MBAで教える「交渉術」

MBA留学先での「交渉」の授業内容を配信。といっても最近はもっぱら刺激を受けた本やMBAについて。

MBAに出願するということ

2016-01-04 | MBA
2016年になりました。
まだ本編の書き残しがあり、スローペースですがもう少し続けていきたいと思います。

さて、MBAを取得して10年強がたちました。
2016年秋学期からに海外出願する人は、ちょうど締め切りシーズンかと思います。
私の頃はまだ郵送出願もぎりぎり受け付けていましたが、今はウェブ出願に一本化されているようです。
もうずいぶん昔の話になりましたが、不安な中で何とか間に合わせようと頑張った記憶があります。

海外留学の出願は、結果の良否はともかく、出して結果を受け取ることが重要だという側面もあると思います。

出す時点では、行き先がどんなところか正しく理解できていない。
どの位の実績や学歴が「すごい」と言えるのか、相場が分からない。
英語が正しく書けていない。
など。

出す時は誰でももっともらしく自信あり気に書きますし、ミスも何もないと考えています。
しかし個人的には、出願書類は上のような点で後から振り返ると穴だらけだったことに、徐々に気づいていくものでした。
(合格したものも含めて)
こういう書類は学校側には自分の良い点をひたすらアピールするもの。
でも自分に対しては、逆にそういう無理な作り込みを通じて、いかに弱点があるかを痛感させられていくようなプロセスだと思います。
しかも、出願している時点ではどこが弱いのかも自分ではよく分からないものです。
(それが分かる程度に成長するためにも留学したいわけですから)
自分もそうでしたが、特に「ここなら受かるのでは」と勝手に思っていた自分の中での「滑り止め」に落ちた時などが響きます。

そうした意味で、出願しフィードバックを受けた時点で、「自分や他の世界をもっと客観的に知る」という留学の目的も実は少し満たされているものと思います。

また、MBAでの実話として、同じクラスに締め切りを少し過ぎて出願したのに入ってきたと噂される人がいました。
どこでもそうですが本来〆切は絶対で、遅れたらまた来年の出願者として扱う、となるもの。
なのですが、
「やむを得ない事情で時差程度に遅れただけ」
「事情を考えるとその遅れを認めないのはアンフェアである」
「どうせ来年入っても今年入っても学校には不利益は無い」
などとしつこく交渉し続けて、内容的には翌年なら合格だったので、まんまと滑り込んだとか。

真偽はともかく、そういうことをやる人がいても不思議でなく、またそれが交渉術次第で認められても不思議でない世界観を知る。
こんな風に、出願の時点から「世界」を知るプロセスが始まっているように思います。

<32-2>いろんな合意案の中でどれがベストか、どうやって判断するの?(2)

2015-12-18 | 第三部:実戦で交渉に勝つコツは?
そして第三に、スワップ法という手法で残る選択肢を個別に比較していきます。
残る選択肢は下の3つです。

・仕事A:時給980円、週4回以上、シフト時間は自由、近くて通いやすい
・仕事B:時給1,300円、週3回、シフト時間は自由、遠くて通いにくい
・仕事E:時給1,200円、週3回、シフト時間は夜勤、遠さは中ぐらい

スワップ法とは、「ある要素を同じ条件に変更するとしたら、それと引き換えに他の要素でどの位補正値をつけるか」を考える方法です。
例えば、仕事BとEでは「時給」と「遠さ」の優劣が食い違っています。
仕事Bは時給が高いが、仕事Eはより家に近い、というねじれ状態です。
このとき、仮に仕事Eの「遠さ」が仕事Bと同じくらいだとしたら、どの位時給をもらえば見合うか、を判断するのです。

