コラム: 裴 英洙の「今のままでいいんですか?」
日経メディカルonline 2014/12/26
前回のコラムで「バカになる人、なれる人」を書いた。某役所のお偉いさんが記事をご覧になり高評価であった、と風の噂で知った。私の悪い癖に、ほめられると図に乗るところがある。よって、またまた今回も“バカ”関連で進めたい。ただ、“バカ”のみだと「バカの一つ覚え」になるので、今回はラインナップを増やしてみた。「バカ者」「よそ者」「若者」の3つだ。
イノベーションを生み出す人材としてこれら三者が取り上げられることがある。既存の組織や世界では、過去の成功体験やこれまでのしがらみに固執するあまり、新しいシステムやモデルを作れず、停滞感や閉塞感が渦巻くことがある。組織の構成員が古い考えに固執したり続いている習慣を捨てられなかったりして、思い切った大きな変革ができない。医療の世界にもこの種の閉塞感や停滞感を感じている読者も多いのではないだろうか?
医療の世界はネコの手も借りたいくらい問題が多く複雑で忙しい。ならば、ネコの手でなく「バカ者」「よそ者」「若者」の手を借りて、医療の諸問題を解決するヒントを見つけていこうではないか。まず、簡単に三者をまとめてみよう。
■「バカ者」:周囲から見ても、馬鹿と思えるくらい一途に一生懸命に活動する。目標に向かって行動していく強い行動力を持った人。または、旧来の価値観の枠組からはみ出る。
■「よそ者」:自分たちは気づきにくい視点を持つ。外部からのクールな目によって新しい価値を発見する。従来の仕組みを批判的に見ることができる。
■「若者」:旧来依然としたやり方にとらわれずに新たなことにチャレンジする。新しい文化やスタイルを自分たちも楽しみながら創っていく。若さという強力な体力・エネルギーを持つ。
これら三者に共通するのは、「失敗を恐れない」ということだ。地位や名誉がなければ、たとえ失敗しても後悔をする心配はない。だから、「バカ者」「よそ者」「若者」ほど、大胆なアイデアと行動が飛び出す。そして、しがらみがないからこそ自由な行動が可能となる。ある意味、守るものが少ない立場でもあるので、捨て身の強さがあるのだろう。地域活性化の成功モデルをいくつか見ると、域外から来た若者の斬新なアイデアで地域が復興した、との話も聞く。私も時折、若く専門外の人が斬新なアイデアを出して「そうかその手があったか!」と膝を打つ場面に出くわすことがある。さらに、若さのパワーをフルに活かした一途な実行力に心を打たれることも多い。文化祭や学園祭のあの熱狂的なノリで物事を進めていく感覚なのだろう。
と、このようなことを考えていたら、当社にインターンの申し込みがあり、まさにうってつけの「若者」が来た。
東京大学病院研修医2年目の二宮英樹医師だ。福岡県出身の26歳、大学時代はアメリカンフットボール部の主将をしていた体育会系だ。ローテートしている科で貯まった2週間の休暇を当社のインターンですべて使い切るという驚くべき行動力、ある意味「バカ者」かもしれない。私だったら間違いなく南の島のバカンスへ逃避行をしているだろう。以前、本コラムでも書いたが(龍馬的インターンシップ奮闘記)、当社のインターンは病院経営者やヘルスケア企業経営者とのディスカッションなど、普通の医療現場では味わえない体験を積める。そのような場で二宮医師は物怖じせずにフレッシュでかつ独創的な意見を熱意持って議論に加わる。ディスカッションの場では、彼の意見に触発されてベテラン経営者たちの議論が盛り上がったのは言うまでもない。まさに、「バカ者」「よそ者」「若者」効果だろう。
