六十九、大学の知(ち)・止(し)・定(てい)・静(せい)・安(あん)・慮(りょ)・得(う)
此れ等は聖者の門下の修行の工夫であります。
内には止まるを知って性(せい)を守り、外には止まるを知って妄(みだ)りな行為をせぬようにするのでありますが、後者は自然の意であります。
止まる事を知る事に由って定(さだ)まり、定まった後に能(よ)く静まり、静まった後に心神(しんしん)が安らかになり、心神が安らかになれば、よく慮(おもんばか)る事が出来るのであります。この慮るとは外ではなく、即ち悟りであります。
理天とはどういうものであるか、又私慾とはどういうものであるかを慮り、自分自身の行う所の是非や、曲直(きょくちょく)及び合理(ごうり)や不合理を思慮(しりょ)し、悟る事であります。
理に合えば、これを守り、理に違(たが)えば、これを去らしめるのを、これを得(う)ると申すのであります。
心法(しんぽう)の伝授(でんじゅ)を受け、心を以て心に印(いん)ずる境地(きょうち)を得て、自ら得(え)ざる事なき境地に入る事を申したのであります。
続く