日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

伊賀守金道 初代

2024-06-17 | 
父兼道に伴い、美濃国より京都に移住したのが伊賀守金道。弟に丹波守吉道、和泉守金道、越中守正俊があり、これらを三品一門と呼んでいる。
 時代は戦国末期から江戸時代最初期。刀は南北朝時代の大太刀を磨り上げたようながっちりとした造り込みに、相州伝の沸主調の激しい焼刃が流行していた。相州正宗、貞宗、郷、志津などが好まれた背景があり、江戸初期の刀工は、それらの再現を目指した。三品鍛冶も、初期には美濃伝の刃文を専らとしていたが、世の嗜好に沿ったものであろうか、次第に沸の強い相州古作に倣った刃文に変わっていった。
 三品一門は美濃の出身であり、美濃伝を基礎においている。同様に、美濃伝が江戸時代の地鉄鍛えの基礎になった。つまり、美濃伝の地鉄鍛えは平地が小板目鍛え、鎬地が柾目鍛えである。江戸時代の一般的な鍛え方となったもので、これに相州伝の刃文を焼いたのだ。だから、江戸時代の相州伝を、相州特伝と呼び分ける人もいる。



1 刀 伊賀守金道
三品の筆頭鍛冶が伊賀守金道。板目肌が明瞭に起ち現れた地鉄に地沸が付き、肌目が一層際立つところが魅力。適度な寸法で身幅が広く、物打辺りは実戦を経たものであろう多少の研ぎ減りがあるも、総体の姿は崩れることなく覇気に富んでいる。刃文は沸の強い乱刃。刃形に整ったところがなく、総体に湾れと互の目の複合になり、焼頭は深く大きく乱れながらも鎬筋を越えることはない。沸が強い焼刃は帯状の沸筋が無数に走り、これに伴って砂流しや金線、肌目に沿った稲妻状の金筋が刃中を走る。この中に頭に丸みのある互の目が組み込まれている。湯走りや飛焼も見られる。帽子は掃き掛け風に沸付いて先端が棟側に流れて焼詰めとなる。この整うことのない刃文構成が江戸初期の相州伝に他ならない。





2 脇差 伊賀守金道 

 一尺三寸強の平造脇差。身幅が極端に広く重ねが厚くがっしりとしている。地鉄は小板目状に均質に詰んでいるが、流れるような板目を交えて地沸が厚く付く。刃文は不定形に乱れる互の目に湾れを組み合わせた、古風な相州物に特徴的な構成。互の目が尖り調子となる部分もあり、これも相州伝。特に焼頭がさまざまに乱れ、高弟変化に富み、一部に湯走りと飛焼が入る。焼刃は沸を主体として明るく、沸筋、金線、砂流しが顕著で、帽子は強く乱れて先が尖り調子に返る三品帽子。彫物も大きく施されて相州伝の特徴を良く再現している。
 このような沸の美感をより一生強調したかのような作風が江戸時代初期の相州伝だ。その代表が三品一門である。







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石切り場跡 (Zenzai)
2024-06-18 08:21:23
石切り場跡を更新
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