二宮医師とはインターン期間中に多くの議論を行ったが、その中でも彼が語った“今どきの研修医”に関する意見が印象的だった。今の研修医が日々触れる情報量は、我々が研修医だった頃に比べて圧倒的に多い。受動的・能動的に関わらずたくさんの情報に接するチャンスがあり、それら情報に接することで医療以外の世界に触れることができる。つまり世界観が多層的で幅が広くなっている。
私の肌感覚としても、医療政策や病院経営、ヘルスケアビジネスなど、既存の医療界(臨床や研究)から外の世界に興味を持つ若者が多いように思う。ぜひそのような他の世界の空気を吸う機会を得てから、再び臨床現場に戻ることで、現場で起こる諸問題を解決する糸口を「よそ者」視点で展開してもらいたい。医療界の外部のみならず、いずれ医療界の内部からも「バカ者」「よそ者」「若者」効果で大きな変革が生まれることを期待している。
と、ここまで書いて、隣からそのインターン生の二宮医師と当社社員が原稿をのぞき込んできた。
二宮医師:「ハイ先生も十分に『バカ者』『よそ者』『若者』の3冠王ですよ」
裴:「そうかなあ~、嬉しいこと言うじゃないか。40歳超えても『若者』とはね!」
社員:「二宮さん、社長を甘やかしちゃダメですよ、図に乗るので。でも、おまけで『準若者』ということで2.5冠王です!」
30代前半の若手社員。社長に対しても物怖じしないフレッシュな意見、さすがである。
著者プロフィール
裴 英洙(メディファーム(株)創業者/顧問)●はい えいしゅ氏。1972年生まれ。金沢大学大学院医学研究科修了。外科医・病理医として勤務後、MBAを取得し2009年に起業。医業経営コンサルタントの仕事の傍ら、再建先で臨床医として医療現場に携わる。
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バカになる人、なれる人
日経メディカルonline 2014/11/20
経営コンサルティングの仕事をするようになり、たくさんの経営者やリーダーに会ってきたが、その際に注意して見てきたことがある。
「優れたリーダーの共通点は何か?」
人は一定の組織に長く所属しているとその組織の文化や作法に馴染んでしまい、新たな視点を得にくくなる。いわゆる「思考が硬直化する」と言われる状態だ。ルーティンワークをこなすなら問題ないかもしれないが、日々新たな問題や疑問が起こるような世界、特に医療の世界での思考の硬直化は、価値創造の放棄につながる。リーダーはその硬直化を真っ先に回避しないとならない。
そこに危機感を持ち、組織活性化を心がけているリーダーには共通点があるように思う。それは「バカになれる」能力だ。ここで言う「バカ」とはネガティブワードではなく、現状の問題点を突破するきっかけとなる姿勢、と考えて頂きたい。では、「バカになれる」を、構成する三つの要素に分けて考えたい。読者の皆さんは、バカにするな!と思わずにお付き合い頂きたい。
1)柔軟な発想力
「バカ=マイナスなイメージ」と捉えられるかもしれない。しかし、単なる「バカ」と「バカになる」は異なる。自らバカになることに対して「かっこ悪い」「恥ずかしい」と敬遠する方も多いだろう。しかし、本当に自分のため、周囲のためを考えれば、「バカになる」ことがプラスになるシーンは少なくない。仕事での行き詰まりやアイデア枯渇の壁に直面した際、普段の思考の中には「不可能と決め付けていること」が少なくない。そこで、不可能と思われる“バカっぽい”アイデアを出すような視点の切り替えや許容力がその突破口につながることもある。つまり、「バカになる」というのは、硬直的でなく柔軟で多元的な視点を持てるということだ。さらに、頭だけで考えるよりも実際に行動を起こすことがブレイクスルーを作ることもある。いい意味で「バカになり」何も考えずに手を動かすことが大切な時もあるだろう。
