信号が青に変わったので横断道路を渡り始めると
反対側から手押し車を押す老婦人に呼び止められた
「奥さん、これどうしたらいいのでしょう?」
葉書の裏側を見せながら差し出した
細かな字がびっしりと書かれている
”お手紙ですね
あそこにポストがありますよ、
信号が変わりますから車に気を付けていらっしゃい”
老女は不安そうな顏で立ち止まったまま
信号は変わっても
道の真ん中に立ち止まる老女に車は動けない
これはまずい、
私はポスト前まで手を引いて渡った
「お願いです、ポストに入れてくださいませんか」
受け取った葉書の表には宛先も差出人も書かれていない
”お家に戻って宛先を書いて来られた方がいいですよ”
「これでは駄目ですか?」
”そうですね、どなたに届けるのか配達人さんにわからないでしょう
お家は何処ですか”
私は老女を家まで送って行こうと覚悟を決めたが
返事はどうもはっきりしない
困った、最悪の時は交番へと考えていると
近くに住むという女性が声をかけて来てくれた
言葉使いは丁寧、こざっぱりとした身なりで
外見はごく普通の高齢者に見える
聞けば昼間デイサービスに通うご主人と二人暮らしという
それ以上の事情は聞いてどうなるものでない
私自身が危なくなってきたのだから
反対側から手押し車を押す老婦人に呼び止められた
「奥さん、これどうしたらいいのでしょう?」
葉書の裏側を見せながら差し出した
細かな字がびっしりと書かれている
”お手紙ですね
あそこにポストがありますよ、
信号が変わりますから車に気を付けていらっしゃい”
老女は不安そうな顏で立ち止まったまま
信号は変わっても
道の真ん中に立ち止まる老女に車は動けない
これはまずい、
私はポスト前まで手を引いて渡った
「お願いです、ポストに入れてくださいませんか」
受け取った葉書の表には宛先も差出人も書かれていない
”お家に戻って宛先を書いて来られた方がいいですよ”
「これでは駄目ですか?」
”そうですね、どなたに届けるのか配達人さんにわからないでしょう
お家は何処ですか”
私は老女を家まで送って行こうと覚悟を決めたが
返事はどうもはっきりしない
困った、最悪の時は交番へと考えていると
近くに住むという女性が声をかけて来てくれた
言葉使いは丁寧、こざっぱりとした身なりで
外見はごく普通の高齢者に見える
聞けば昼間デイサービスに通うご主人と二人暮らしという
それ以上の事情は聞いてどうなるものでない
私自身が危なくなってきたのだから