例えば、仕事Eが仕事Bと同じ位、通勤時間がかかったとしたら。
往復一日30分余計にかかるとしたら、拘束時間が30分長いのと同じです。
とすると、一日に時給1,200円×(30分/60分)=600円くらい損がありそうです。
でも、その間電車で本でも読んでいれば良いので、バイトそのものほど拘束はされません。
なので、例えば600円×80%(仮)=480円、くらいの価値になるかも知れません。
一日のバイト時間が仮に4時間とすると、480円÷4時間=120円が時給換算です。

この場合は、以下を比較するのが一つの合理的な計算です。
・仕事B:時給1,300円、通勤は遠い
・仕事E(補正):時給1,200+120=1,320円、通勤はBと同じく遠いよう補正

こうなると、「遠さ」の差は無視できるので、換算した時給を比べ良い方を選べます。

そうすれば、仕事Bが除外できるので、あとは残る仕事Aとこの仕事Eを同じように比較します。

・仕事A:時給980円、週4回以上、シフト時間は自由、近くて通いやすい
・仕事E:時給1,200円、週3回、シフト時間は夜勤、遠さは中ぐらい

ここでは、仕事Aの良さ(週4回でき、時間が自由で、近い)が時給の低さをカバーできるかどうかを判断すればよいのです。
仮に「近さ」を仕事Eと同じになるよう補正すると、通勤時間が短い仕事Aの時給が1,050円相当だとします。
(方法は先ほどと同じです)

すると、「近さ」は同じなのであとは以下を比較します。
・仕事A(補正):時給1,050円(補正)、週4回、シフト時間は自由
・仕事E:時給1,200円、週3回、シフト時間は夜勤

仕事Aで週3回しかできない選択肢があるとしたら、時給いくらなら自分にとって等価か。
仕事Eでシフト時間が自由な選択肢があるとしたら、時給いくらなら等価か。
こうして、判断要素を一つずつ同じに補正して消していきます。

このような方法が、イーブンスワップ法です。
「質的に違うものは、それぞれ良さがあって比べられない」。
日常ではそう考えがちですし、あながちそれも間違いではありません。
しかし交渉の場で、最前の選択肢を決めなければならない時には、こうした強制的に決める方法も役に立ちます。
何が自分にとって最善の選択肢か分かっていないと、たくさん合意案を出しても、どれを目指すべきか交渉戦略が立たないからです。

最後に、このような手法にはいくつかコツがあります。

1.簡単なスワップから先に考える
判断材料を減らして単純化することを優先します。
要素が減れば減るほど問題はシンプルになります。

2.スワップに集中する
「そもそも時給とシフトの自由さのどちらが自分にとってどの位重要なのか」といった、抽象的な難しい問いには入らない方が安全です。
交渉の場では、具体的な数字や比較材料を用いて順位をつけることを優先すべきです。

3.情報収集を続ける
案を比較する段階においても、情報は交渉の最重要資源です。
案の価値が自分にとって本当はどうなのか、調べて精査し続ける姿勢は重要です。

こうした手法は無理やり合理的な判断を作っているところがあるので、不自然に感じられるところもあります。
しかし、交渉はお互いを高め合う哲学論争ではないので、無理にでも合理的な最適解を作るとしたらこうだ、という前提理解を持つことが大切になるのです。

(この回終わり)

<32-1>いろんな合意案の中でどれがベストか、どうやって判断するの?(1)

2015-12-16 | 第三部:実戦で交渉に勝つコツは?
<32-1>いろんな合意案の中でどれがベストか、どうやって判断するの?(1)

前回は協調的な交渉の中で、良い合意案を出す方法を考えてみました。
今回は、複数出した合意案をどう評価するか、評価の方法を考えてみたいと思います。

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交渉では、合意する案の可能性を広げ、最後にどこで合意するか、が大きな山場となります。
その際に、「どの案がベストなのか?」を正しく判断することは、成功の前提条件です。
しかし合意案の評価は、簡単なようで意外に難しい問題です。
ある要素は選択肢Aが良いが、他の要素はBが良い、といった「ねじれ」があるためです。
そこで、交渉以外でも使える「スワップ法」という意思決定の技術があれば、役に立ちます。

