5月21日の朝日新聞の読書特集の中の記事ですが、私の敬愛する野坂昭如の”未刊行小説集出版”という見出し。今までも、沢山の著作が発行されているのに、未刊行小説??それが沢山あるのか??単行本、文庫本はたくさん刊行されている、随筆や評論なども刊行されているはず。でも確かに全集というものは未刊かも。著作集は確かに出ているし、自分も持っているが。
記事では、80歳となることを機に、未刊行小説169作品を、全6巻にまとめて発行するというのです。
埋もれていた佳作に光を当て、各巻の資料編も充実させ、野坂昭如という作家の人生をたどれる構成になっているとのこと。各巻末には本人の収録作品への談話を載せているといいます。
この記事をみて嬉しくなりました。これは是非とも購入しないといけない。
でも、最後の方で定価を見てビックリ仰天。予定価格は8,820円とのこと。単純に6倍すると、52,920円にもなります。でも、買います。それが昔からのファンたる者の心意気です。
そしたら今日の朝日新聞の広告欄に、この小説集を刊行する書店「幻戯書房」の広告が載っていました。『20世紀断層 野坂昭如 単行本未収録小節集成』 「幻戯書房」ってみなさん知っていましたか、聞いたことがありますか。残念ながら私は初めて知りました。
まあ、それはそれとして、80歳、傘寿を記念しての出版です。≪無垢にして攻撃的なーーその行動と妄想の軌跡≫ 上手いキャッチコピーを考えるものです。
野坂昭如といえば、攻撃性と妄想、これは切っても切れません。中でも妄想、妄想がなくなったら野坂は野坂ではなくなります。何歳になっても、どこまでも妄想をかき立て、妄想を突き詰めていく(変な言い方ですが)、そこに彼の彼らしさがあり、自分としてもそこに惹かれて今まで来ているわけです。
そして何といっても戦争の空しさ、無慈悲さ、弱い者が否応なく犠牲になっていく現実、(もどかしい限りですが、相応しい言い方が思いつきません、情けない)それらを淡々とつづっていく、強い怒りを内にひめながらも、表には出さずに押さえつけて、優しく労わりながら話しを進めていく手法、とっても素晴らしいものがあります。これを単純に反戦小説と括ってしまっては、人間に対する優しさと共感というものが逃げてしまうという気がします。
加藤周一、井上ひさしが亡くなってしまった今、彼野坂昭如にはまだまだ長生きしてもらって時代に警告し続けて欲しいと切に願うものです。
ところで4枚の写真は何の写真かお分かりですか。 そうです、”キイウイ”です。今キイウイの花が咲いています。いつ枯れてもおかしくないような状態なのに健気にも毎年花が咲き、実がなります。
なかなか可愛い花をつけるのですね。
硬い蕾から花が咲くまで何日ぐらいかかっているのでしょう?
本当に可愛いのです、子ども達も関心を持っています。