白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―アメリカで静かなブームの 「わけぎ」栽培 其のルーツ?-

2017年08月30日 | わけぎ

9月に入ると、外房の当菜園でも今年で3年目になる 「わけぎ」栽培の球根の植え付けが始まります。その「わけぎ」ですが、関東地方では馴染みが薄く、分けネギとの区別も曖昧で、それ程の大きな需要が見込まれないからでしょうか、一般商業栽培は今尚低調であり、「わけぎ」栽培といえば、家庭菜園圃場やプランターなどで多く育てられ、どちらかと言えば家庭園芸向けの人気作物と言った方が早いかも知れません。それにスローフードにもなるからです。

 

―家庭菜園向けに売り出されるワケギ球根―

実は、その「わけぎ」栽培が、今アメリカでもキッチンガーデナーの間で静かなブームとなって居ると伝える記事がネットサイトにあるのを見つけました。

其処にあった話は、“アメリカ合衆国のスローフード イーイトイ オニオン”と題する記事であります。もちろん日本で言う 「wakegi」とは、一言も書かれてはいませんが、一目でそれが「わけぎ」であると見受けました。

 其れでは先ず、その載っていたサイトの” Slow Food USA”の記事の抄訳を下記に披露させて頂きます。

抄訳:

イーイトイ オニオンの味覚は大胆かつ複雑であるだけでは無く、其処には亦、はっきりしてない歴史があります。野生のイーイトイ オニオンが最初に収穫されたのは、Baboquivari 山系で知られているI'Itoi 山であります。

この山は、地球が開かれて人々が現れた場所の一つである、世界のへそーO'odham 国であると見なされている場所です。

その名前のI'Itoi(イーイトイ)、トホノO'odham 伝説における 創造神である兄を意味しており、その結果から、このイーイトイ オニオンは、O'odham 創生物語の神聖なる追憶植物とされているのです。

 

―USアリゾナ州Baboquivari山系―web Photoesより

その植物調査の結果から、I'Itoiオニオンは非常に古い系統の分球型のタマネギの一種であり、17世紀後半に、イエズス会の宣教師によって米国内に持ち込まれたものと分かり、アメリカが必ずしも本来の発祥地ではないと結論づけられています。

そのI'Itoi オニオン、その持つ経歴とは矛盾するにも拘わらず、ソノラ砂漠の中にあって、ローカル食文化の中では特別な存在としてその位置を占めています。

イーイトイオニオンの持っているシャープで、ピリッとした食感は、多くの場合強力で、ピリッと辛い南西部特有のシチューやソースに特に適しているからであります

 

―話題のイーイトイ オニオンの姿ー

このオニオンは、アメリカ南西部の砂漠地帯にあって、簡単且つ多産的に成長する植物であります。夏の休眠期中は大地に放置され、成長シーズンの到来に向かって再び芽を出しますが、それを切り取って収穫しては植え直しされるのです。

其のイーイトイ オニオンの食味、乾燥地帯の南西部全体から見れば小さな存在ではありますが、今や目に見える形で高度な商業規模にも匹敵する関心を集めています。

このオニオン栽培、裏庭菜園の世話係の務めのお陰で、生き残り作物(スローフード)の最良の事例の一つが作られるられる事になるでしょう。

 

―庭隅に育つアメリカのワケギ I'Itoiオニオンー

以上ですが、それではイーイトイ オニオンが 「わけぎ」と、どうして断定できるのか、その理由をお話したいと思います。

日本のわけぎ、以前から当ブログでも、そのユニークな特徴をいろいろと紹介して来ましたが、日本の研究者によって、分球型の玉葱のシャロットと長ネギの両方の遺伝子を持つ交雑種とされ、その種内分化の形態的な特性で、品種分類を行った研究がネット上にあります。

実は、その中にイーイトイ オニオンと同類と思われるわけぎ品種が日本にも存在していると判断できる根拠があるのです。

該当する品種名ははっきりしていませんが、およその見当は付きます。実はその草丈姿、草色、種球の大きさと形状、保護葉の色彩から、最も似ているわけぎの品種特徴を持つ群が、諫早、八代系などに分類されているわけぎの中にあり、それが九州西岸地方の外来宣教師たちのキリシタン布教活動の中心的な地域と符合していると考えられるのです。

 言うなれば、日本への布教活動で訪れたイエズス会の宣教師たちが、日本にも同じように、このオニオンを持ち込んだのか、それとも日本には既に伝わってあった、それらの在来種オニオンを持ち出して、新たな布教活動先の米国に持ち込まれたのか、そのどちらかであります。ネット上にあったイーイトイ オニオンの特徴、その草姿や球根の写真から、わけぎ以外の何物でも無い事は明白であり、それで日本の「わけぎ」の中の一種と同類と判断したのです。

 

―球根の市販も盛んなイーイトイ オニオンー

唯、日本のわけぎは栽培の歴史が大変古く、いろいろな種類があるのですが、葉ネギとして収穫するように品種分類され来たのであり、その特徴が長い年月を掛けて取捨選択され、オニオンの一種としての分球する球根を食用にする食文化が日本では発達しなかったのです。

それでは此処で、わけぎの健康野菜としての価値、効用と育て方を一寸纏めて見たいと思います。

一般のネギとくらべて含まれるビタミンやミネラル成分が多く、特に寒い冬の季節には重宝な野菜であります。それに何よりも丈夫で育てやすく、1球から株状に分かれて成長するので収穫量が大変多くなり、栽培効率に優れる家庭菜園には最適な、冬に育てられる良さがあります。

 ネギ属野菜の特徴である豊富なビタミンやミネラル分は、高血圧、貧血、風予防など、寒い季節の健康管理には欠かせない野菜であり、その利用法は定番の酢味噌和えから始まって、刻んで生のままの薬味によし、鍋物の野菜具にもよしと、大変巾広い使い方ができるのです。

 その栽培の特徴では、豊富に食べる為には、プランターや庭先の菜園で自ら育てるのに大変便利であり、特に寒い時期に育つので病虫害の心配が全く無いと言って良い程あり、誰でも簡単に育てられる良さが大きな取り柄であります。

 その植え付け時期ですが、関東以南の温暖な地域であれば、9月初めから、翌春ごろまで可能であり、その利用開始は植え付け時期と成長状態で決まるので、草丈が20cm以上になったら、地際から4cmぐらい残して切り取り収穫します。切った後から葉はまた伸びてくるので翌春まで数度にわたって収穫が可能になります。

庭植えなら、堆肥、腐葉土、油粕などを施してよく耕して植え付け深さは、先端がわずかに隠れる程度で 10から15cm間隔で一球ずつ植え付けます。
鉢植えなら 培養土入り標準プランター(65cm)なら、20球程度を2列して植え込みます。

場所は日当たりと水はけの良い場所が大切ですが、日照条件次第で成長収穫が大きく変わります。

もし、わけぎのポット栽培にも興味がおありでしたら、ブログ―見事に育ったポット栽培のわけぎ―を御参照ください。伝統野菜の「わけぎ」栽培、育てて見たいなら、食文化を守るスローフード活動への参加にもなります。

 ブログランキング ブログコミュニティ にほんブログ村

 家庭菜園(プランター菜園) - 花ブログ村


最新の画像もっと見る

コメントを投稿