白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―分葱とシャロットとの違いは?-

2015年12月19日 | わけぎ

「わけぎ」はネギの一種ですが、葉鞘部が根本から何本にも別れるネギだからそう呼ばれると言います。ネギ属野菜には元々根部が分割する性質があって玉葱でも分球する品種があり、日本では先ず見掛ける事がありませんが、欧米では昔から玉葱そっくりの「ポテトオニオン」と呼ばれる分球する玉葱があります。

其の「ポテトオニオン」とく同じ様に根部が分球するのですが、其の形状が玉葱より上下に細長い形やトックリ状に分球するのがフランスで云うエシャロットであり、英名でのシャロットであります。

 

―分球するポテトオニオンの姿―WebImagesより

其のポテトオニオンとシャロット、どちらも学名では玉葱の変種とされて “Allium cepa Var. Aggregatumとなって居ますが、そのシャロットは別種として以前は、Allium ascalonium Lとなっていました。

一方、其のシャロットと殆ど形態的に変らない分けつするタイプのネギがあり、実はそれが日本で言う「わけぎ」であり、学名は、Allium fistulosum L. Var. caespitosum Makinoでありました。

其の「わけぎ」、近年になっての日本人研究者によるゲノム構成分析から、ネギとタマネギの自然交雑種であると発表されて、新しい学名のAllium × wakegi Arakiで呼ばれています。

其の新しく命名された分類法ですが、1990年代以降にDNA解析による分子系統学が大きく発展し、植物の分類体系も、この手法を試みる研究が分類学において主流になりつつあると言います。

特に葉緑体DNAの解析から、被子植物の分岐を調査する研究は近年飛躍的に進み、新しい知見に基く分類学の、Angiosperm Phylogeny Group (APG) と呼ばれる、種や系統群の分化と進化を研究目的とする系統学システムに集約され、其の学術先端分野はすでにAPGの体系に移行し、それ以前の体系は歴史的体系として扱われているとも言います。

 

―シャロットの球根の植え付けーWebImagesより

其の「わけぎ」の研究ですが、ネギのワケギのゲノムとシャロット及びそのゲノムとの相同性を検討するために、 4倍性ワケギとシャロットの雑種及び4倍性ワケギとネギの雑種 (ともに3倍体, 2n=24) について核型及び染色体対合を調査した結果、4倍性ワケギとシャロットの雑種の体細胞染色体組の中の16本の染色体は2本ずつが同形•同大で8組の対をなし、残りの8本の染色体は、互いに形態が異なっているのが分かったと言うのです。

それらの結果から、ワケギは二つの構成ゲノムを持ち、その中の一つはシャロットのゲノムと相同であり、 もう一つはネギのゲノムと相同であると結論されたとあり、次の様に書かれて居ました。

 

―九州馬島はワケギの産地と言う!ーWebImages より

1. ワケギ27品種, シャロット3品種, ナツネギ4品種, ネギ3品種およびタマネギ2品種を供試し、成葉のGOT, IDH, PGIおよびPGMアイソザイムバンディングパターンを調査した。

2. ワケギの形態的および生態的特徴に基づいた品種分類とアイソザイムパターンとの関連性は認められなかった。

3. ワケギ27品種中の品種、「宜野座」のみが、PGIにおいてネギと共通するバンドを一部と他のワケギと共通するバンドを一部有すること、並びそれら形態的および生態的特異性から、「宜野座」は、ネギ×シャロットによって成立したワケギに、さらにネギが戻し交雑して成立した可能性が推察された。

4. ワケギとシャロット、ナツネギ、ネギおよびタマネギとのアイソザイム分析による識別は容易であった。

5. シャロットとタマネギは、よく似たアイソザイムパターンを示し、アイソザイム分析からも、両種が近縁であることが認められた。

(注). アイソザイムパターン=同位酵素とも云い、其の活性がほぼ同じでありながら、タンパク質分子としての配列では別種であるような酵素のパターン。Wekipediaより

 

―その時期になると売り出されるワケギ球根―WebImagesより

扨て、其のワケギですが、東南アジア、中国、日本等で古くから栽培されて来たネギ属の作物ですが、日本では主として西日本に普及していて、ぬたや薬味で賞味され、甘味があってネギ臭みの少ない独特の旨味があり、他の葉葱には無い特徴が好まれて居ます。

 しかし、ワケギの品種研究は進んでおらず、その呼称や分類上の取扱いにも疑義が残されている云い、一方では、玉葱と近隣であるシャロットと分けつ型のネギである夏ネギとの雑種が「わけぎ」ではないかと云うのですが、其のワケギとシャロットの区別、今一つはっきりしてないのは日本の地域環境によって分化し、葉葱として遺伝的に固定された為ではないかと思われます。

 

