のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

千歳 5

2009-06-11 | 小説 忍路(おしょろ)

 フロントで、里依子に渡された宿泊券を示し、やがてその一室に落ち着いた。
ホテルの窓からは悠長な町のたたずまいが見え、その町全体が雪にまみれてあくびをしているような雰囲気がある。にもかかわらず白黒に還元された町のコントラストの強さに惹かれ、思わず立ち上がって窓辺に歩みよった。
 雪の白さが新鮮な透明感を感じさせ、その清楚な装いが里依子と重なるのを、私は抗いもせず楽しむのだった。
 ホテルの裏側に寡黙な雪の丘が座り、その上にもの思わしい林が見えた。しばらくそのしめやかな眺めから目が離せなくなった。そしてにわかに、そこに行ってみようと思ったのである。
 スケッチブックを取り、私はそのまま外に出た。
 ホテルの玄関を出て、その右側に伸びる道路を行くと小高い丘がある。


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