耳と脇が痒いということで来院したのはシーズーのハッピーちゃんです。
↑カメラを向けると、とてもいい顔をしてくれたハッピーちゃんです。
今回、一ヶ月間シャンプーができていないとのことで、まずはかゆがっている箇所の毛刈りを行いました。
↑左前肢の脇です。
↑右前肢の脇です。
両脇とも胸のあたりまで赤みが広がっていました。
一体なぜこんな風になったのでしょうか?
今回の脇のかゆみが起きている場所に細菌などがいないか検査を行ったところ、「マラセチア」という菌がいました。
「マラセチア」とは、カビの一種(真菌)で、動物の正常な皮膚や耳道に少数いるのですが、これが増えすぎると体がベタベタと脂っぽくなり、赤みや痒みを引き起こします。
この菌は身体の皮脂をごはんとしているので、皮脂が多い状態が続いたりすると異常繁殖を起こして皮膚炎なども引き起こします。
通常は正常な皮膚にも少数存在する菌なのですが、何かしらの原因(基礎疾患としてアレルギーなど)によって皮膚のバランスが崩れて菌が増殖する結果につながっていると考えられています。
今回、治療としてはまず薬用シャンプーで身体全体を洗う事から始めました。
シャンプーは、汚れや余計な皮脂を落とすだけでなく病原体やアレルゲンなども落とし、それらが原因で増える細菌やカビを抑えてくれるので、とても大切な治療法の一つです。
一週間後に経過をみてみると、かゆみはあるけど減っていて赤みもだいぶ引いているとのことでした。
今後も経過観察を行い、肌のケアを頑張って、快適な生活を送ってほしいです。
また、このマラセチア性皮膚炎にかかり易い好発犬種としてシーズーが圧倒的に多いといわれているので、シーズー犬を飼われている方はご注意くださいね!
↑2ヶ月後の様子です
獣医師 平湯