金に感謝する幸運の呪文
C氏が、ベンチャー企業を立ち上げたのは20年前だった。薄汚れたマンションの1室に事務所があり、その壁に1枚の山の絵が張ってあった。「いつもその絵を見ながら、頂上を極める自分をイメージしていた」とC氏はいう。
峻厳な山である。しかし、人を拒むように切り立った山の頂は、そこだけ美しい夕日を受けて輝いていた。
そのイメージ通りにC氏は頂点を極める。業界のトップ企業に上り詰め、今やいくつもの会社を傘下に置く、企業グループの総師である。
この人が20年前から現在まで、必ず実行していることがある。サイフからお札を出すとき、「ありがとう」と心に中で声をかけるのだ。そして、「仲間を連れて、戻っておいで」と付け加えるのである。 「もしこの20年で、多少のお金が貯まったとしたら、この呪文のおかげだ」
C氏は本気でそういう。