筆触法(5/31) 筆触法(第二週)(6/9) 筆触法(第三週)(6/16) 筆触法(第四週)(6/23)
の続きです。初めての方は、最初からお試しくださることをお勧めします。
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筆触法は、コップの上をアリが這っていくという想像をしながら、その軌跡を鉛筆で追っていくことでした。
コップの上をくまなく散歩しつくしたら、そこにコップの(存在)形が自然に現れるというもので、先週はいよいよその実際を鉛筆を使って実践いたしました。
勿論、うまくいかなくても大丈夫です。というより、満足の行くデッサンにはならなかったのではないでしょうか。
今回は実践例を、もう少し丁寧にお示ししながら、皆様と共に筆触法によるデッサンの完成までを楽しむことにしましょう。
前回、モデルのコップを半透明にした画像をプリントして、その上から筆触法を試して見たらという提案をしましたが、まずその実践例を見てください。
①筆触法でコップの表面をくまなく歩く
こんなふうになります。
鉛筆はHB程度のもので、力を入れずにコップの表面を歩くということに徹します。基本の線は、縦、横の線だけです。
そうすると、横の線はコップの形と大きさが示され、縦の線は、コップの存在をあらわっしているような気分になってきます。
ここで大事なことは、コップの形がこれで完成したということです。
つまり、コップの形は縦横の線で充分表現できるということなのですね。
ところで、見てわかるとおり、誰もこれで満足する人はいませんよね。必死で頑張ってこの程度か。前回の説明でその通り描かれた場合筆触法にがっかりされた方もおられるでしょう。その点は授業の段取りとはいえ、申し訳ないことでした。
しかし、筆触法はとりあえず上の描線で完了なのです。
この絵は、コップの実際の形を描き切りました。形をつかむためにこれ以上描く必要はありません。
ところで、このとりあえず完成のデッサンにはもう一つ意味が込められています。
それがコップの全体に均一に光があたっているということです。つまりどこにも影がありません。
筆触法で引く線は力を抜いて(薄い線)で描くと言いましたが、それがこの意味だったのです。つまり全体を光があたった状態として描いたものなのです。
全体にぼやけた絵になるのは当然ですね。
ですから、筆触法の第二弾は、この形に「闇」を描き込んでいくということになります。
すでにお分かりのとおり、闇は物質(コップ)ではありませんよね。それは光の当たっていない場所(陰)であったり、あるいは光のさえぎられた場所(影)であって、物質ではありません。
闇はものではなく空間なのです。
つまりアリは空間を歩くことは出来ませんね。
闇を描く線は、直線に歩くアリの軌跡ではありません。アリの線では硬すぎるのです。影は空間を動く自由な線とならなければなりません。
実際には縦横の線に加えて、斜めの線を使います。空気のように自由に動いて描く意識を持って闇を描いてみてください。
しかし斜線を使いすぎないうにしてください。使いすぎると、せっかくアリさんが歩いてつくったコップの形が斜線で見えなくなってしまいます。そうなったらコップの形が崩れて失敗することもありますから、作例を見ながら、適度な関係を探ってみてください。
いきなり強い線で描かず、ゆっくり少しずつ、描かれたコップの形を崩さないように、鉛筆を何層にも重ねて光を消していきます。
②闇(陰)を描いて行く
①の絵の上から、実際の闇をよく観察しながら、光の当たっていない陰を描いて行きます。
この時大事なことは、コップの形を表す縦横の線を斜めの線で消してしまわないことです。陰の濃さにあわせて、縦横の線も描きこんでいるのがわかるでしょうか。
あわてず、少しずつ陰の調子をつかみながら、光を消していきます。
するとどうですか、①のぼやけたコップの肌が、少しずつ光を受けたコップの面になっていくのが分かりますね。
何度も言いますが、筆触法ですでに光を描いているという意識を持っていただければ、光を受けている部分は、まわりの不要な光を消してやるだけでおのずと光りはじめるのです。
筆触法は、このように、光の中のコップの形を描き、その後に光の届かない闇を見つめて不要な光を消していく作業なのです。
筆触法の第二弾は、「アリ」の鉛筆から「闇」の鉛筆となることです。
鉛筆はB~3Bがいいでしょう。
慣れてくれば、第一弾~第二弾に使用する鉛筆はB一本で描くことが出来ます。これは鉛筆の使い方を学習すれば簡単にマスターできます。(それは後日)
鉛筆の先が画面に触れると、その部分の光が消える。そう考えて鉛筆を使います。
第一弾でできた、光の中のコップを現実の世界に浮き上がらせるために、不必要な光を消していく。
それはまるで光の彫刻です。あふれる光は原石のようなもので、「闇」の鉛筆はのみとなって原石から不要な石を削り女神を削り出す。まったく同じことがデッサンで起こります。