2)学び続ける力
哲学者ソクラテスは「私は何も知らないことを知っている」と言ったという有名な話がある。何ごとも極めれば極めるほど奥が深く自分は何も知らないことに気付く。優れたリーダーは「知らないことを恐れない」。そして“バカになり”頭を下げて教えてもらおうとする。その結果、さらに極みに入っていく。人は「知らない」や「教えて」というと、「そんなことも知らないのか」と言われたりバカにされたりすることを恥ずかしいと思うことが多い。そのような不安は当然あるが、それを克服して素直に「知らない」と言える勇気が、その人の知識や見識をさらに高みに上げる。
3)部下を引き寄せる力
組織のリーダーともなると、部下や周囲からは一目置かれ、そもそも近寄りがたくなる傾向がある。自ら進んでリーダーの懐に飛び込める部下はむしろ少数だろう。このように部下との関係性に硬直性が出てきた場合、リーダー自らが発信する言葉や行動が問われる。部下との間にある見えないバリアを自ら破れるかどうか、自分から部下の緊張をほぐす行動に出られるかどうか、がポイントだ。部下との距離感を縮める方法としてよく言われるのが、自分の失敗談を語ることだ。つまり、雲の上の存在でなく身近な存在であるリーダーを見せることで、部下は安心し、リラックスできる。「バカになる≒人間味を出す」とも言えるだろう。ただ、注意しなければならないことが一点ある。失敗談は多用しないことだ。リーダーが何度も多種の失敗談を語っていたら、『この人大丈夫かなあ?』と部下は不安になってしまい、逆効果となるだろう。
三つの要素に分けて考えたが、意識的に「バカになる」ことで、柔軟な発想を獲得し、さらなる学びを得て、部下との距離が縮まる助けとなる。ただ、職場で突然バカになると「先生、大丈夫ですか?」と不思議がられるかもしれないので、まずは第3の要素の失敗談から開始することをお勧めする。
と、ここまで書いて、隣から社員が原稿をのぞき込んできた。
「ということは、先日の二次会のカラオケで昭和のアイドルを振り付け熱唱して、お店の方に注意を受けたのは、部下との距離を縮めるためだったのですか?」
「もちろん、そうだけど……」
「TPOを選ばずにバカになりすぎると、部下との距離はますます広がりますよ」
このエピソードも次の部下を育てるための“失敗談”として取っておこう……。
日経メディカルonline 2014/12/26
前回のコラムで「バカになる人、なれる人」を書いた。某役所のお偉いさんが記事をご覧になり高評価であった、と風の噂で知った。私の悪い癖に、ほめられると図に乗るところがある。よって、またまた今回も“バカ”関連で進めたい。ただ、“バカ”のみだと「バカの一つ覚え」になるので、今回はラインナップを増やしてみた。「バカ者」「よそ者」「若者」の3つだ。
イノベーションを生み出す人材としてこれら三者が取り上げられることがある。既存の組織や世界では、過去の成功体験やこれまでのしがらみに固執するあまり、新しいシステムやモデルを作れず、停滞感や閉塞感が渦巻くことがある。組織の構成員が古い考えに固執したり続いている習慣を捨てられなかったりして、思い切った大きな変革ができない。医療の世界にもこの種の閉塞感や停滞感を感じている読者も多いのではないだろうか?
