情熱の薔薇

天幕旅団主宰:渡辺望が傾ける様々な情熱。

「回顧・2013」の情熱

2013-12-31 23:58:04 | つれづれに


さて、ずいぶんとこのブログ、ほったらかしにしてしまいました。

今年は後半から公演が続き、気がつけば天幕旅団の冬の公演も終わり、あっという間の年の瀬です。
ここの更新をしてないと、なんだかもう、あいつ生きてるのか?みたいな感じになりますが、生きてます。
わりと元気です。

先日のピノキオのことも、全然書いてませんが、ひとまず、無事に終わりました。ご来場下さった皆様、来れなかったけど気にかけてくれた皆様、今更ながらありがとうございました。

ピノキオのことはまた、あとがき的に色々ここに綴ろうかとも思ったりしておりますが、今年ももう終わってしまいますし、とりあえず一年を振り返っておこうかと。
誰かに発信するというよりは、忘れっぽい自分のための、備忘録。


★7月 天幕旅団「波よせて、果てなき僕らの宝島(ネバーランド)」★ 脚本・演出・出演

一本めは夏でした。
今年の前半はかなりゆっくりとスタートしたわけで。
一昨年、少人数の作品が続いたので、ちょっと大人数でわいわいやりたいなという思いがあって。
年明けから数ヶ月、WSを重ねて新しい役者さんたちと出会う作業をしました。
で、総勢11人、近年の天幕にしてはかなり多めのキャストで作りました。
初参加も多かったり、久しぶりだったり、元劇団員だったり、色んな役者が集まって、近年の天幕芝居にはない感じの、わちゃわちゃした感じの勢いになったなあと、振り返っております。

前身劇団:笑劇ヤマト魂で作った作品の改訂再演。初演はなんと9年前。
昔の自分の言葉と向きあうのは、なんだか照れ臭かったり、でも、色々気付かされることもあったり。
初演当時と変わったことと変わらないことと。色んな思いを詰め込みました。

久しぶりの中野ザ・ポケットで、ずっとやりたいなと思っていたセンターステージに挑戦。
どうやら、ポケット史上初めてのことだったらしいです。
客席に囲まれた舞台、プロレスのリングのような見世物感。
今後も、この形式は追求していきたいなと思っています。

作りながら漠然と考えていたのは、「あこがれ」について。
海の向こうへのあこがれ、冒険へのあこがれ、大人へのあこがれ、そして、あこがれる思いが強いが故の、叶わなかった時の絶望。
宝島を目指す少年と、宝島で死んだ少年と。
二人の物語に、冒険を託しました。

エンタメ色の強い作品を久しぶりに作って、楽しかったです。
こういう雰囲気の作品、しばらくはやらないと思うのですが、機が熟したらいつかまた、と思っております。


★8月 LiveUpCapsules「空を飛ぶ」★ 出演

自分の劇団では出演もしますが、僕自身のポジションは脚本と演出だと思っていて。
なので、役者として舞台に立つことには、なんだかちょっと引け目を感じているというか、本来の仕事ではないことをしているというか、落ち着かない感じが多少なりともあります。
そんなわけでここ数年は、客演のお誘いは、ずっとお断りをしていたのです。
なのですが、最近少し、役者をすることへの意識がちょっと変わってきまして。演者としても機会があればなるべく舞台に立っていこうかなと。

そんな時期に、たまたまお声かけ頂いて、ホントに久しぶりに外部の劇団に客演をすることになりました。
結構昔からお知り合いだった、LiveUpCapsulesさん。

零戦の発動機を作った設計士たちのお話。自分としては初めて、戦争を扱った作品に参加しました。
ちょうど、件のジブリの映画が公開されてたり、八月という季節もあったりして、かつて起こった「戦争」というものについてたくさん考えました。

生きること。
確かに、生きていた人々のこと。
きっと、あの夏も今年と同じくらい暑かったんだろうな、と思ったのです。

なんだかとても一途な役で、飛行機を飛ばすことにずっと情熱を注ぎ続ける熱い人物。とにかくキラキラすることを目指しました。


★10月 smorkers「スマイール」★ 出演

夏に引き続いての客演は、大人のコメディ劇団smorkers。
昔から観客として見ていて、ずっと憧れていた劇団に、念願叶って参加させて頂けることになりました。

ここは、とにかく脚本が面白くて。
数ある小劇場演劇の劇団の中で、ちゃんと笑えるコメディをやるところって、稀有だと思うのです。
そして、出ている役者さんがみんな上手い。達者な皆さんの足を引っ張らないように、稽古中はわりと気を張っていたような気がします。

出演者の人数が多くて、なおかつその中でも、チームで動くポジションだったので、とにかく周りと連携をとることを心がけました。

アパートに住み着いた地縛霊という役で、とにかくずーっと舞台上に居て。
本番中にも関わらず、皆さんの演技に素で笑そうになったり、物語に泣きそうになったり。
毎度毎度、飽きない舞台でした。


★12月 天幕旅団「星降る闇にピノキオは、青い天幕(サーカス)の夢を見る」★ 脚本・演出・出演

んで、12月。
一年半ぶりに、メンバーだけの四人芝居。
夏に大人数でエンタメ芝居を作った反動か、冬の作品は静かでシンプルな作品になりました。

昨年の「紅い雪」で白雪姫をやって、同じ劇場・同じメンバーで何を作るか。
悩んだ結果、「ピノキオ」を題材にすることにしました。
実は、ディズニーの長編映画第一作が「白雪姫」で、二作目が「ピノキオ」だったそうで。
それに擬えるという趣向もアリかしら、と思って、今作の俎上に乗せました。

「人間になりたい」と願うピノキオの物語。
では、その「人間」ってなんなのか。
原作を読んでも、映画を見ても、人間らしくて元気に走り回るピノキオの姿がそこにあって、これ以上彼は、なにを望むんだろう、と。
人間になって、彼はなにをしたかったのだろう、そこから紡いだ物語でした。

生きていること、と、生きていないこと、の決定的な違い。
彼には決して得ることのできない心臓の鼓動を、時計が時を刻む音に重ねて。
永遠に生き続ける彼にとって、時間とはどんな存在なのか、考えました。

脚本執筆に完全に行き詰まって切羽詰まっていた時、たまたまギルバート・オサリバンの「アローンアゲイン」を耳にして、なんだかラストシーンがすとんと、おりて来ました。

劇団員だけで紡ぐ稽古場は濃密で。
今後もまだまだ、色んな可能性が探れるな、と思ったのでした。


そんなわけで、今年ももう終わります。
劇団公演が二本、客演が二本、前半ゆったりしていた分、後半にバタバタと駆け足をした一年でした。

来年もまた、夏と冬に劇団の公演を。
そして、役者として客演もしていけたらなあと思っております。

本年も、天幕旅団をご贔屓頂きましてありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。

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