光を意識しながらその裏側(陰)を描くというのは、不要な光を一つ一つ消していくことに他なりません。陰には無数のバリエーション(光と闇の割合)がありますから、それを見極めるのはあなたの感性ですね。
(陰に繰り広げられている光と闇の戦いを想像しながら楽しんでください)
意識が高まると、その陰は一様ではなく、コップや床から反射する光がほのかにあたっている部分があったり、コップの肌の模様が見えたりしている微妙な変化を見分けるようになります。
観察力がデッサンの精度を高めるのです。
③闇(影)を描く
遮られた光は、その形をそのままテーブルに投影されます。まさに影ですね。
影は光が遮断されたしるしですが、その光はいうまでもなく、コップの本体を照らしているわけですね。
影にはたくさんの言葉が隠されています。
一つはやってくる光の角度と光源の位置(コップの端と影の端を結んだ直線)
二つには、コップの置かれている場所の形(平面なのか、凹凸のある場所なのか等)
三つには、コップと影までの距離(距離が離れるほど影は薄くなる)
四つには、コップとテーブルの間で起こっている光の照り返し
影を観察すると、たくさんの物語が見えてきます。
テーブルの上も、筆触法でアリが移動します。影に入ったアリの体感も想像しながら、コップと空間とテーブルの関係を楽しみます。
念のため申し添えますが、光があたっている部分は、①で描いたものからまったく加筆していません。
さらにこのデッサンを更によくするには、ハイライトを入れることです。
ハイライトとは、光がコップにあたって直接反射して光っている部分です。よく見るとコップの手前の縁の内側に光る線、取っ手の部分などにみられますね。
これは直接反射の部分ですから。筆触法で線を引いた①画面より明るいですので、ハイライトの部分は、練ゴムやきれいな消しゴムをそっと押し当てて消します。
しかしまちがっても擦らないようにしてください。擦ると余計なところが黒くなって収集がつかなくなります。
(実践画像は省略)
筆触法によるデッサンの完成です。
次回は鉛筆の使い方です。
-------------心のデッサン教室------------------
興味ある方は、実地で体験していただくことが出来ます。
毎週金曜日 10:00~12:00 の間
・費 用 500円(1回1時間) テキストあり
・使用 材料 スケッチブック・鉛筆 その他
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・場 所 パーソナルギャラリー「瞑想空間」
泉南市信達市場2622-5
waakitayabu@yahoo.co.jp
(お問い合わせ予約は上記メールでお願いします)
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こんにちは!
筆触法(第五週) 陰と影☆
ありがとうございます。
光を消して、光を際立たせる
影の力素晴らしいです^ね^
「鉛筆の先が画面に触れると、
その部分の光が消える。
そう考えて鉛筆を使います。」
それはまるで光の彫刻です。
あふれる光は原石のようなもので、
「闇」の鉛筆はのみとなって
原石から不要な石を削り
女神を削り出す (のしてんてん画伯)
光を意識しながらその裏側(陰)を描くということは、
不要な光を一つ一つ消していくことに他なりません。
陰には無数のバリエーション(光と闇の割合)がありますから、
それを見極めるのはあなたの感性ですね。
影にはたくさんの言葉が隠されています。
☆∞☆∞☆
のしてんてんさん♪
名言ばかり、心魂の糧とさせていただきます。
それにしましても、
陰と陽、影と光は、それぞれが超対称性、
お互いに不可欠な存在ですが、
陰と影の力は奥深く深遠で、非常に重要。
まさに宇宙95%正体不明未知領域の
不可思議力のようですね。
感謝感激!学ばせていただいております。
午後からも素敵な時をお過ごしくださいませ☆
いつもありがとうございま^す^
まかこ 拝
どれ一つとってみても、光と闇の彫刻ですよね。そのことを理解していただけたら、筆触法はほぼ完成です。
何枚も描いていると、自然に身についてくるのが空気あるいは空間の生まれる瞬間に気付く力です。
紙は平面ですが、ものの形(実在)があって、その上で繰り広げられる光と闇の関係が完成に近づくと、あるとき平面の紙が消えて、画面に空間が現れます。
そしてデッサンの精度が上がれば上がるだけ、そこに見える空気が透明になっていくのです。
身近にある小さなもの、消しゴムや鉛筆でも構いません。筆触法を意識しながら描いてみてください。
ふと気付いたら、そこに空間が見えるようになります。
私の場合、空間が現れたらデッサンの完成と考えていますが、空間が見えるようになったら、面白さが倍増します^よ^
コップを外側から描くのではなく、内側から描くということですね。
こちらこそありがとうございます!
