Across The Universe

当ブログはフィクションであり、登場する人物・出来事等はすべて架空のものです。

新日本フィルハーモニー交響楽団 第402回定期演奏会

2006年06月21日 | コンサート・レビュー
<曲目>
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調 作品77(*)
ショスタコーヴィチ:交響曲第7番ハ長調 作品60「レニングラード」
指揮:ジェームズ・ジャッド、ヴァイオリン:渡辺玲子(*)
会場:サントリーホール


 東京に行ったついでに聴きに行ってきました。新日本フィルの演奏を聴くのもサントリーホールに行くのもはじめてです。ショスタコーヴィチの問題作ヴァイオリン協奏曲第1番と、大作「レニングラード」が聴けるという、ショスタコファンにとっては夢のような演奏会です。両方あわせて110分くらいの長さになりますが、これはほかの演奏会にくらべてかなり長く(だいたいどのコンサートも休憩ぬきで70~80分くらいの長さにしてます)、お得感も強いですね。
 さて、前半のソリストは渡辺玲子。この人は昨年の名フィル定期でブラームスのヴァイオリン協奏曲を独奏してましたが、演奏技術の巧さに感激した覚えがあります。今まで聴いたどのヴァイオリニストよりも超絶技巧なテクニックで、ついついひきこまれてしまいます。とくに名フィル定期のときにアンコールで弾いたパガニーニの曲の指使いの凄さには聴衆一同絶句していました。その人が弾くのでこれは期待大ですね。残念ながら指定された席は1階最前列の左端で、演奏中の姿がまったく見えませんでしたが、卓越したテクニックは相変わらずで、もっといい場所にしとけばよかったと後悔しました。今後も要チェックのヴァイオリニストです。
 さて、休憩後はいよいよ「レニングラード」。この曲は1曲で80分近い長さがあるので、ショスタコーヴィチの交響曲のなかではもっとも人気のある部類に入りながら実演は敬遠されがちで、今年も今日以外で「レニングラード」が演奏されることはあまりないようです。とくに聴き所は第1楽章の中間部で、その昔シュワルツェネッガーが出たアリナミンVのCMにも使われたので(「チ~チンブイブイ、ダイジョーブイ」)とくに有名です。この部分が余りに有名なので、第1楽章が終わってしまうと脱力感が生じてしまうのですが、新日本フィルの演奏は最後の最後まで飽きさせない真摯なものでした。ただ、この曲が書かれた背景やフレーズにこめられた意味などは、今日の演奏からはなかなか想像しにくいようにも思いました。この点は、オケや指揮者がソ連を経験したかしてないかで差が出てくるのかもしれません。

Paul McCartney

2006年06月18日 | 音楽関連
 The Beatlesのアルバムの中でもとくに評価が高いのが"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band"ですが、そのなかにある"When I'm Sixty-Four"という曲はあまり知られていないと思います。
 この曲はポール・マッカートニーの作詞作曲で、ポールの得意とするヴォードヴィル・スタイルの曲ですが、実は作曲されたのはビートルズ結成よりもずっと前、おそらく彼が「ザ・クオリーメン」というバンド名でリヴァプールのクラブなどで演奏していた下積み時代だといわれています。しかし、この曲を聴いてみると、10代後半頃に作られたとは思えないほどロックンロールとはかけ離れた曲(ただし彼はビートルズ結成以後は似たようなスタイルの曲をたくさん書いています)で、あらためてポールの豊かな音楽的才能を実感させられます。
 さて、この曲の歌詞はポールが64歳になった時を想像して書いたものですが、実は今日でポール・マッカートニーは64歳になるんですね。それでこの曲について書いてみました。

ヒラリー・ハーン ヴァイオリン・リサイタル

2006年06月10日 | コンサート・レビュー
<曲目>
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 Op.27-1
エネスコ:ヴァイオリン・ソナタ第3番 イ短調 Op.25 「ルーマニア民俗風で」(*)
ミルシテイン:パガニーニアーナ
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第25番 ト長調 K.301(*)
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第3番 変ホ長調 Op.12-3(*)
ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン、ピアノ:イム・ヒョスン(*)
会場:サラマンカホール


 最近お気に入りのヴァイオリニスト、ヒラリー・ハーンの演奏を聴きにわざわざ岐阜まで出かけてきました。本当は次の日に名古屋のしらかわホールでも演奏するのですが、残念ながらこちらは完売。岐阜のほうは席に余裕がある上に学生割引で半額になるので、往復の交通費を入れてもこちらのほうが安いです。場所は岐阜市のサラマンカホールで、西岐阜駅から無料バスに乗り換えて5分くらいのところです。
 さて、彼女の演奏ですがやはりすばらしかったです。千住真理子のような大げさな音ではなく、上品な音で、それでいて超絶技巧で大変満足できました。この日は聴衆のレベルがかなり低かった(演奏中に物を落とす、咳払いをする、イビキをかいて寝る等)にもかかわらず、2曲アンコールもあってなかなか感じがよかったです。終了後、サイン会があったので、CDの表紙にこの日の伴奏ピアニスト、イム・ヒョスンとヒラリー・ハーンの両方に書いてもらいました。実物は写真とはだいぶ違いましたが。

名古屋フィルハーモニー交響楽団 第326回定期演奏会

2006年06月02日 | コンサート・レビュー
<曲目>
J.S.バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 BWV1043(*1)(*2)
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第1番変ロ長調 Kv.207(*2)
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調 作品36
指揮・ヴァイオリン:ピンカス・ズッカーマン(*1)、ヴァイオリン:竹沢恭子(*2)
会場:愛知県芸術劇場


 世界的に有名なヴァイオリニストであり指揮者でもあるズッカーマンが来るというので行ってきました。しかし、チケット代高すぎ。私は芸術劇場ではだいたい2階席のオケの左側の部分が、意外と音もいいし、オケや指揮者の一挙手一投足も確認できるうえ、チケット代も安いので気に入っているのですが、今回はC席でも6000円といつもの倍の値段でした。
 バッハの曲は、私も昔ヴァイオリンを習っていたとき途中まで弾いた曲なので思い入れが深く、いつ聴いてもいい曲ですね。ただ、ヴァイオリンの音色を楽しむという観点からすると、この時代の曲はそれほどヴァイオリンが自己主張をしないので、ちょっと物足りない面もあるかもしれないです。
 モーツァルトは、私個人がそれほど好きでないこともあるのですが、ちょっと退屈だったかな。どうも名フィルはモーツァルトやフランスものが弱いようです。
 これに対し、チャイコフスキーの演奏はさすがでした。オケにも得手不得手があるようで、名フィルの場合はチャイコフスキーやショスタコーヴィチなど、ロシアものを得意としているようで、とくにチャイコフスキーの第4番のような、フィナーレが底抜けに明るく、だんだんと気分が乗ってくるような曲だと、本領を発揮できるような気がします。