例えば、アルバイト探しを例に考えてみましょう。
アルバイト先を探す時には、様々な選択肢があります。
でも完璧な仕事はそう無いので、一長一短ある中で比較して決めることになるでしょう。
例えば、同じ職種で次のような候補があったとします。

・仕事A:時給980円、週4回以上、シフト時間は自由、近くて通いやすい
・仕事B:時給1,300円、週3回、シフト時間は自由、遠くて通いにくい
・仕事C:時給1,050円、週2-3回、シフト時間は指定、遠くて通いにくい
・仕事D:時給1,100円、週2回、シフト時間は指定、遠さは中ぐらい
・仕事E:時給1,200円、週3回、シフト時間は夜勤、遠さは中ぐらい

この中で、どれがベストな案でしょうか。

「ベスト」の定義は人によって違いますが、やるべきことが3つあります。

第一に、自分にとって重要な要素を、漏れなく判断材料(Interest)に入れることです。
この例はとても単純化していますが、本来は他にも大切なことがあるかもしれません。
例えば、職場の雰囲気は、アルバイトを続けるのに重要かも。
他にも、忙しすぎないか、休憩は取れるか、交通費支給はあるか、続けたら昇給するか…等。
判断に関係ある要素を全部出し、表にして選択肢を整理することが必要です。

第二に、判断材料を全部出した後、明らかに除外しても良い選択肢を消すことです。
よく見ると、ある選択肢が別の選択肢より全ての面で劣っていることがあるからです。
とはいえ、定性的な条件をそのまま比べると判断が難しくなります。
例えば例の場合、週何回が良いか、昼と夜勤とどちらが良いか、等は人によるでしょう。

そこで、条件表をランク表に変換します。
ランク表とは、各比較要素を、自分にとっての望ましさランキングで順位づけしたものです。
例えば最初の例の表を変換すると、次のようになるかもしれません。

・仕事A:時給5位、勤務回数1位、シフト時間1位、近さ1位
・仕事B:時給1位、勤務回数2位、シフト時間1位、近さ4位
・仕事C:時給4位、勤務回数2位、シフト時間3位、近さ4位
・仕事D:時給3位、勤務回数4位、シフト時間3位、近さ2位
・仕事E:時給2位、勤務回数2位、シフト時間3位、近さ2位
(例えば仕事Eは、時給について5つの仕事の中で2位、勤務回数の望ましさも2位…)

この場合、例えば次のような判断をしたと仮定して、順位をつけています。
・勤務回数は収入のため週に4回は働きたい。4回までの範囲で多い方が良い
・シフト時間は自由なのが一番だが、昼間に時間を指定されるなら夜勤でも同じ

すると、仕事Cは仕事Bより全ての面で順位が同じか低くなります。
(他が同じで、時給が安く、シフトの自由度が低い)
また同じように、仕事Dも仕事Eより順位が同じか低くなります。
(他が同じで、時給が安く、勤務日が希望より少ない)
そこで仕事CやDのような選択肢を消して、問題を単純化することができます。

(この回続く)

パリでの事件を受けて

2015-11-24 | フランス暮らし
栄太です。

先日、パリで同時多発テロがありました。
このブログでも10年位前に、スラムのようなパリ郊外の移民街のことを少し書いてました。
当時から時々大暴動もあり、このままでは済まないと思っていましたが、今回のような形になり本当に残念です。
もう10年以上が過ぎましたが、同国に留学した人間として、考えさせられるものがありました。
大変残念ですが、現地の友人も大きく影響を受けているようです。

そしてフランスの連想から、このブログのことを思い出しました。
読み返してみると、当時の思いがよみがえる、自分にとっても良い記録になっています。
一寸先も分からない中、こういうログはそれなりに意味があるかも知れない。
そこで、このブログをゆっくりペースで再開してみようと思います。

