今回のお話は救急対応についてのお話です。
先日当院の患者さんが、「車で走っていたら、道端に子猫がうずくまっていた。なんとか助けて下さい」とのことで、慌てて来院されました。
連れてこられた、その子猫は意識がもうろうとしていて、昏睡状態にありました。
状態から、おそらく頭部を激しく打っていると判断し、救急対応を行いました。
(当院では、命に関わる状態の動物が運び込まれた場合、診察順番にかかわらず、すぐに対応をするようにしております。・・・当日、快くお待ち下さった皆様ありがとうございました。)
↑来院時の子猫(意識が混迷しており、鼻出血も認められる)
各種検査によって、上顎(あご)および下顎骨の骨折も認められましたが、拾われた方のご希望で治療を行うことになりました。
上顎の骨折はズレが酷くないので保存治療(自然治癒を期待し外科的な固定を行わない治療)とし、下顎骨折はワイヤーにて固定を行いました。
問題は、頭部打撲による脳障害の程度がどの程度かということですが、どちらにしても数日の経過観察が必要なので入院して治療を行うことになりました。
治療開始数時間後には意識の回復は認められましたが、極度の痛みと鼻呼吸が出来ない為にかなりつらい状態が、これから数日続きました。
連れてこられた方が途中諦めかけるほど見た目の状態は悪かったですが、がんばって入院治療を続けたところ、受傷後6日目には自力でペースト状のフードを食べれるようにまで回復し、7日目に無事退院して通院治療に切り替えました。
その後状態は安定し、頭部打撲の後遺症も認められなかったので、治療開始約4週間で下顎を固定していたワイヤーを除去し、治療を終わりました。
↑ワイヤー除去後の様子(すごく人懐っこい子で、リラックスして寝てます)
名前も「完ちゃん」とつけてもらい、これからは幸せな生活を送ってくれることを祈っております。