女のぼたんは結婚してわずか7か月で離婚し、32歳の今日、長女と取手駅から徒歩5分のマンションで同居していた。
2人はともに看護師であり、地元の病院に勤務していた。
そして休みの日は宗教活動に熱心であった。
銀司は神も仏もないと言って憚らない、いわゆる無神論者であったので、2人の娘を「バカな奴らだ」と冷ややかに見ていた。
一方、娘たちは「お父さんは地獄に堕ちる」と突き放していたのだ。
銀司はスナックで出会った里見良太から「中高年限定のお見合いパーティーに、一緒に参加してみないか?」と誘われた。
「お見合いパーティー? 婚活かね?」
「婚活とも限らない。恋や愛は年齢には関係ないからね。出会いの場なんだ」
「行ったことあるんだね?」銀司は関心を示しながらグラスの酒に口をつけた。
里見はカラオケのポロモーションビデオに目をやっていた。
古風な宿の窓から和服姿の女が海峡を見詰めていた。
「パートナーとあんな和風の宿に行ってみたいな」と里見はつぶやいた。
「女の海峡」を常連客の南公子が歌っていた。
夫を交通事故で亡くしてからスナック「武蔵野」へ姿を見せるようになった女であり、銀司と同じ新道地区に住んでいた。

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