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ビニール紐を飲み込んでしまったあずきちゃん

2015年01月08日 | 診療科目

年末の日曜日の診察に「かかりつけの病院がお休み」ということで来院された約8ヶ月齢の猫のあずきちゃん。

*今回の内容には手術中の写真があるので、苦手な方はご遠慮下さい

「今朝から5回も液体を吐いている」とのことでした。

↑怖がりさんで緊張した表情をしてます

 

こんなに若い猫さんが突然液体を吐き出した時に最も注意するのは、異物の誤食です。

まずお話しを聞くと「オモチャでは遊ぶ子ですが、気付く範囲で飲み込んだ形跡はない」とのことでしたので、念のためにレントゲンとエコー検査をさせていただくことにしました。

 

  

↑レントゲン所見では明らかな異物や腸閉塞所見はありませんでした。一部腸の走行が蛇行しているように見えます

 

 

↑胃が軽度に拡張し、液体が滞留している像

 

↑十二指腸がやや蛇行している像(この時点で内部にビニール紐があるはずですが、十二指腸内ガスとの区別がつきません)

 

ということで、レントゲンとエコー検査では異物を疑わせる所見が有り、その程度は「黒に近いグレー」という判断になります。しかし、重度の胃腸炎でも同じような所見がみられること、本人の顔つきは悪くないこと、診察検査中に呕吐が見られなかったことなどを考慮すると、麻酔を必要とする胃カメラの検査や、ましてや開腹手術を検討するという判断までには至りません。

そこで、飼い主の方と相談して、脱水の治療のみの対処で1日観察することにしました(腸異物が完全否定出来ていないので、吐き気止めは使いません)。

そして夕方「家に帰ってからも3−4回液体を吐いてしまいました」とのお電話が・・・

そこまで吐き気が続くならという事で、安全の為に胃カメラで確認することにしました。

↑胃カメラの所見(胃の出口に何やら紐状の物が見えています)

胃カメラで確認して良かったです。間違いなく紐状異物による不完全腸閉塞です。念のために胃カメラで取り出せないか先端を軽く引っ張ってみましたが、ある程度引っ張るとかなり強い抵抗があります(この状態で無理に引っ張ると腸穿孔が起こる場合があります)ので、諦めて手術で取り出すことになりました。

↑蛇行している状態の腸

↑適切な場所を2ヶ所切開して異物を取り出している途中

↑腸の縫合後の状態

ということで、今回の異物の正体はビニール紐でした。

手術が終わって、飼い主の方とお話ししたところ、「さっき子供達がビニール紐がないかも・・・と話していた」とのことでした。

まぁ何はともあれ、手遅れになる前に無事に治療が出来てよかったですね。

↑抜糸の時のあずきちゃん(もう飲み込んだりしないで下さいね)

 

獣医師 佐藤

 


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