のしてんてんさんでしたら、
『空間の生まれる瞬間』
絵画創作の純粋境地に達し
体感なさっておられると思います。
またのしてんてんさんの作品は奥行きが無限、
宇宙空間とリンクなさっていますもの、
『空間の生まれる瞬間』は、
光と闇の鮮烈な迫力でしょうね。
のしてんてんさんが、
のしてんてん流の龍を描かれましたら、
どのようなことになるでしょう♪
完成のあかつきには、
アトリエ宇宙をのしてんてん龍が、
うねり渦巻き飛翔するでしょうね
なんだかマカコ心象界でも、
のしてんてんさんのアトリエ宇宙と
大宇宙リンクの宇宙を、のしてんてん双龍が、
ところ狭しと飛翔していますが、
のしてんてん龍の展開(天開)が楽しみで^す^
私も空間の生まれる瞬間をめざしまして、
筆触法を意識しながら、アリ歩き筆触法、
精進させて戴きますね。
素晴らしいお話をありがとうございます。
のしてんてんさんに素敵な夢を♪
ごゆっくりお休みくださいませ☆
感謝感激∞8∞八方拝です
それを堅苦しくいうと、
見た目にとらわれず、存在の原理を紙の上に再現するということなのですね。
筆触法で描くと、心と描く対象との間に実在という太い(?)パイプで結ばれるのです。
これはアカデミックな技法とは違った、まさに内側から描く方法で、私はこの筆触法を心のデッサンと呼んでいるのです。
そしてのしてんてん絵画として実践していますから、方法論として誤りはないと思っています。
是非試してみてください。
のしてんてん龍。
描きたいですね。いつかきっとそんな絵が絵が描けるように精進します。
その時は是非、本物の絵をまかこさんのもとに持参して、観ていただきたいと思います^よ^。
実際、ネット上ではありますが、こうして お付き合いする中で私は随分まかこさんに成長させて頂いたと思います。
ネットの弊害が叫ばれる中、私は人間としてよき面をたくさん教えられました。
これからも、共に如意宝珠を手にする龍の道を進んでいきましょう^ね^
中動態という言葉は私の意識の中にはありません。
しかし能動態と受動態による私たちの認識は表面的で、己を知らないまま突っ走っていく浅はかさを感じています。
筆触法は、受動態のように、ただ形を目でつかむのではなく、その真実(対象)を己の全心身と関係を持つことで、己自身をその対象と共に描き出すということですし、
他方能動態のように、自分の意志を完遂させるために描くというのではありません。
己という存在をよくは知りませんが、その思考がつくる目標に従うだけの絵は、浮薄であり、何度も私自身が失敗した実践を持っています。
筆触法は、能動態のようにつくり出した目標で動くのではなく、ものと自分と宇宙(光と闇)の関係からおのずと生まれてくる意志に従う描写法なのです。
Unknown様は、それを中動態という言葉で言い表していただけました。
俄然その中動態に対する興味がわいてきました。
よろしければご教示いただけませんでしょうか。
そういう思考方法の分類があるのなら、思考を探る上で大きな力となるでしょう^ね^
私は美術の事がさっぱり分からないのですが、臨床哲学から中動態を知ったのです。
今度、森田亜紀さんの本を買おうと思っているのです。
こんばんは!
こちらこそ過分なお褒めのお言葉を戴きまして
恐縮しき^り^;; ありがとうございます。
のしてんてんさんからは、
たくさんたくさん学ばせていただいております☆
これからもよろしくお願いいたします♪
常に今空間
光速を超える超心速飛翔で
宇宙円相螺旋を巡る
のしてんてん龍☆
六芒星の掌五芒星の爪で
宇宙平和如意宝珠をしっかり握りしめ
龍道をうねり邁進する
のしてんてん龍☆
楽しみにしておりま^す^
今宵もごゆっくり
素敵な時をお過ごしくたさいませ♪
感謝一念
まかこ 拝