未完で悔いが残るので、本編の「交渉術」で書き残したことを書きます。
またタイトルワードでもあり、卒業して時が立った視点から、あらためて「MBA」についても少し思うことを書くつもりです。

崖の上のポニョ

2008-08-25 | 雑記
掲題の映画を見ました。
説明するまでもありませんが、宮崎駿監督の最新作。

面白かった部分とそれほどでもない部分が交じり合った、微妙な映画でしたが「見てよかった」感はあります。
一言で言うと「楽しいウォーターアトラクション」のような映画。

最も印象的だったのは水の描写。

海辺の町で展開する物語なので海がずっと出てくるのですが、その表情が面白い。
冒頭では静かな海が、波が魔物のようにうごめいたり、津波が魚になったり、また高潮が丘を襲ったり、嵐がやんだ後透明な水の中の世界が水面から見えたり、と。
その動きが非常に生き生きとしていて、つい自分も映画の世界の中にいるように感じる、新鮮な臨場感がありました。
オール手書きとのことですが、クレヨンと絵の具で書いたようなやさしいトーンの色合いも目に心地よかったと思います。
(最近のディズニーの、色が濃くどぎついCGアニメとまさに好対照だと思います)

ある意味では遊園地のアトラクションのように、感覚的に海を楽しむ映画でしたし、その意味では評価満点だったと思います。
不思議な生き物がひしめく海の中の世界と、浮遊感も良好。


いまひとつに感じたのは、ストーリーでしょうか。

まあ、まとまりがあってこれでいいのかなとも思えますが、かなりシンプルです。
子供でも「え、これで終わり?」な感じがするかもしれません。
ポニョの両親が何者なのかなど、細かい設定があまり説明されないので、結局どういうことだったのか分からない部分も残りますし。
監督自身が「5歳児でも分かるもの」を目指したとのことなので、これは5歳児には世の中詳細が分からないことがいっぱいあるという表現かもしれません。
しかしネット時代の子供たちは細かい情報も結構よく知っていそうですし、絵に描いたように「常に正直で勇敢で礼儀正しい」主人公の少年が、リアルな5歳児なのかどうかはちょっと不明。

とはいえ、やたら細かい設定で人間の暗部をグロテスクに描いた作品が多い昨今、こんな風に

-複雑な裏設定が垣間見える中、柱のストーリーはシンプルに
-人間の明るい側面をとらえて
-映像で想像力とぬくもりにあふれた別世界を見せる

というのも好感が持てると思いました。
でもこれって昔のディズニー映画に近いのかもしれませんね。

祭り

2008-07-18 | 雑記
京都の祇園祭りに行ってきました。
17日昼が有名な山鉾巡業(32の山車が市内の中心部を巡回)、その前日まで山鉾が町の辻に飾られていて、夜はお祭りのように店が出て人がにぎわっていました。

報道によると10何万人も観光客が詰め掛けたそうで、祭りらしい非日常な感じのあるイベントでした。
この祭りは無形文化財として世界遺産に登録しようという運動もあるそうですが、特徴としては結構ローカルなものだと思います。
具体的には、

+個々の山鉾の装飾一つ一つにそれぞれ細かい由緒と物語がある
+地元の人が山鉾を保存し、展示し、出店(お守りなど)を出す
+お守り(各山鉾につき一種)にそれぞれ独自の験がある

など、ちょっと一度見てみただけでは地元の人でないとよく理解しきれない裏設定が多いのです。
(表面的には、町が歩行者天国になり、派手に大きな山鉾が町を回り、ピーヒャラ和風の音楽が町に流れ、人がひたすら沢山集まる感じですが)

