世態迷想・・抽斗の書き溜め

虫メガネのようであり、潜望鏡のようでも・・解も掴めず、整わず、抜け道も見つからず

残像(12)材木屋でのかくれんぼ

2018-03-19 | 記憶の切れ端

  

学校が終わると近所の子供が6、7人集まり、

近所の大きな敷地を持った材木屋でかくれんぼをするゲームにしばらく熱中した。

学校が終わるのが待ち遠しいほど、わくわくする隠れんぼだった。

今思えば、よくその場の大人たちに怒鳴られなかったものだ。

大きく積み上げられた材木の山の間に身を隠し、隙間から情勢を窺い、

木くずの匂いを嗅ぎ、駆け抜け・・、  こんなことが無性に楽しかった。

広い敷地を縦横に動き回った。

時には、棒切れをつかんでチャンバラに興じ、風呂敷のマントでヒーローにもなった。

あれはそれなりに心弾む冒険ごとだったのだろう。

 

火事に走る

小さな町だ、めったにないことだが、消防のサイレンが鳴ったりすると、

遊んでいた僕らは一斉に興奮した、どこだどこだ・・

あっちの方だとなると、夢中でドタドタと駆けだしていた。

だれが一緒に走っているのかも気にせず、どんどん走る。

知らず知らずにとなりの村まで行ってしまったこともある。

そのときは鶏小屋が火事の現場だった。もう火は消えていた。

しばらくして周りを見ると見知った顔が誰もいない。

ふっと帰り道のことが心配になり始める。

興奮がすっかり冷めて、ひとりトボトボと歩く帰り道の寂しさ、

そしてその遠かったこと・・。 


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