このところ各地でツキノワグマの目撃情報が相次いでいましたが、今月に入り、
なんと瀬戸市内でもクマの目撃情報が寄せられたそうです。そもそも愛知県内にはクマは生息していないはずで、以前東三河で目撃情報があったときにも「愛知県内でクマが目撃されるのは大変珍しい」という話でしたが、まさか猿投山を越えて尾張まで来るとは思っても見ませんでした。
一番最初に目撃されたのは
瀬戸市川合町。なんと私の家から直線距離で2キロ程度しか離れていない場所です。川合町は
瀬戸市斎苑のすぐ裏なので、葬式の際などによく行く場所です。その後、クマは
瀬戸市片草町でも目撃されています。そのほか、瀬戸市と接している
豊田市猿投町付近でもクマ目撃情報が相次いでます。海上の森や元万博瀬戸会場、去年8草会の忘年会をやった
猿投温泉、さらに
仙人が住んでいる豊田市篠原町付近もわりと近いですから、要注意だと思います。ちなみにツキノワグマの場合はどうかわかりませんが、ヒグマの場合は行動範囲が大変に広く、活発なクマの場合、1匹で150平方キロ(名古屋市の約半分)くらいはテリトリーとしているそうです。今回目撃情報が出たクマは同じクマの可能性もあると思います。
ところで私は以前札幌に住んでいたので、ヒグマに襲われて死んだという話はしょっちゅう聞いています。北海道のヒグマは本州のツキノワグマと比べるとその恐ろしさも体格も数倍上といわれており、開拓初期には集落が一頭のヒグマ襲われ、村人が次々と殺されたという話(
*)すら伝わっています。
ヒグマは道内の全地域に生息しており、札幌市内にも生息しています。札幌市の場合、面積は名古屋市の3倍以上あり(南区だけでも名古屋市の倍以上の面積があります)、中央区
(!)・西区・南区・手稲区では少し奥に入ると標高1000メートル以上の山が続いているので、当然ヒグマの目撃情報は毎年出てきています。しかも最近では、どんどん市街地に近いところまで出てきているようで、札幌の中心部からいちばん近いところでは、観光客もよく行く大倉山ジャンプ競技場のある
中央区宮の森で目撃されたという情報もあります。ここなど大通公園からわずか5キロ程度しか離れておらず、すぐ近くまで住宅地が広がっています。さすがにこれほど住宅地に近い場所でヒグマが目撃されたのは今までなかったことなので、当時は周辺住民に不安が広がったようです。
ちなみに北海道では1970年前後までに札幌から苫小牧にかけてのJR千歳線沿線の開発が進み、千歳線を境にヒグマの居住範囲が2分されてしまい、互いに行き来ができなくなったということです(それまではヒグマの行動範囲は広く、互いに行き来や交雑があったそうです)。さらに乱開発が繰り返された結果、ヒグマがどんどん減っていき、それまでヒグマに襲われていたエゾシカが急増して、エゾシカによる被害が広がっています。
それにしても瀬戸にしろ札幌にしろ、これだけ人の近くまでクマが来るというのが相次いでいるということは、やはり異常気象か開発等による生態系の乱れが影響しているということなんでしょうね。
クマ出没ニュース一覧
札幌市-ヒグマ出没情報
追記:以前、学芸員実習で札幌市厚別区にある北海道開拓記念館に行った際に、今は警備員でかつて猟友会に所属しヒグマ駆除をしていた人から聞いた話ですが、ヒグマの場合、体長1メートル未満の子グマでも十分殺傷能力があるそうです。その人いわく、ヒグマを射殺しなければいけない場合に、心臓を狙うのはタワケのやることだそうで、そんなことをすれば反撃のために手足を振り回し大変危険だそうです。ではどこを狙うのかというと、反撃を防ぐため手足の関節部分をまず撃つそうです。