最近、無神論が増えてきているらしい。
それはそうだろうと思う。キリスト教もイスラム教も、おかしなところがある。
また、怪しい新興宗教も怖くて信じられない。
そうであるなら、科学的根拠のあるものだけ信じることが合理的である。つまり、科学的に根拠の示せない「神」など信じず、無神論が正解ということになる。
ただ、科学でわかっているところはいいとして、科学では解明されていない部分についてどう考えるのかという問題は残る。
例えば、宇宙の果てはどうなっているのかといったことである。
私は無神論者である。正確に言うと、スピノザ的無神論=汎神論を支持する。
スピノザは、物理的な無限性を有する宇宙全体=自然を「神」と言った。
そして、「神」は始まりも終わりもない「自己原因」だという。
自己原因とは、存在するのに他の原因をもたないことをいう。だから、宇宙は存在するのに他の原因をもたない。
つまり、最初から存在しているということである。
宇宙が神だとすれば、宇宙の物質である私達も神の一部ということになる。
考えれば考えるほどスピノザの思想は優れていると思う。あえて正しいとは言わない。正しいかどうかを問わず信じるという点で、宗教的とも言えるだろう。
スピノザの思想における神の問題は、それ自体を問うことに目的があるわけではない。ポイントは、人間の自由意志の否定にある。
えっと思うかもしれないが、その自由意志の否定が、私達を楽にし強くする。
それについては、また機会があれば書こうと思っている。
私達の生き方を肯定できない思想は、それが正しいとしても、いかなる意味においても価値がない。