「戦争と平和」
政府を支持するという信条からアメリカの教会員はアフガニス
タン、イラクに対する戦争を当然視し、モルモン書に登場する勇
壮なモロナイ将軍のイメージが浸透しているようである。「戦争
の結果その国への伝道の門戸が開かれる」というような軽薄な発
言が日曜学校や神権会で聞かれるという。
このような戦争を肯定する傾向に対して警鐘を鳴らす発表者が
いた。オレゴン州のフランシーズ・リー・メンラブさんは「戦争
を祝福する神は信じない」と述べていた。
またジョシュア・マドソン、ロン・マドソン弁護士父子は、
9.11以来戦争にのめり込むアメリカとそれを考えることもなく支
持する末日聖徒を見て疑念と懸念を抱き、じっくり聖典を精査し
た結果 教義と誓約98:16の「戦争を放棄して平和を宣言しなさい」
という言葉が聖徒に対する法規であり、道徳的基盤である、と結
論づけた。もろもろの戦争に関連する聖句はキリストというプリ
ズムを通して読まなければならない、と指摘していた。
ロバート・リーズも末日聖徒の戦争好きには困ったものだ、と
私に語った。
ラビナ・フィールデイング・アンダーソン
「モルモン相談所(Mormon Alliance)」理事で「モルモン歴史
学会誌」の編集長であるアンダーソン女史は昔 破門された人々
をリストアップして批判的な記事を書いたことで教会から破門さ
れた人である。しかし、破門された苦悶のうちにもイエス・キリ
ストの福音に対する信仰を失うことなく、自分は「教会に愛着を
抱いて」(stay attached to the Church)今日に至っている、と
言う。彼女は「なぜ教会に留まるのか」というパネルデイスカッ
ションで他の4人と発言したが、彼女の発言後部屋一杯の出席者
の拍手が暫く鳴り止まず、人々の女史に対する理解と支持が大き
なものであることがよくわかった。
私は春に拙速伝道の原稿をモルモン歴史学会誌に提出していた
が、編集長であるアンダーソンは会場で私と出会って、もう少し
取材の幅を広げて客観性を増せば掲載できると助言してくれた。
さらに論文の論調に赦しの精神が必要と述べたのが驚きであった。
その他
最近メデアをにぎわしたFLDSについて、ヒンクレー大管長
の遺産、他のクリスチャンとの交流活動、ロムニーの大統領立候
補について、「メドーズ山の虐殺」最新刊についてなど興味ある
テーマが数多く取り上げられていた。アメリカにおけるモルモン
教会の様子、リベラルな層の状況などがこのシンポジウムに参加
して直接観察することができた。
以前はそれほど感じなかったが、このたび聴衆を含めた参加者
が高齢化しているのが感じられた。それを運営者の一人に言うと
その通りである、若い人は信仰に疑問を抱くと来なくなってしま
うとのことであった。

ある発表の場面
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モンソン大管長がアルベルト・シュバイツァーの「イエス伝研究史」から引用していたことを発見して驚きました。(リアホナ03年1月号)
リベラルな本も読んでいる?
総大会で七十人会長会のロナルド・A・ラズバンド長老がモンソン大管長の引用を再引用していたのを読んで気付きました(リアホナ08年5月号)。ラズバンド長老は読んでいないだろうな…多分。
アイリング長老はブルトマンとかも読んでいそうですがオフレコでないと本音の感想は聞けないだろう。
教会の指導者ではマックスウェル長老がナグ・ハマディ文書から引用した記事がエンサイン誌(1985/11月号)に出ています。
高学歴な指導者は本当は広範に読書していて、研究の姿勢を保っていると思います。
(リアホナ03年5月号中央初等協会会長シェリル・C・ラント)
ラント会長のいう聖文の欠点が具体的に何を指しているのかは分かりませんが
>御霊が伝えることに耳を傾ける必要があります
聖文に欠点があることを認めて「霊」による読み直し(修正、補足等…)をする必要性を説いています。
この部分の原文は find fault with .. となっていて「あらを捜す、・・に不平を言う、・・を非難する」の意が強い表現でした。(「欠点を指摘する」の意もありますが)。文脈は、そのようにするのではなく心を開いて「御霊が伝えることに耳を傾ける必要がある」と説いている部分でした。
[リアホナ誌 '08年5月号 p.13; UTube Cheryl C. Lant speech]
ご指摘ありがとうございます。