死は忌み嫌うものの王様のような存在だ。
その王様を受け入れるということが浄土に至る最後の門ということになるだろう。
受け入れなくても、最後に死はやってくる。
最後まで受け入れないで死に至る苦しみは想像するだけで恐ろしい。
受け入れが生きることだと気付いたら、人はそんな苦しみを背負うことはない。
死もまた至福の中にある。それが本願の根本だと思うのだ。
死に対する恐れは、私の願いから生まれ . . . 本文を読む
のしてんてん絵画「浄土」の組作品16枚の内、最後の作品となるのは死をテーマにしたものになる。
すべてを受け入れるところに真実が見えてくる。
人が生きる意味。人はどこからきてどこに行くのかという素朴な問いかけ。
これに100パセント応える言葉はない。
その答えは心にやってくる至福だ。
至福がなければ、どんな答えもどこかで間違いを犯している。
どこかで命の真実を拒否する心がはびこっていると . . . 本文を読む
12日に定例法話があるというので、準備をして出かけた。
作品のめどがついたので、案内状の内容を最終確認してもらったうえで発送する予定だった。
時期的にもうぎりぎりのところに来ている。
ところが寺は大門が締まっており、どうも例会があるような雰囲気ではない。あれと思って小門から入ると本堂も正面1枚を残して雨戸が閉められていた。
仕方なしに門を出て掲示板を見ると、定例法話は11日(金)となってい . . . 本文を読む
最近目覚めると4時前後というのが多くなった。
暖かくなってきたせいもあるだろうが、何より日の出が早くなってきたことが原因だろう。
30分かけて浜まで歩き、草引きをしていると、すぐに東の空が燃え始める。
夜明け前が好きだ。
浜の1.5キロに及ぶ直線の遊歩道を毎朝歩く人とは顔見知りとなるが、6年前にさかのぼる。
早朝一人杖を突いた男性が、ぎこちない動作で遊歩道を歩いて行った。
それから毎日 . . . 本文を読む
生命のリングを、種子から誕生とくれば次は花ということになる。
花のイメージを私の中で探ると、いのちの重さと深さを感じさせる大輪の菊の花に行き当たる。
手前味噌ながら、菊の花は2000年花の美術大賞展で大賞を頂いた。
それ以来何度も描いている。私にはなじみの深い花だ。
「浄土」本願の3作目はこの花に決めた。
無数の花びらが中心に頭を向けて折り重なっている様は、求道の徒を思わせる。
そして . . . 本文を読む
人となるために、受精卵は分割を繰り返し、生物の進化の過程を繰り返す。
細胞はなぜ、まっすぐ人に向かって成長しないのだろうか。
そう思うと、この体が永遠の過去につながっていることを実感する。
今のこの私は私のものではない。そんな考えが自然に出てくる。
だからこそ命は尊いのだろう。
胎児を描くのは難しかった。
つかみどころのない命のかたまりを線で描くのはつらいところがある。
線を進める方 . . . 本文を読む
種子から新たな命が誕生する
描くべき対象は本願を思いついたときからすでに決めている
そして私のもっとも苦手なもの
ふわっとして、暖かく穏やかな透明感をもつ胎児の姿だ。
私の筆力では、あの姿を描くことはできない。出来れば避けて通りたいのだが、そういうわけにもいかなくなった。本願を描くためには欠くことのできない姿なのだ。
直接目にすることはできないが、
胎児の映像は最も身近に、わが子の姿を . . . 本文を読む
命のサイクルに切れ目はない
それは一つの輪として存在している
そして至福は、その唯一無二なる命の全体を受け入れることで訪れる
すべての人が等しく、平等にしあわせになる道はここにある。
その願いを本願と呼びたい。
本願を目覚めさせてくれる種子、これが今回の4枚組作品「浄土」本願の第一作目だ。
種子という言葉で真っ先に浮かんだイメージが蓮の種房だった。
蜂の巣のように開いた穴の一つ一つに . . . 本文を読む
晴れて自由の身になった初日のスタートは皿洗いから始まった。
自由の実態はお手伝いさんだったのか。
喜びもせず不平も言わず、注文をこなす。
そして浄光寺の「浄土」奉賛会はひと月後に迫ってきた。最後の組作品「浄土」本願は、ただ己を眺めることに徹して作品と向き合おうと心に決めている。
皿洗いの心境で、焦りもせず、自分にとらわれずに心に映るものを眺めればいい。
洗ってやという妻の言葉に、なにお! . . . 本文を読む
4部作のいよいよ最後の作品イメージは、いろいろあったが、結局曼荼羅のような形になった。
すべてを受け入れて世界を眺めると、宇宙空間が呼吸のたびに体内に入り込んでくる。そんな実感が生まれる。
生も死も、一つの世界にいる。
究極の幸せはその真実に身を置いて、楽しむことだと思えてならない。
心の中にあらわれてくるそんなイメージをできるだけ正確に描き出そうとすると、曼荼羅に近い構図となることに何か . . . 本文を読む