亀井静香金融・郵政担当相は10月5日、東京都内で行われた講演会で、「日本で家族間の殺人事件が増えているのは、(大企業が)日本型経営を捨てて、人間を人間として扱わなくなったからだ」と述べ、日本経団連の御手洗冨士夫会長に「そのことに責任を感じなさい」と言ったというエピソードを紹介したそうです。
日本型経営がそんなに良かったのかどうかは議論が分かれるところだと思います。終身雇用が確保されていた時代から「過労死」という言葉はありましたし、いじめなどもありました。また、家族間の殺人事件も、すでに1970年代後半に家庭内暴力がクローズアップされていたように、日本型経営を捨てたことにその原因を求めるのはあまりにも短絡的だと思います。
しかしながら、昨年の秋葉原の通り魔事件などの凶悪犯罪に経団連がまったく責任がないともいえないように思います。小泉「改革」以降、経団連が旗振り役となって非正規雇用を大幅に増やした結果、働いても満足な収入が得られないワーキングプアと呼ばれる人たちや、ニートが増大するなど、貧富の格差が個人の努力ではどうしようもないくらいに拡大してきています。しかも、昨年秋以来の深刻な不況によってそうした人たちは大企業にいとも簡単に首を切られ、社会問題となっています。そして、年間自殺者数は相変わらずの3万人越え<※>。驚くべきことに15分に1人は自殺している計算になります。これはもはや非常事態ともいえる数字だと思います。8月30日の総選挙で自民党・公明党が惨敗し民主党が大躍進したのは、こうした社会状況に対する国民の怒りが背景にあったのです。ただし、民主党には選挙戦中から言われていた通り、正面から財界を批判する視点はないようですが…。ですから、亀井氏が正面から財界を批判したのは、論点はずれているにせよ、大いに評価していいと思います。
では、15分に1人が経営苦などで自殺をしている時に、日本の財界のトップである御手洗冨士夫氏はどんな生活を送っているのか。彼は、キャノン創始者の叔父のコネで入社しています。驚くべきことに彼はキャノンの社長時代に、成果主義を導入し、扶養手当・住居手当など残業手当をのぞく基本給以外のすべての手当を廃止しています。一方で、自身がキャノンUSA社長時代には秘書に対して中華料理、フランス料理、日本料理といった3件の事前予約を課し、その日の気分で選んで残る2件はキャンセルさせる、というわがままぶりを発揮していたそうです。また、キャノンの役員報酬を2003年の1億3900万から2006年には2億2200万に引き上げています。この御手洗氏の感覚は、「パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない」と言い放った王妃マリー・アントワネットとなんら変わるものではありません。以前別の記事でも書いたのですが、明治初期の旧藩主に比べても、国民が苦しんでいるときにあまりにもお粗末ではないでしょうか。
今の時代、3年間で1億円近くも収入を上げることができるような大金持ちはごくわずかです。世の中には貧しい人、中産階級、大金持ちなど、色々な階層の人たちがいます。しかし、どんな階層の人たちであっても、憲法25条が定める「健康で文化的な生活を営む権利」は平等にあるはずです。ところが、経団連が旗振り役となった小泉「改革」ではこの権利すらままならない人たちを増やしてしまいました。こうした状態を放置し、国民に最低限の生きる権利すら与えないような国が、果たして文明国だと言えるでしょうか。このことを財界の方々にはよく考えていただきたいものです。
日本型経営がそんなに良かったのかどうかは議論が分かれるところだと思います。終身雇用が確保されていた時代から「過労死」という言葉はありましたし、いじめなどもありました。また、家族間の殺人事件も、すでに1970年代後半に家庭内暴力がクローズアップされていたように、日本型経営を捨てたことにその原因を求めるのはあまりにも短絡的だと思います。
しかしながら、昨年の秋葉原の通り魔事件などの凶悪犯罪に経団連がまったく責任がないともいえないように思います。小泉「改革」以降、経団連が旗振り役となって非正規雇用を大幅に増やした結果、働いても満足な収入が得られないワーキングプアと呼ばれる人たちや、ニートが増大するなど、貧富の格差が個人の努力ではどうしようもないくらいに拡大してきています。しかも、昨年秋以来の深刻な不況によってそうした人たちは大企業にいとも簡単に首を切られ、社会問題となっています。そして、年間自殺者数は相変わらずの3万人越え<※>。驚くべきことに15分に1人は自殺している計算になります。これはもはや非常事態ともいえる数字だと思います。8月30日の総選挙で自民党・公明党が惨敗し民主党が大躍進したのは、こうした社会状況に対する国民の怒りが背景にあったのです。ただし、民主党には選挙戦中から言われていた通り、正面から財界を批判する視点はないようですが…。ですから、亀井氏が正面から財界を批判したのは、論点はずれているにせよ、大いに評価していいと思います。
では、15分に1人が経営苦などで自殺をしている時に、日本の財界のトップである御手洗冨士夫氏はどんな生活を送っているのか。彼は、キャノン創始者の叔父のコネで入社しています。驚くべきことに彼はキャノンの社長時代に、成果主義を導入し、扶養手当・住居手当など残業手当をのぞく基本給以外のすべての手当を廃止しています。一方で、自身がキャノンUSA社長時代には秘書に対して中華料理、フランス料理、日本料理といった3件の事前予約を課し、その日の気分で選んで残る2件はキャンセルさせる、というわがままぶりを発揮していたそうです。また、キャノンの役員報酬を2003年の1億3900万から2006年には2億2200万に引き上げています。この御手洗氏の感覚は、「パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない」と言い放った王妃マリー・アントワネットとなんら変わるものではありません。以前別の記事でも書いたのですが、明治初期の旧藩主に比べても、国民が苦しんでいるときにあまりにもお粗末ではないでしょうか。
今の時代、3年間で1億円近くも収入を上げることができるような大金持ちはごくわずかです。世の中には貧しい人、中産階級、大金持ちなど、色々な階層の人たちがいます。しかし、どんな階層の人たちであっても、憲法25条が定める「健康で文化的な生活を営む権利」は平等にあるはずです。ところが、経団連が旗振り役となった小泉「改革」ではこの権利すらままならない人たちを増やしてしまいました。こうした状態を放置し、国民に最低限の生きる権利すら与えないような国が、果たして文明国だと言えるでしょうか。このことを財界の方々にはよく考えていただきたいものです。