白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

ハイロポニックス(Hydroponics) とハイドロカルチャー(Hydroculture)

2011年06月28日 | 日記

 先日の6月22日付けの日本経済新聞に、ハーブやトマトが育てられる室内用の小型植物栽培装置で、栽培に適した環境をパソコンで設定できる「ITプランター」なるものを7月半ばから発売すると言う記事が載っていました。言わずと知れた園芸水耕栽培装置ですが、LED照明の光量や養液量などを品種ごとの栽培プログラムで自動制御するとは恐れ入った大袈裟な話です。

 

―人工光と養液量をコンピュータで制御する「ITプランター」-

その水耕栽培は、土壌による地力栽培に替わって、専用の培養液と湛液中や固形の人工媒体等を利用して植物根を展開させる生育効果の高い装置栽培法であります。

―市販の様々な家庭園芸用ハイドロポニックスシステムー

その発端は、1932年にカルフォニア大学のW..F.Gercike博士が、当時、まだ学術的な研究目的にのみで用いられていた培養液による植物栽培法が、商業目的に適用出来るのでは無いかと発想し、研究の傍ら特別な装置を考案してその栽培成果を明らかにし、ハイドロポニックス(水耕栽培)と命名したのが始まりです。

 

―屋内専用ハイドロポニックス装置―

その元祖となるアメリカでは、今日ホビーとしての水耕栽培は日本より遥かに盛んであり、多彩な栽培用装置や器材、専用養液肥料や測定計器など、既に大きな市場を形成しています。

 

―プランター式ハイドロポニックス花壇― 

その分、ハイドロポニックス(水耕栽培)のソフト面の知識レベルも高く、家庭園芸分野の一翼を担っていると申せます。先の「LED照明の光量や養液量などを品種ごとの栽培プログラムで自動制御するITプランター」の話を聞いたなら、ITも先進国ですから、多くの方が笑い出すかも知れません。

 

―室内装飾用ハイドロポニックス装置― 

一方、日本の水耕栽培の家庭園芸分野では、ハイドロポニックスでは無く、ハイドロカルチャーが市場紹介されて久しく、一般にハイドロポニックスとハイドロカルチャーは、略、同意味であり、その違いは、室内用の簡易な水耕栽培の家庭園芸版と思われている方が多いのでは無いでしょうか。

 

―ハイドロカルチャーのサブイリゲーション給水法図―

実は、ハィドロカルチャーは、装置原理も開発の経緯もハイドロポニックスとは全く異なります。その原点は、スイスで発明された観葉植物などの室内設置用の特殊な植え付け装置であり、今も登録商標となっている“LUWASA HYDROCULTURE”がその元祖です。 発明のヒントは、限られた日照量や水分量の環境下で生き延びる術を得た、熱帯等の樹林上の着生植物等の根の吸水原理に得たとされています。

 

―緩効性固形肥料を置いた断面図―

着生植物の根が毛管上昇水を利用する樹皮や苔などに替わって、別な目的に利用されていた粘土の造粒発泡焼成材が、格好な代替媒体である事を発見し、それを利用する植え付け法と装置の特許を取ったのがこの栽培法です。その粘土造粒発泡焼成材の持つ機能の「空気―水―錬石」のドイツ語である“Luft-Wasser-Sand”からLUWASA Hydrocultureと命名されたそうです。

 

―今も使われているトレードマークー

今では、その特許も失効して久しく、専用の粉砕発泡錬石を開発したドイツのSeramis社、粘土造粒発泡焼成材メーカーのLiapor、LeniHyrdokultur社などが装置市場に参入し、この植え付け装置の原理の普及度は著しく、今では室内での生きているグリーンインテリア用に大変広く利用され、特にドイツなどでは、オフィスでも一般家庭でも見かけない処は無い程です。

 

―典型的な室内観葉植物の植え込み例―

しかし、粘土造粒発泡焼成材(LECA)を利用するこの植え付け装置の特徴は、植物根の馴化適応性を利用するのですが、媒体の持つ毛管径の分布構成の違いによる特異な毛管上昇水であり、他の多孔質体であるパミスサンド等を利用しても言えるのですが、問題は、限られる光合成量に合わせた施肥育成が上手く出来ない点にあります。明るい豊富な光量下では、蒸散量とのバランスが取れず、肥料成分の塩析が起ったり、藻類による媒体 表面の汚れ等が発生します。 

 

―育苗中のトマト、新プランター栽培用培地は播種育苗にも最適―

其処が、新プランター栽培法と大きく異なるところであり、それで栽培効果の高さを写真で公開しているのですが、この媒体の土壌を越える機能やハイドロポニックスとの相違点等、新プランター栽培の特徴が中々ご理解頂けないのは考案者としては残念です。    

 

ブログランキング・にほんブログ村へ 

にほんブログ


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
イソライトCG (大森 伯太)
2011-08-05 22:50:58
イソライトCG2がベストな結果が出たのでしょうね。
イソライトCG2の入手が困難なのですが。
直接イソライト工業からお買いになるのですか。
返信する
イソライトCG (管理人)
2011-08-06 06:37:48
大森 伯太様

イソライトCGの養液栽培の媒体としての適正の研究は、イソライト工業さんはとっくの昔にいろいろ試みています。結果的に固形培地耕に必ずしも有利とは言えない為にあまり利用されていないだけです。
尚、本栽培法の考案に至るまでには、様々な試供品のご提供を再三頂き、直接大変お世話になっています。

他にも、いろいろな素材を試供下されたメーカーさんが何社かあり、未だ何も報いる事が出来ず、大変心苦しい思いをしています。

その様な次第ですので、早くこの栽培法の利点を皆さんにご理解頂き、水耕法とは異なる家庭園芸栽培法として多くの方に採用される事を望んで居るのです。

管理人
返信する

コメントを投稿