松風Ⅱ

茅ケ崎の風日記Part2

辛い現実です

2017-02-02 11:23:26 | 高齢
信号が青に変わったので横断道路を渡り始めると
反対側から手押し車を押す老婦人に呼び止められた
「奥さん、これどうしたらいいのでしょう?」
葉書の裏側を見せながら差し出した
細かな字がびっしりと書かれている
”お手紙ですね
あそこにポストがありますよ、
信号が変わりますから車に気を付けていらっしゃい”

老女は不安そうな顏で立ち止まったまま
信号は変わっても
道の真ん中に立ち止まる老女に車は動けない
これはまずい、
私はポスト前まで手を引いて渡った
「お願いです、ポストに入れてくださいませんか」
受け取った葉書の表には宛先も差出人も書かれていない
”お家に戻って宛先を書いて来られた方がいいですよ”
「これでは駄目ですか?」
”そうですね、どなたに届けるのか配達人さんにわからないでしょう
お家は何処ですか”
私は老女を家まで送って行こうと覚悟を決めたが
返事はどうもはっきりしない
困った、最悪の時は交番へと考えていると
近くに住むという女性が声をかけて来てくれた 

言葉使いは丁寧、こざっぱりとした身なりで
外見はごく普通の高齢者に見える
聞けば昼間デイサービスに通うご主人と二人暮らしという
それ以上の事情は聞いてどうなるものでない
私自身が危なくなってきたのだから




















歩けることの幸せ

2016-11-07 13:12:57 | 高齢
帰り道でのこと、
目の前に90才は過ぎていると思われる高齢の女性が
歩行補助車に支えられる格好で立ち止まっていました
ところが立ち止まっているのではなく
直角に折れ曲がった体を補助車に押しつけるように
歩こうとしていたのです
見れば車には大荷物が積まれ、手すりに付けたフックにも
スーパーの袋がぶら下がっています
体力がない高齢者にこれだけの大荷物を運ぶのは無理というもの
ましてや足が不自由で大げさではなく
右足を引きずって5センチ前に出す、
次に左足をようやく引きずり出すという具合いです
5センチ進んでは休み また右足を引きずっては5センチ前に出す
1メートルあるくのに一体何分かかるのか
通りすがりの何人もの人が見かねて声をかけても
「ありがとう、大丈夫ですから」の一点張りです
ごくゆるいスロープを押して上がることも
車輪の向きを変えるのも出来きず
さすがにこの時は人の手を借りていました

これは歩行補助車というのでしょうか


どこのどなたかは全く解らないのですが
一人暮らしなのか
お世話する人はいないのか
家族はいないのかしら
付き添いもなくどうしてこんなに多くの買い物をしたのか
見れば近くのスーパーの袋があります
配達を頼めるのに、、、、
きっと福祉のお世話にはなっていることでしょう
それならば何かの援助があるはず
ヘルパーさんにお願いすることも当然出来るのです

後で思ったことは
休日はリハビリセンターもお休みで
自主的に訓練しているのかも知れない
それにしても転倒など事故も十分考えられること
とても一人で外歩きが出来る状態ではありません

近くのベンチで休んでいる杖を持った老紳士が
「エライことですなぁ」と
つぶやきながら見つめています

その姿が目に焼き付いて消えません
若い時の歩くことは当たり前のことですが
今、しみじみと普通に歩けることの有難さを感じます