医療の世界はネコの手も借りたいくらい問題が多く複雑で忙しい。ならば、ネコの手でなく「バカ者」「よそ者」「若者」の手を借りて、医療の諸問題を解決するヒントを見つけていこうではないか。まず、簡単に三者をまとめてみよう。
■「バカ者」:周囲から見ても、馬鹿と思えるくらい一途に一生懸命に活動する。目標に向かって行動していく強い行動力を持った人。または、旧来の価値観の枠組からはみ出る。
■「よそ者」:自分たちは気づきにくい視点を持つ。外部からのクールな目によって新しい価値を発見する。従来の仕組みを批判的に見ることができる。
■「若者」:旧来依然としたやり方にとらわれずに新たなことにチャレンジする。新しい文化やスタイルを自分たちも楽しみながら創っていく。若さという強力な体力・エネルギーを持つ。
これら三者に共通するのは、「失敗を恐れない」ということだ。地位や名誉がなければ、たとえ失敗しても後悔をする心配はない。だから、「バカ者」「よそ者」「若者」ほど、大胆なアイデアと行動が飛び出す。そして、しがらみがないからこそ自由な行動が可能となる。ある意味、守るものが少ない立場でもあるので、捨て身の強さがあるのだろう。地域活性化の成功モデルをいくつか見ると、域外から来た若者の斬新なアイデアで地域が復興した、との話も聞く。私も時折、若く専門外の人が斬新なアイデアを出して「そうかその手があったか!」と膝を打つ場面に出くわすことがある。さらに、若さのパワーをフルに活かした一途な実行力に心を打たれることも多い。文化祭や学園祭のあの熱狂的なノリで物事を進めていく感覚なのだろう。
と、このようなことを考えていたら、当社にインターンの申し込みがあり、まさにうってつけの「若者」が来た。
東京大学病院研修医2年目の二宮英樹医師だ。福岡県出身の26歳、大学時代はアメリカンフットボール部の主将をしていた体育会系だ。ローテートしている科で貯まった2週間の休暇を当社のインターンですべて使い切るという驚くべき行動力、ある意味「バカ者」かもしれない。私だったら間違いなく南の島のバカンスへ逃避行をしているだろう。以前、本コラムでも書いたが(龍馬的インターンシップ奮闘記)、当社のインターンは病院経営者やヘルスケア企業経営者とのディスカッションなど、普通の医療現場では味わえない体験を積める。そのような場で二宮医師は物怖じせずにフレッシュでかつ独創的な意見を熱意持って議論に加わる。ディスカッションの場では、彼の意見に触発されてベテラン経営者たちの議論が盛り上がったのは言うまでもない。まさに、「バカ者」「よそ者」「若者」効果だろう。
二宮医師とはインターン期間中に多くの議論を行ったが、その中でも彼が語った“今どきの研修医”に関する意見が印象的だった。今の研修医が日々触れる情報量は、我々が研修医だった頃に比べて圧倒的に多い。受動的・能動的に関わらずたくさんの情報に接するチャンスがあり、それら情報に接することで医療以外の世界に触れることができる。つまり世界観が多層的で幅が広くなっている。
私の肌感覚としても、医療政策や病院経営、ヘルスケアビジネスなど、既存の医療界(臨床や研究)から外の世界に興味を持つ若者が多いように思う。ぜひそのような他の世界の空気を吸う機会を得てから、再び臨床現場に戻ることで、現場で起こる諸問題を解決する糸口を「よそ者」視点で展開してもらいたい。医療界の外部のみならず、いずれ医療界の内部からも「バカ者」「よそ者」「若者」効果で大きな変革が生まれることを期待している。
と、ここまで書いて、隣からそのインターン生の二宮医師と当社社員が原稿をのぞき込んできた。
二宮医師:「ハイ先生も十分に『バカ者』『よそ者』『若者』の3冠王ですよ」
裴:「そうかなあ~、嬉しいこと言うじゃないか。40歳超えても『若者』とはね!」
社員:「二宮さん、社長を甘やかしちゃダメですよ、図に乗るので。でも、おまけで『準若者』ということで2.5冠王です!」
30代前半の若手社員。社長に対しても物怖じしないフレッシュな意見、さすがである。
著者プロフィール
裴 英洙(メディファーム(株)創業者/顧問)●はい えいしゅ氏。1972年生まれ。金沢大学大学院医学研究科修了。外科医・病理医として勤務後、MBAを取得し2009年に起業。医業経営コンサルタントの仕事の傍ら、再建先で臨床医として医療現場に携わる。
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バカになる人、なれる人
