昨日、紹介した「僕は君たちに武器を配りたい」のなかに、面白い話があったので、紹介しよう。
紀元前1500年ごろの中国に、馬を見分ける名人「伯楽」という人がいた。
今でも人を見る目を持った人のことを「名伯楽」と呼ぶ。
彼は一日に百里を走る馬をたちどころに見分けられたという。
その評判を聞いた人々が、自分も馬の見分け方を知りたいとやってきて、伯楽に教えを乞うことがよくあった。
その時に伯楽は、自分の嫌いな客と好きな客で、教えることを分けていた。
嫌いな客には名馬の見分け方を教え、好きな客には駄馬を見分ける方法を教えていたという。
私はここのところを読んで、少し止まってしまった。
「なんで?」と
理由はこうである。
世の中にめったに名馬はいない。それより駄馬のほうが多い。だから、めったに存在しない名馬の見分け方より、駄馬の見分け方のほうが役に立つのである。
本当の駄馬だけをふるい落とし、そこそこの馬をうまく使いこなしたほうが、実際的なのである。
これは会社経営をしようとしている人間にも、当てはまる。本当に優秀な人は少ない。そして、本当に優秀なら自分で起業してしまうだろう。
だから、本当にダメな人間をふるい落とし、そこそこの人間をうまく使いこなしたほうがうまくいく。
この話を読みながら、野村監督のことを思い出してしまった。要するに、人の使い方なのである。