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NJWindow(J)



これまで日本の教会員の間でも知られていなかったことであるが、
教会の大管長会の一員であるJ.ルーベン・クラーク副管長が、第
二次大戦終了後1946年10月5日総大会の席で 広島の原爆投下につ
いて次のように明確に非難の声明を発表していた。



「この戦争の最たる残忍性は、われわれアメリカ人が日本に原爆
を投下して何十万もの民間人を消し去ってしまったことである。
・・軍関係者は今原子爆弾は間違いであったと言っている。それ
どころではない、あれは世界にとって悲しむべき惨事であった。
・・原爆の惨事で最悪のことは全米国民がそろってこのおぞまし
い大量虐殺を承認したことであった。」

このクラーク副管長は国際法に通じたクエーカー教徒の子孫で、
1948年の総大会でも同趣旨の発言をしている。また、46年の上記
説教の中で、「私は全精力を傾けて核兵器使用を止めるよう抗議
する」と述べており、2年後4月の大会で、大量破壊兵器を先に
使用すること、所謂「先制攻撃」はいけないと糾弾している。

なお、教会は第二次大戦が始まってすぐ1942年4月に戦争につい
て次のような声明を発表していた。
「教会は戦争に反対の立場である。いや反対しなければならない。
主が新しい命令を下さない限り戦争を仕掛けることはできない。戦
争が国際紛争を解決する正しい手段であるとみなすことはできない。
国際紛争は平和的な交渉や調整によって解決しなければならない。
国々が同意すればできるはずである。」(ただ、この後政府の要請
があれば兵役に服する義務を認める文が続く。執筆はクラーク。)

これは、9月15日のモルモニズム研究会の準備をしていて、知った
ことである。われわれは戦争に関連して日本に関する教会指
導者の発言について系統的に調べる必要があると感じた。

資料
Edwin Brown Firmage, “Allegiance and Stewardship: Holy War,
Just War, and the Mormon Tradition in the Nuclear Age,”
Dialogue 16:1 (Spring 1983) pp. 47-61

Ronald W. Walker, “Sheaves Bucklers and the State – Mormon
Leaders Respond to the Dilemmas of War,” Sunstone 7:4
(July-August 1982) pp. 43-56

Text of 1946 Clark statement
“Then as the crowning savagery of war, we Americans wiped
out hundreds of thousands of civilian population with the
atom bomb in Japan, - - - . Military men are now saying that
the Atom Bomb was a mistake. It was more than that: it was
a world tragedy. - - - And the worst of this Atomic Bomb
tragedy is not that not only did the people of the United
States not rise up in protest against this savagery, not
only did it not shock us to read of this wholesale destruct-
ion of men, women, and children, and cripples, but that it
actually drew from the nation at large a general approval
of this fiendish butchery.”


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コメント
 
 
 
希望 (ワサッチ)
2008-09-29 13:23:24
「アメリカ国民である教会員は国家の大統領とともに毅然として立ち上がっています。おぞましく邪悪な力を突き止めて, 自分たちの行為に責任を取らせな
ければなりません。」(米国のアフガン進攻時)

「現在の状況において,このもう一つの責任がわたし個人の感情を支配し,わたし個人の忠誠心を促しているものである,と付け加えたいと思います。

さらに,もしわたしたちが悪と抑圧の力との戦いに参加する人々の道を妨げたり遮ったりしようとするなら,神はわたしたちに責任を負わせられることでしょう。」(イラク戦争時)

上記のヒンクレー大管長の言葉を聞いた時の私と周囲の教会員の落胆は今でも覚えています。

そのなかにあって、このクラーク副管長による教会の声明は私にとっては希望です。
 
 
 
21世紀に入って (NJ(最近の推移))
2008-09-29 21:29:44
コメントありがとうございます。21世紀に入ってからの推移(イラク戦争後)をまとめてみました。

1.2003年4月 ヒンクレー大管長 大会説教「戦争と平和」でイラク戦争を支持(マタイ10:34引用)

2.戦争を支持する通説 “戦争は相手国に福音が説かれる門戸を開くことがある”が浮上 例 ベトナム、イラク(今後) 2003

3.2006/10/31 BYUでヒンクレー大管長 「戦争の恐ろしい犠牲」を嘆く。「何と無益なことで、何とひどい代償を強いるものか」と。この発言後ldsのイラク戦争支持が65%->44%と下がったと伝えられている。

4.2007年4月ジェームス・E・ファウスト第二副管長 大会説教「赦しのもたらす癒しの力」 アーミッシュが加害者を赦した精神を引き、悲劇的な被害にあっても復讐をしないよう説く。

初め米政府のイラク戦争を支持していたのが長期化し行き詰まるにつれ、論調が変化しているのがわかります。
 
 
 
リアホナは1957年からしか見られないのですね? (Nanchanttoice)
2008-10-09 18:18:00
戦争などのドキュメンタリーを見ていると神風特攻隊、広島長崎への原爆、ひめゆり学徒隊
真珠湾攻撃、クロードイーザリー、ジョーオダネルさんらなどなど、戦争は、本当に平和とは程遠い相反するもので、悲しいことです。
世論に押されながらも声をあげている人が日本にも、ほかの国々にも、戦争に反対していた人たちが当時いたのではないだろうかと思っています。
日本でも、アメリカでも、世界の国々にも、こうした広島長崎の発信すべきメッセージが広がってほしいと思います。
 
 
 
戦争はなかなか無くならない?! (NJ('57に発刊))
2008-10-10 07:29:27
Nanchanttoiceさま

励ましのコメントをありがとうございます。残念ながら戦争は人間のサガ(国際政治力学)が起こす悲劇でしょうか。なかなか無くならないように思われます。しかし、だからこそ声を上げ続けていかなければならないと考えます。

リアホナ(聖徒の道、LDSメッセンジャー)は1957年発刊です。(さらにその前身が戦前にあったわけですが)。
 
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