読書と追憶

主に読んだ本の備忘録です。

映画「クワイエットルームにようこそ」

2007-11-08 12:30:38 | 映画
 昨日は「クワイエットルームにようこそ」を観てきた。これはおもしろかった。たぶん私が今年見た映画の中でベスト5に入る。内田有紀ちゃんゲロまみれになっていてもかわいい。全然不潔感がない。旦那役の宮藤官九郎、すごく実在感があった。いい人なんだけど、いかにも「電波少年」的お笑い番組に出てきそうな人でもうおかしくって、深刻な話をしているのに笑えて笑えて・・・・。以前患者にボールペンで首を刺されて死にかけたのにめげずに看護婦を続けているという無表情な冷酷ナース江口を演じてるりょうもよかった。有能で使命感に溢れていて、でも心を堅く閉ざしていないと生きていけないからステンレスみたいになっちゃったんだろうなあとよくわかる。
 
 私が好きなのは、ほんわかナース山岸の平岩紙さん。NHKでやった「ロッカーの花子さん」以来のファンだ。鼻水そっくりの流動食を「ごはんとお味噌汁とおかずにスピード感を与えたものです。」とか「見た目はグロテスクですが、パンとミルクとイチゴというかわいいもので出来ております。」とかやさしい声で言うのだ。ときどきいるよね、こういうナース。どんな修羅場でもこんな人に淡々とこう言われたらホニャーンとなって、つい言うことを聞いちゃう。それからノーテンキなコモノのにーちゃん、「なんだか妻夫木くんに似てるなあ」と思ったら妻夫木くんだし、この先生やたらと貫禄あるなあと思ったら「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明監督だし、まじめでおもしろくないという元旦那、「おっ、私わりとこういう人好きだな。」と思っていたら、あの「鉄男」の塚本晋也監督でしたよ。どーしたの?あと、ちょい役で俵万智さんとか、しりあがり寿さんとか、しまおまほさんとか、なんという豪華なキャストでしょう。
 
 でも、そういうのを割り引いても内容もよかった。いろいろと考えさせられた。異常ってなんだろうって。たとえば、拒食症で一泊2万円の豪華部屋に5年も入っているというブルジョアのサエちゃん。体重が35キロなんてちょっと風邪でもひいたら死んじゃうよ。だけど親は「退屈だろう」って1000ピースのパズルを差し入れてくる。図柄がエッシャーの「無限階段」。ピアノも上手だし絵もうまいとても才能のある子だ。だけど親は決して満足せずにあの子にいろいろ要求しつづけていたんだろうなあと思わせる。読める状態じゃないのに英文学の本とかね。この子は治りはしないよ。だって治ったらそんな親のいる家に帰らなきゃならないもの。この子よりも親の方を治療した方がいい。そう考えると、ここにいる人たちが病気で異常だっていうよりも、世間の方が狂っていて、この人たちは必死でそれに合わせようとして適応障害を起こしているんじゃないかとも思う。主人公と同じ薬物過剰摂取で入院した栗田さんも、あんなにまともそうなのに最後また戻って来ちゃって、家でどんなひどいストレスがあるんだろうと推測すると胸が痛む。
 
 いろいろ考えさせられて、でもとびきりおかしくって、悲しくって、サイコーだった。すっかり松尾スズキのファンになってしまった。

「ベトナムODA事業の橋落下事故」

2007-11-08 11:38:49 | 新聞
 今朝の朝日新聞で目を留めたのは「世界発 2007」「日本の技術神話 崩壊」の記事だ。ベトナムで日本の政府開発援助事業によって作られていた橋が崩落したという事故を追跡取材したものだ。これって9月に起きたんだよね。私はよく憶えていない。かすかにこの記事が記憶に残っているんだけど、よく理解していなかった。こうやって写真と地図つきで詳しく説明してなければ事の重大さがわからなかったと思う。だいたい、私なんかはニュースを見たり聞いたりしても、それがどれだけ重要なことなのか、そのニュースの背景にどういう事情があるのかなんてすぐにはわからない。私が日経新聞をやめたのもそれが理由で、日経はわかりにくいのだ。同じ日に同じニュースが載っていても、日経では見逃して、朝日で「なに?これ」と切り抜いたことはたくさんある。いくら情報量の多さと専門性とで他紙を凌駕していても、私には猫に小判。最近目が疲れて読めなくなり、日経を見ると眩暈までしてきたので、「日経なんて、なくても生きていける」と思い切ってやめてしまった。
 このニュースに関してはさすがネットの方が速いし取り上げているブログも多い。
『構造工学の薦め』 ~「高層の谷間に落ちる夕日かな」から
日本人が知らなかったシリーズBlogから
コラコラコラムから
ニュース ベトナム橋崩落事故の日本主要3社に談合歴あり

今朝の朝日新聞記事より
 
日本にとってベトナムはインド、インドネシアに次ぐ援助先。事故を教訓に「ひもつき」の是非や事故対応などODAのあり方を点検する必要があるとの声が政界にもある。山内康一衆議院議員(自民)は「外務省は独自の調査団を派遣し、ODAの事故対応マニュアルを作るべきだ。遺族ひとりひとりへの謝罪などやるべきことがある。危機感が足りない。」と指摘している。

 こんな折だから、もしこの工事の発注に談合があったとか、政治家の汚職があったなんていうことがあったらもー、怒るよ!国民の税金を使ってやってるんだし、国の信用にも係るのだから、工事費を中抜きして下請けに丸投げなんてことだったら冗談じゃない。ぜひ真相究明してほしい。