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フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹著

2025年04月03日 11時00分00秒 | 読書・書籍

今日も読書感想文です(笑)。

まずは簡単なあらすじから。

主人公の多崎つくるは、東京在住の36歳の男性。

現在、沙羅という恋人がいる。一回セックスをした。結婚を考えている。

多崎つくるは名古屋生まれだ。

高校のときに、親しい友人が四人いた。

赤松、青海、白根、黒埜

四人の名前には「色」があるが、つくるの名前にはない。

高校を卒業すると、つくるだけが東京に行き、他の四人は名古屋に残る。

そして、大学2年生のときに、突然、四人に絶縁される。

理由は謎だ。

つくるは、その絶縁により精神的に追い込まれ、死ぬ一歩手前まで行く。

しかし、立ち直る。

16年後、つくるは恋人の沙羅に「過去と向き合え」と助言され、

四人に会いに行く決意をする。

彼らから話を聞き、絶縁された理由を聞く。

この絶縁の謎を解明することが、この物語の中心だ。

あなたも少し考えてもらいたい。

もし、最も親しい友人から、「明日からもう連絡をよこさないでくれ」と

突然言われたときのことを。

この謎はすぐに分かる。しかし、新たな謎が生まれる。

物語は、そういうふうに進んでいく。

そして、結局、謎は解決されず、物語はそのまま放り出される。

ただ、つくるは人生を取り戻す。

過去のことは過去のこととして、現在を生きていこうとする。

しかし、話は単純ではない。

つくるは、恋人の沙羅が、中年の男性と手を繋いで楽しそうにしているのを目撃する。

沙羅はつくると一緒にいるときには見せない満面の笑みで、

心から嬉しそうな顔をしていた。

「彼女はつくると一緒にいるとき、それほど開けっぴろげな表情を顔に浮かべたことはなかった。ただの一度も。彼女がつくるに見せる表情はそのような場合であれ、いつも涼しげにコントロールされていた。そのことが何より厳しく切なくつくるの胸を裂いた」
(P243 引用)

身を焦がすような嫉妬だ。

わかるよね。人を好きになったことがあるなら。

今後、沙羅との関係がどうなるのか、小説の中では書かれていない。

そのことが、この小説の一つの批判にもなっている。

ちゃんと結末までしっかり書いてくれよと。

私もちょっとだけ、そう思う。

沙羅とこの先どうなったのか知りたい。まあ、いいけど。

ところで、私は嫉妬したら負けだと思っている(他人ではなく自分自身に)。

だから、しない(ように頑張る)。

でも、嫉妬するときは、もちろん、ある。

そんなとき、この恋は本気なんだなと思う。

そして、それなりに歳をとって、

女性の心理がちょっとは理解できる者として、

女の人って、本気で好きな男の前だとクールに振る舞ったり、

興味のない感じの態度を取るんだよね。

アホみたいと思うけどね。

だから、

「頑張れ、つくる」

そう思いながら、小説を読了した。

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