そして、大学2年生のときに、突然、四人に絶縁される。
理由は謎だ。
つくるは、その絶縁により精神的に追い込まれ、死ぬ一歩手前まで行く。
しかし、立ち直る。
16年後、つくるは恋人の沙羅に「過去と向き合え」と助言され、
四人に会いに行く決意をする。
彼らから話を聞き、絶縁された理由を聞く。
この絶縁の謎を解明することが、この物語の中心だ。
あなたも少し考えてもらいたい。
もし、最も親しい友人から、「明日からもう連絡をよこさないでくれ」と
突然言われたときのことを。
この謎はすぐに分かる。しかし、新たな謎が生まれる。
物語は、そういうふうに進んでいく。
そして、結局、謎は解決されず、物語はそのまま放り出される。
ただ、つくるは人生を取り戻す。
過去のことは過去のこととして、現在を生きていこうとする。
しかし、話は単純ではない。
つくるは、恋人の沙羅が、中年の男性と手を繋いで楽しそうにしているのを目撃する。
沙羅はつくると一緒にいるときには見せない満面の笑みで、
心から嬉しそうな顔をしていた。
「彼女はつくると一緒にいるとき、それほど開けっぴろげな表情を顔に浮かべたことはなかった。ただの一度も。彼女がつくるに見せる表情はそのような場合であれ、いつも涼しげにコントロールされていた。そのことが何より厳しく切なくつくるの胸を裂いた」
(P243 引用)
身を焦がすような嫉妬だ。
わかるよね。人を好きになったことがあるなら。
今後、沙羅との関係がどうなるのか、小説の中では書かれていない。
そのことが、この小説の一つの批判にもなっている。
ちゃんと結末までしっかり書いてくれよと。
私もちょっとだけ、そう思う。
沙羅とこの先どうなったのか知りたい。まあ、いいけど。
ところで、私は嫉妬したら負けだと思っている(他人ではなく自分自身に)。
だから、しない(ように頑張る)。
でも、嫉妬するときは、もちろん、ある。
そんなとき、この恋は本気なんだなと思う。
そして、それなりに歳をとって、
女性の心理がちょっとは理解できる者として、
女の人って、本気で好きな男の前だとクールに振る舞ったり、
興味のない感じの態度を取るんだよね。
アホみたいと思うけどね。
だから、
「頑張れ、つくる」
そう思いながら、小説を読了した。