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筆触法(第八週)遠近の秘密

2017-07-22 | 心のデッサン無料公開授業

 南禅寺界隈の疎水  (きれいな一点透視図)

 

先週は空気遠近法の考え方を学びました。

空気の重なりが遠近の見え方を変えているということを理解していただいたと思います。

 

今回は目が作る遠近法をお伝えします。

というより、あまりに常識的で見たままのことですけれど、こんなことを考えたことはあるでしょうか。

なぜ近いものは大きく、遠いものは小さく見えるの?」こどもの質問ですが、

 まずその答えから見ていきましょう。

 

 疎水を黄色の目の位置から見ていると考えてください。

1、2、3と数字をふった赤い線は水路の幅。つまり同じ大きさなのですが、遠くに行くにしたがって小さく見えていますね。

これは次のような理屈だと考えられます。

目を中心にして、目に映るものの端と端を結んだ角度(黄色い線が作る角度)の違いによって頭脳はものの大きさを判断しているというのです。

 

1,2,3と遠くなるにつれて、黄色い線の角度が小さくなっているのがわかりますね。

この角度を「視角」と言いますが、つまり視角が大きいと大きく見え、小さいと小さく見えるということなのです。視角の大きなものは、網膜に占める面積が大きいということとつながっているのです。

遠くなればなるほど視角は小さくなり、水平線まで行くと視角は0、ものは点になって網膜から消えます。これを消失点と言って、一つだけ消失点を持つ図法を1点透視図と言います。まさに写真の水路の図ですね。

 

この視角で面白い現象が太陽と月ですね。太陽は月の400倍もの大きさと言われていますのに、空に見える大きさはほぼ同じです。

これは太陽が地球から月の距離の400倍あるために、私たちが見る月と太陽はほぼ同じ視角になるからだそうです。

「視角」という言葉を覚えておいてください。

 

ところで、すぐ目の前にあるコップや箱などをデッサンする場合には透視図はあまり関係ないのではと思われるかもしれません。

確かに机の上のものを描こうとするときには、遠くを見通す必要はありませんし、見た目にわかるほど前後のものの大きさが変わるわけではありませんよね。

 

しかし実はこの遠近法(視角)は机の上のものをデッサンする場合にも大変重要なのです。

これをご覧ください。

 ②

机の上のものでも、こんなに見え方が違うのです。

この①~④は、何が違っているのか分かりますか。

普段身近のものを取り扱って生活している私たちにとって、①の見え方のほかはあまり意識していないのですが、意識すれば手のひらに乗るようなものでさえ、遠近が現れているのが分かります。

 

①~④の違いは、ものと目の距離の違いです。

①はごく普通に50センチほど離れたところから見たものです。

②以降どんどん目を近づけてみたもので、

④はほとんど接するようなところから見たものなのです。いわばアリの視点ですね。

 

ものに目を近づけるということは、

 図のように、近づくほど視角が大きくなっていくのが分かりますね。この視角が180度になったら目にはこのものしか映っていないことになります。

遠近法の秘密は、この視角にあったのです。

見た目の大きさは、目に映る広がり(視角)によって判断していたわけですね。

自分とものの関係を強く意識すると、常識の後ろにある真実に出あえるのです。

筆触法は、このように、ものごとを常識の範囲で見るのではなく、自分とものの関係を深く知ることでもあるのです。

 

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この教室は、

筆触法 (第二週) (第三週) (第四週) (第五週) (第六週)(第七週)

の続きです。初めての方は、最初からお試しくださることをお勧めします。

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