今年も残すところ、2週間になりました。
年賀状一枚も書いていない状況、時間を作らなければ成らないのに、野暮用に時間を費やしています。
年が明ければすぐに人事異動の時を迎えます。
人事異動を考える際に、大いに役に立つのではないでしょうか。
しかし、優秀な人材ばかりの組織は、そうは無いでしょう。
約45年も続き、今でも「サザエさん」と並び、日本のテレビを代表する
大長寿番組「笑点」。つい最近も30%近い視聴率を上げている。
「笑点」の構成作家佐藤かんじさんの話は「集団の中における
個人の役割」を考えるうえで示唆に富んでいる。
「全員が優秀だと成果は上がらないんだよ」
笑点のメンバーはいずれも“天下の人気者”だが、これまでの歴史を
振り返っても、全員が噺家として超一流だったか、といえば「いやまあ、ねえ…」と
いう答えが返ってくるだろう。誰がそうとは言わないが、番組草創期から相当に、(レベルに)ばらつきのある人選であった、と佐藤さんはおっしゃる。
そもそも当時、既にダントツの人気・実力を誇った天才噺家、立川談志師匠が司会をやっても、あまりうまくいかなかった。ところが、噺家としては超一流の評価がありながら、司会はまるで下手な故三遊亭円楽師匠のドタバタな司会の方が、かえってほどよい加減で、茶の間ウケはよかったという。
メンバーも、出されたお題に見事に応えて喝采を浴びる者がいれば、ちょっとお粗末で、失笑を買う人もいる。これが笑点の昔からのスタイルだったそうだ。
番組の人気の高まりとともに、改編(4月、10月の番組編成の見直し時期)ごとに「もっとすごいメンバーをそろえれば、数字(視聴率)が取れるから、メンバーを入れ替えろ」という「真っ当な」声も上がった。でも「笑点」は、“ゆるゆる”な人選を替えなかった。それが結果的によかったと、佐藤さんはおっしゃる。
その証拠に、「お好み演芸会」を放映していたNHKが「笑点のあのメンバーであの数字が取れるなら、ウチはベストの噺家をそろえて、民間放送の笑点ごときはぎゃふんと言わせてやる」と言い出した。そしてNHKのメンツにかけ、超豪華メンバーをズラリそろえて、笑点と同じような大喜利番組の放送に踏み切ったという。
「NHKのその番組は、(立川)談志、(三遊亭)円楽、(桂)枝雀、(橘家)圓蔵、(春風亭)小朝。誰一人文句のつけようのない、当時最強のメンバーでやったのよ。華の5人衆。みんなすごい名人勢揃い。面白さの天才が一堂に会した布陣だ。ところがこの番組、数字がふるわなくて、確か1年と持たなかったな。結局、メンバーにでこぼこがないんだね。みんな、すごい。もれなく客をうならせる。でもそこからは、お客さんが和めるようなチームワークは育たない。だから茶の間は、気楽に番組を見られない」と佐藤さんは語る。
「笑点だと、面白い人もいれば、すべる人もいる。突っ込みどころ満載だから、視聴者も気楽に安心して見ていられる。ああいうゆるいバランスが大事なんだね。学校でも、そうじゃない。クラスには、頭脳明晰で皆の尊敬を集めるタイプもいれば、成績は難ありだけど、キャラがおかしくて、いじり甲斐があるからけっこう人気者なんてヤツもいて、全体で1クラスのバランスが保たれる。昔は社会全体が、そんなふうにおおらかなモンだった」