さくらんひめ東文章

指折って駄句をひねって夜が明けて

六月大歌舞伎 第3部

2013年06月17日 | いざ銀座歌舞伎座



「御存鈴ケ森」 十二世市川團十郎丈に捧ぐ「助六由縁江戸桜」


第3部は歌舞伎世界のイケメン大集合!


江戸一番の侠客であるかっこいいおじさま幡隋院長兵衛

美しい前髪姿の若衆白井権八

そして天下の色男助六


お召物も三者三様、実にCOOL♪♪♪

お馴染の台詞とともに観客もこの3部が良く笑って一番楽しんでいる感じだ。


幸四郎丈の幡隋院長兵衛に梅玉丈の権八はそれぞれはまり役♪
時代物の様式美でみせる「対面」に対し、こちらは世話物の様式美で楽しませてくれる。






幸四郎丈の口上で始まる「助六」
十二世の想いを受け継いで海老蔵丈の助六がいい♪
とにかく海老蔵丈ならではの勢いを感じてカッコイイのだ!

そして白酒売新兵衛の十郎、菊五郎丈が絶妙なバランスで助六を受ける♪

菊之助丈の福山かつぎもすっきりと爽やか♪

福助丈の揚巻も格があって良かったがそれに対する白玉の七之助丈も堂々としたもの♪

私にとっては、意休といったら左團次丈か我當丈が浮かぶが、
今まで拝見した意休の中で一番大きくて良かった♪

かんぺら門兵衛は吉右衛門丈♪ 大ご馳走! 3部すべてのご出演お疲れ様です。

歌舞伎座さよなら公演の際は十八世が演じた通人は三津五郎丈
大いに観客を沸かせながら早世された方々への想いもしっかり伝わってきた♪


「千も万もおめでとう」と寂聴さんが筋書に

名優たちの血が子へ孫へ延々と受け継がれることそれが伝統と祝辞を述べられておられるが

4月・5月・6月と拝見して「歌舞伎の未来は心配なし♪」とつくづく思った。


夏衣紫陽花模様似合う人



六月大歌舞伎 第2部

2013年06月17日 | いざ銀座歌舞伎座



筋書きの金注されたる七変化

六月の筋書
中島千波さん画く「七変化」葉に金泥を使ったガクアジサイが素敵♪

「寿曽我対面」 「土蜘」

仁左衛門丈の工藤に、菊之助丈の十郎と海老蔵丈の五郎が挑む「対面」
大薩摩から浅葱幕が振落されると、これぞ歌舞伎!
という面々が居並ぶ色彩豊かで華やかな舞台が広がる♪
さすが仁左衛門丈♪
清濁併せ呑む大きさを必要とされる工藤にピッタリ!とはまる。

和事の十郎に荒事の五郎 五郎の台詞まわしに注文はあるが、
美しいお二人はまるで絵のよう!

孝太郎丈の舞鶴は初めて拝見。

芝雀丈の大磯の虎はさすが♪ 最近お父様を彷彿とさせる。

七之助丈の化粧坂少将も美しく立派、最後に出てくる愛之助丈の鬼王が爽やか。






菊五郎丈の土蜘に吉右衛門丈の頼光

五世が黙阿弥に依頼した菊五郎家の家の芸、新古演劇十種の内
さすが菊五郎丈♪ 花道から智籌として出てこられたときから凄みがある。

お恥ずかしい話であるが、私は智籌(ちちゅう)のことを
土蜘だから地中で上手いな!と勝手に思っていたが(笑)、
蜘蛛(ちちゅう)の音読みからきていると、筋書にあった。

三津五郎丈の平井保昌・魁春丈の胡蝶とも素晴らしい。

番卒の翫雀丈・松緑丈・勘九郎丈のトリオがそれぞれの味わい深く、
昨年拝見した「土蜘」は勘九郎丈の襲名披露であり、
「その時の番卒藤内は十八世であったなぁ・・・」
と思いだしながらウルッとしてしまった。 

玉太郎丈の太刀持は凛々しく、大河丈の石神は愛らしくお二人ともご立派でした♪

六月大歌舞伎 第1部

2013年06月17日 | いざ銀座歌舞伎座



「鞘当」 「喜撰」 「俊寛」


勘九郎丈の名古屋山三がきれい♪
「雨に濡れ燕」の下に重ねられた襦袢のような衣裳は紫陽花の模様で
足を運ぶびに見え隠れしてなんともセクシーだった。



三津五郎丈の喜撰は、時蔵丈のお梶とも愛嬌・色気揃って秀逸♪
富十郎丈亡き後、「喜撰」といったら今は三津五郎丈。

14日「待ってましたぁ~」 「じゅう~だいめ」と綺麗な声で女性が声をかけていた。



何度拝見しても吉右衛門丈の「俊寛」は素晴らしいが、
船を見送ったあとの俊寛の佇まいが今までとはまた違った味わいだった♪
前回の2010年秀山祭の折は、

松が折れて崖にへたり込む茫然自失の俊寛。
吉右衛門丈の俊寛の目は、その茫然とした中にも万感の想いがあった。
船上の人々の無事を祈る気持ち
これで良かったんだという想い
亡き妻への哀惜
一人残った後悔・寂しさ・絶望感…

とブログに記してあるが、
今回は上手く言葉に表せないが幕切れの瞬間、
全てを超越した俊寛が微かにほほ笑んでいるように私には見えた。
人間の強さ・弱さ、心の内を掘り下げる近松作品
それを見事に表現してみせてくれる「人間国宝の俊寛」♪♪♪

仁左衛門丈の丹左衛門 左團次丈の瀬尾 梅玉丈の少将 歌六丈の康頼 芝雀丈の千鳥
役者が揃い、それぞれの立場での想いもしっかりとみせてくれる素晴らしい舞台だった♪

紫陽花を重ねて着たる山三かな