―Green Onion(shallot)欧米のワケギー

シャロットはタマネギの一種であって、主として其の根部が分球して肥大した球根を収穫する野菜で有り、ワケギはそれと違って、球根から成長した葉鞘部分をネギとして利用して来たのであり、其の両方の形態的並びに生態的変異は多々あっても、其処には、品種分化の過程、玉葱―分球玉葱(ポテトオニオン)―シャロット―ワケギと言ったphenotype(表現型)の違いの構図の一端が読み取れます。

ワケギは、其の日本で定着した利用目的から、長い間の栄養繁殖の過程で其の好ましい葉鞘部分に特化しての品種選別が行われ、品種分化が進んだと考えられるのでありますが、実は其の日本で栽培されているワケギの種内分化の研究を行った論文がネット上に有りました。

 

Spring(Salad)onion日本の葉玉葱です!-

其の研究で明らかにされて居る日本のワケギ、22品種に分類されると言い、其の種球の入手先は、台湾、琉球、韓国、日本国内でありますが、収集した品種は生態的特性から、温帯適応型で我が国で分化したと思われる本土系、亜熱帯適応型で台湾、若しくは東南アジアで分化したと思われる南方系に分けることが出来たとあります。

 其の品種特性ですが、本土系の品種は、秋の植え付け後、いずれも12月になると外葉が株元から折れたり、葉先が枯れたりして生育が停滞したりし、1月には外葉が枯れ、内葉は濃緑色を呈して伏し、わい化状態になると言います。

それが、2月半ば過ぎから新葉が動き始めて葉は次第に立ち、:気温の上昇に伴っておう盛な生長を再開するのです。

この生長の再開は、品種によって早晩があって早い品種と遅い品種があると言い、此の性質、寒冷地では、外葉が枯れてしまうと言う、「越後分葱」が有る事が頷けますし、ワケギ栽培が東北地方などに定着できなかった理由がそれで理解できます。

 

-Shallot-玉葱より高価です!-

一方、南方系の品種は、冬季も新葉の発生を続け、葉が緑黄色を呈して本土系とは一見して識別することができるが、耐寒性は強くなく寒害を受けやすい。それが本土系の生長最盛期である3~4月には、外葉が早くも枯れて成熟期の様相を呈し、特に台湾小葉群系の品種では、葉の枯れ上りが早く、4月上旬には、地上部はほとんど枯れた状態になると言います。

 

―堀上られたワケギの分けつ球根―WebImagesより

ワケギは玉葱やシャロット違って、ネギとしての葉鞘部を利用する訳ですから、品種分類では草姿、葉色、量的形質、生体重等が大切な品種特性となりますが、栄養繁殖させる観点からは、其の種球の大さや分球量も品種の特性の要素であり、本土系にも南方系にも其の大きさには、S型からL型までの変異があって、概して大葉の品種が大玉であり、細葉の品種が小玉であったとあります。

また、形は大玉が、丸とっくり)型の形状であり、小玉が長とっくり型になる傾向が認められ、種球は白玉と紫玉に分けられているとあります。

 

―葉も球根も食用になるワケギ22種に分類されるーWikipediaより

此の事はワケギであっても遺伝子の持つ色素生産力はシャロットと同様であり、シャロットには5種類のアントシアニン系および4種類のフラボノイド系色素化合物が検出され、ネギでは検出されなかったと他の研究で明らかにされて居ります。

このことから、シャロットの葉鞘部におけるアントシアニンおよびフラボノイドの生合成に関与する重要な遺伝子群が、ワケギにも存在することが明らかするものと受け止められ、其れは亦、当然とは言え、ワケギにもシャロットと同じ様に、其の種球に含まれる優れた内容成分特性を有すると考えられます。

ワケギが日本伝えられたのは大変古く、一説には5世紀頃とも言われていますが、ネギの仲間であって、ニンニクやラッキョウ、玉葱の様には鱗茎や根球を食用にはされて来なかったのであり、結球する珠ができるネギであって、シャロットの一種とする一般認識が日本には定着していません。

従って今尚、ワケギの種球を食用にする食習慣は一般には先ず聞きませんが、食べては結構美味しいですよと言う話、何処かで聞いたような気がします。

 

“New Pot Ponics ”で育ているワケギー

それで今年始めた、「マイクログリーン」栽培用の“New Pot Ponics ”方式で、ワケギのポット栽培を試して居ります。

そろそろ、葉を刈り取って試食しようと思って居たら、此処のところの低温で葉の伸びが止まり、外葉の一部が一寸枯れて来ましたが、これが前述のように、本土産のワケギの特徴と判りました。

 

―温度が下がってワケギの成長が止まる!

来春の2月早々には、早取りのワケギ根球に酢味噌を付けで晩酌と行きますか、ラッキョウのエシャレットでは無く、これぞ日本版エシャロットの試食となりますね!

 ブログランキング ブログコミュニティ にほんブログ村

 家庭菜園(プランター菜園) - 花ブログ村


最新の画像もっと見る

コメントを投稿