日経メディカルonline 2014/11/20
経営コンサルティングの仕事をするようになり、たくさんの経営者やリーダーに会ってきたが、その際に注意して見てきたことがある。
「優れたリーダーの共通点は何か?」
人は一定の組織に長く所属しているとその組織の文化や作法に馴染んでしまい、新たな視点を得にくくなる。いわゆる「思考が硬直化する」と言われる状態だ。ルーティンワークをこなすなら問題ないかもしれないが、日々新たな問題や疑問が起こるような世界、特に医療の世界での思考の硬直化は、価値創造の放棄につながる。リーダーはその硬直化を真っ先に回避しないとならない。
そこに危機感を持ち、組織活性化を心がけているリーダーには共通点があるように思う。それは「バカになれる」能力だ。ここで言う「バカ」とはネガティブワードではなく、現状の問題点を突破するきっかけとなる姿勢、と考えて頂きたい。では、「バカになれる」を、構成する三つの要素に分けて考えたい。読者の皆さんは、バカにするな!と思わずにお付き合い頂きたい。
1)柔軟な発想力
「バカ=マイナスなイメージ」と捉えられるかもしれない。しかし、単なる「バカ」と「バカになる」は異なる。自らバカになることに対して「かっこ悪い」「恥ずかしい」と敬遠する方も多いだろう。しかし、本当に自分のため、周囲のためを考えれば、「バカになる」ことがプラスになるシーンは少なくない。仕事での行き詰まりやアイデア枯渇の壁に直面した際、普段の思考の中には「不可能と決め付けていること」が少なくない。そこで、不可能と思われる“バカっぽい”アイデアを出すような視点の切り替えや許容力がその突破口につながることもある。つまり、「バカになる」というのは、硬直的でなく柔軟で多元的な視点を持てるということだ。さらに、頭だけで考えるよりも実際に行動を起こすことがブレイクスルーを作ることもある。いい意味で「バカになり」何も考えずに手を動かすことが大切な時もあるだろう。
2)学び続ける力
哲学者ソクラテスは「私は何も知らないことを知っている」と言ったという有名な話がある。何ごとも極めれば極めるほど奥が深く自分は何も知らないことに気付く。優れたリーダーは「知らないことを恐れない」。そして“バカになり”頭を下げて教えてもらおうとする。その結果、さらに極みに入っていく。人は「知らない」や「教えて」というと、「そんなことも知らないのか」と言われたりバカにされたりすることを恥ずかしいと思うことが多い。そのような不安は当然あるが、それを克服して素直に「知らない」と言える勇気が、その人の知識や見識をさらに高みに上げる。
3)部下を引き寄せる力
組織のリーダーともなると、部下や周囲からは一目置かれ、そもそも近寄りがたくなる傾向がある。自ら進んでリーダーの懐に飛び込める部下はむしろ少数だろう。このように部下との関係性に硬直性が出てきた場合、リーダー自らが発信する言葉や行動が問われる。部下との間にある見えないバリアを自ら破れるかどうか、自分から部下の緊張をほぐす行動に出られるかどうか、がポイントだ。部下との距離感を縮める方法としてよく言われるのが、自分の失敗談を語ることだ。つまり、雲の上の存在でなく身近な存在であるリーダーを見せることで、部下は安心し、リラックスできる。「バカになる≒人間味を出す」とも言えるだろう。ただ、注意しなければならないことが一点ある。失敗談は多用しないことだ。リーダーが何度も多種の失敗談を語っていたら、『この人大丈夫かなあ?』と部下は不安になってしまい、逆効果となるだろう。
三つの要素に分けて考えたが、意識的に「バカになる」ことで、柔軟な発想を獲得し、さらなる学びを得て、部下との距離が縮まる助けとなる。ただ、職場で突然バカになると「先生、大丈夫ですか?」と不思議がられるかもしれないので、まずは第3の要素の失敗談から開始することをお勧めする。
と、ここまで書いて、隣から社員が原稿をのぞき込んできた。
「ということは、先日の二次会のカラオケで昭和のアイドルを振り付け熱唱して、お店の方に注意を受けたのは、部下との距離を縮めるためだったのですか?」
「もちろん、そうだけど……」
「TPOを選ばずにバカになりすぎると、部下との距離はますます広がりますよ」
このエピソードも次の部下を育てるための“失敗談”として取っておこう……。
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