京都自体がこうした、玄人に分かる背景や蓄積を多く持った町でもあると思いますし、そういう特質が京都をして「奥ゆかしい」(古語の原義として「もっと知りたいと思わせる」)場所にしているのだと思います。
このグローバル化時代、こうしたローカルなものでないと、逆に他の場所と差別化して強い印象は与えられないし、何度も見てみようという気にはさせないのかもしれません。

一方で外国人観光客も沢山来ていたようですが、山鉾の由来を説明した立て札表示なども全て日本語のため、彼らがどこまで見た目以上のことを理解しているかは疑問。
例えば山鉾ごとにその保存場所があって、そこを祭りの間だけ開放して色々な由緒の品を展示しお守りも売っているのですが、普通の狭い路地奥にそうした場所があるため、入ってよいのかどうか分からないと思いますし。
(実際そうした場所に外国人はほとんどいない)
あくまで祭りなので、地元の若者向けの場所では普通に日本のヒップホップコンサートなどもやっていたり。
普通に歩き回った印象では、

-とにかく暑い
-とにかく食い物のにおいが充満
-とにかく人が充満

で終わってしまうのではないかと感じました。

昔ビジネススクールの同級生で日本に来たことがある人に、

-すごく面白かったが、何がどうなっているのかさっぱり分からなかった

と感想を言われた(好意的に)ことを思い出します。
ネットで調べて予習して来い、というだけなのかも知れませんが。

最初の500メートル

2008-07-12 | 雑記
最近ジムに行って泳いでいます。
行く時は「今日は何キロも泳ぐぞ」と思うものですが、実際は息切れします。
マラソンでもそうだと思いますが、特に一番きついのが最初の500メートル位だと感じます。

最初のうちは、普段の陸上生活を基準に体が動いているせいか、余計な力も入る。
そのうえ、体に蓄積された酸素が枯渇していく感じがするので、ものすごく疲れる。
しかし疲れがある程度たまり、余計な酸素もなくなってくると、体が苦しくなってできるだけ楽をしようとする。
そうすると余計な動きが無くなる。
またあれこれ考える余裕も無いので頭の中が空っぽになっていく。
そのうち体が運動のリズムをつかみ、頭も体もリズムを維持することに集中するようになる。
すると特に努力しなくてもどんどん距離を稼げるようになる。
(気づいたらXキロ泳いでる、という状態)

「最初の500メートル」を例えば「最初の5年」と置き換えれば、このプロセスは仕事を覚えていく過程にも通じるものがあると思います。

最初は無駄な動きが多い。
最初はあれこれ余計なことを考える。
そのうち何が必要最小限か分かってくる。
自分でペースをある程度コントロールできるようになる。
何も考えなくても体が自然に動くようになる。
(ついでにただ泳いでいるだけでは飽きが来て、隣の芝が青く見え、他の事に関心が出てくる、という感じでしょうか)

しかしこのレベルの水泳のアナロジーでは、単に決まった動きをこなすだけで、「創造性」が言い尽くされない気もします。
(もっと早く泳ぐにはフォームやタイミングをどう変えたらよいのか工夫する、等)
運動は余り得意でないので、水泳がそこまできちんとできてない、ということでしょうね。

川床や

2008-07-11 | 雑記
非常に珍しいチャンスですが、先日京都で川床に行く機会がありました。
写真のような、川の上に座敷を作ってそこで懐石とお酒。

川床というと、市の中心部を流れる賀茂川の飲み屋などでするのが手軽で便利。
なのですが、今回は鞍馬・貴船の山奥まで行って、本格的な清流川床を楽しんできました。

奥地まで行って川床をするのは、プロコン(長短)があると思います。
さっと考えると、

<短所>
-遠い(京都駅からでは1時間弱かかる)
-二次会が出来ない
-ピーク時は渋滞で身動きがとれない
(梅雨明けがピークで、沢に沿った狭い一本道しかないため、その頃には移動に相当時間を食うそうです)

