抑制目指し来年度にも−−政府方針
毎日新聞 2014年08月09日 東京夕刊
政府は各都道府県に対し、2015年度にも医療と介護費に関する1年間の「支出目標」(上限額)を設定させる方針を決めた。医療機関が請求するレセプト(医療費の内訳を記した診療報酬明細書)や特定健診などのデータに基づき算出し、膨らみ続ける医療、介護費の抑制を目指す。11日以降、有識者による専門調査会で具体的な検討を始める。
税と保険料で賄った12年度の医療費(自己負担分は除く)は35兆1000億円で、介護費(同)は8兆4000億円。団塊の世代が全員75歳以上となる25年度には、それぞれ54兆円と19兆8000億円に膨らむと推計されている。国の財政を圧迫する最大要因と言え、支出目標の設定は6月に閣議決定された経済財政運営の基本方針「骨太の方針」に盛り込まれた。
目標設定に当たってはレセプトのほか、価格の安い後発医薬品の普及率▽平均入院日数▽高齢者数などの人口構成−−などの指標を使い、複数の市町村にまたがる地域ごとに「妥当な医療費」を算出。医療費の低い地域を「標準集団」と位置づけ、都道府県が妥当な支出目標を決める。
国は目標を超えた都道府県に対し、当面はペナルティーを設けない方向だ。ただし原因の分析と具体的な改善策の策定を義務づけ、支出の抑制を促すことになりそうだ。
議論は、社会保障制度改革推進本部(本部長・安倍晋三首相)の下に設置した専門調査会で始める。算出方法を巡っては、産業医科大学(福岡県)の松田晋哉教授らが開発した、診療科別の入院患者数▽救急車による平均搬送時間▽人口構成−−などを基に地域単位で合理的な医療費を推計するシステムがベースとなる見通しだ。【中島和哉】
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