新川千本桜 もうすぐ満開
最近、村上春樹の小説を読み直している。
そのきっかけとなったのが「女のいない男たち」を読んだことだった。
この小説(ドライブ・マイ・カー)には、不適切な表現があったようで、クレームあった。
ちょっとその箇所を抜粋してみる。
(原文)
小さく短く息をつき、火のついた煙草をそのまま窓の外に弾いて捨てた。たぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることなのだろう。
この一節が問題だったようで、地名が差し替えられたようだ。
クレームのことはともかく、ひょんなことから、この小説を読むことになった。
6つの短編からなるこの小説は、どれもこれも変な話ばっかりだが、
めちゃくちゃ惹き込まれる。
これらの短編に惹き込まれるのは、なぜなんだろう?
たぶん、この小説にある「喪失感」だと思う。
喪失感とは、大切な人を失った、
あるいは、
身を焦がすように恋している人から愛情を得ることができないなど、
愛が欠けていることだ。
もし、私たちに恋する能力がないなら、
穏やかで平和な人生を送るだろう。
しかし、人は人に恋するのである。
だからこそ、ややこしく入り組んだ人生を歩むことになる。
なぜなら、恋すると狂うからである。
もし、あなたが恋したことがあるなら(あるよね)、
狂うという意味がわかるだろう。
私たちは、恋することを止めれない。
だから、いつもと違う変な行動を取ってしまう。
それが理解できるからこそ、
この変な話に惹き込まれていくのだ。
この短編集を読んで感じた激しい喪失感が、
私の心に火をつけ、
村上春樹の小説を次々に読み進める原動力になった。
そんなこんなで、村上春樹の小説を読み返している。
ちなみに短編の一つ「ドライブ・マイ・カー」は映画にもなっている。
そのうち、観ようと思う。