といったあたりでしょうか。
逆に長所は、

<長所>
+かなり涼しい(市内と5℃位違いそう)
+谷の沢なので、マイナスイオン満喫
+川魚が非常に美味しい
+ホスピタリティがある(駅まで送迎など)

といった感じです。
山奥も四条あたりの繁華街も両方体験したことがありますが、非日常な川床ならでは感が高いのはやはり山奥だと思いました。
賀茂川だと料理も洋風だったりするし、川にかならずしもそれほど近いわけではありませんし。
(それでも夏の夕暮れの繁華街でお酒を飲みながら美味しいものを楽しむのはすばらしいですが)

いつも「いいこと」が起きる人の習慣

2008-07-10 | 雑記
掲題の本を読みました。
(トマス・レナード、三笠書房)
以前に一度読んだことがあり、再読してみました。

原書は「Portable coach」という、アメリカではこの手の本の草分けとして相当有名な本で、ビジネススクールでもおススメの本として紹介されていた記憶があります。
(考えてみたら留学当時既に和訳版を持っていたので、買わなくて良かったわけですが)
内容は、自分を画期的に改善し充実した人生を送るためのコツを、21の法則にまとめたもの。

-"一点集中主義"で生きると不安は吹っ飛ぶ
-"直球勝負"の人ほど打率が高い

など。
良書だと思います。

とはいえ今回興味深かったのは、前回読んだときに感じた感動や「なるほどそうだ!」という気持ちが湧かなかったこと。
勿論一度読んだことがあるから、という面はあるかもしれませんが、前に読んだのはもう5年も前で、細かいことは覚えていませんでした。

何が違ったのかというと、

-21の法則の半分位まではもう実践してるかも

と思えたからでしょう。
5年前はこういう自己啓発系の本自体ほとんど読んだ事もなかったし、下っ端サラリーマンとして追い使われて目の前の現実が結構暗かったので、

-そうだ、そうしなければ駄目なんだ!

と「目から鱗」感があったのですが。
こういう本をただ読むだけでは現実は何も変わらないと思いがちですが、さすがに同種の本を累積して読んでいくと、そのうち効果があるということなのかもしれません。

いずれにしても、こういう本の正しい使い方は一種の自己啓発計測器であり、書いてあることがどの位自分にとって

-当たり前だし、既に実践していること

なのか、をチェックするために読むくらいが健全な読み方なのかもしれない、と思います。

もし僕らのことばがウイスキーであったなら

2008-06-25 | 雑記
掲題の本を読みました。
(村上春樹、新潮文庫)
作家の村上春樹氏が、シングルモルトウイスキーの聖地、スコットランドのアイラ島を訪ねる旅行記です。

アイラ島というのは、アイルランド本島に近くその北東にあり、昔から特性のあるウイスキーを産することで有名。
筆者もアイラウイスキーは大好きで何本か家に持って愛飲しているので、ぜひ将来一度行ってみたい場所のひとつです。

アイラウイスキーはその独特のスモーキーさが特色で、非常に癖のあるピート(泥炭)臭と海藻くささがあります。
島全体がピートで覆われているため川の水にもピートが溶け出すとか、醸造所が海の近くにあり海風が強いので、樽に海藻の磯臭さがしみつくとか。
有名なスコッチの多くはこうしたシングルモルトをブレンドしたものであり、そういう意味で、色で言えば原色のような極端さが感じられるお酒です。

実際に行けばまた違う印象を持つのかもしれませんが、本(文章と写真)で見る限り、アイラ島は静かで落ち着いた島のようです。
10年・100年たっても余り変わっていなそうな。
こういう島で良い酒作りを粛々やる、というのもきっとウイスキーのように味わい深い感じがします。
一方で、若いヒトは今島をどんどん出て行って、過疎化が進んでいるのも事実だそうで、じっと住むには刺激に乏しく退屈な場所なのかもしれません。
しかしだからといって変に観光地化したり、都会のマネをしていなそうな所が、この島の本当の魅力かなと思います。