ちょっと入館手続きが厳しめの建物があります。
受付でいろいろと書かされるんです。
それで、半年くらい前に、おじいちゃんの警備員さんが、新人として入ってきた。
最初は、まごまごしていて、みんなにいろいろ文句を言われながら仕事をしていた。
僕は、最初からすごくウマがあったので、ニコニコと対応していた。
そして、その警備員さんと、だんだんと仲良しになっていった。
いつだったか、コロナの影響で、入館するときに検温することになった。
大きいピストルみたいな体温計で体温を測る。すごく速く測れる。
でも、よくわからないのだけど、僕の体温はいつも低めに出る。35℃とか34.5℃とか。
そうすると、おじいちゃん警備員さんが、すかさず、
「今日はもう死んでいますね」とか「冷血人間ですか」とかジョークを言ってくる。
そのたびに、いつも僕はゲラゲラと笑ってしまう。
ほかの警備員さんは、しかめっ面して、真面目にやれよ、みたいな感じだ。
僕は楽しくていいじゃんと思っている。
ふざけたことを言うときの頭の回転が、尋常じゃないほど速い。
ほんと職人芸だ。
ああいう歳で、ユーモアのセンスがあるって、すごくいい。チャーミングだ。
僕もあんなふうに歳を取りたいな。
でも、ユーモアのセンスって本当に難しいですよね。