PTAで「改革」「効率化」はNGワード? 会長に求められるリーダー像は
2016年5月6日 16時0分
dot.(ドット)
仕事をしていても、逃れられないPTA。無理なくこなす方法はあるのか。AERAワーキングマザー1000人委員会に昨年発足した「PTA部会」が、改革する方策を探った。
フリーのITコンサルタントで、コンサルティング会社「チェンジウェーブ」に参画する難波裕子さん(37)は今年度、小学3年、1年の子どもが通う横浜市立小学校のPTA会長を務める。初めて経験するPTA活動でいきなり会長になった理由をこう話す。
「何かを変えるのはトップにしかできない。働く親など多様な保護者が参加しやすいPTAにしていきたい」
会長を務めるにあたり、規約や過去の資料を読み込んだ。もともと立候補する人が多く、役員決めはスムーズだった。それでも、負担が多いため敬遠される委員はある。活動量を平準化したり活動内容に理解を求めたりするのは、会長だからできる役割だと感じている。
トップが変われば組織が変わる。企業ではよく聞かれるセリフだが、「前例踏襲」や「無難」がはびこるPTAは、大きなモチベーションがなければ変革しづらい。
実際、2年連続で小学校のPTA役員を務める会社員女性(44)は昨年度、仕事で培った業務の効率化のノウハウをPTAに持ち込もうとしたが、壁にぶち当たった。10人以上が集まって一から話し合う非効率さに辟易し、親しくなった役員に「結果だけ発表してくれればいいのにね」と話しかけると、同意されなかった。
「ダラダラやりたい人もいるから、委員同士では埒が明かない。変革するには、もうトップダウンしかありません」
前例を変えるときには、企業以上に気配りが必要だ。実は「改革」や「効率化」はPTAではNGワード。活動量の多さを誇る文化や、前任者の実績は、いくら非効率だと思っても否定してはならない。営利目的ではなく、あくまで協力関係で成り立っている組織。会長挨拶や会報誌のコラムでは「上から目線」にならないような配慮まで求められるという。
義務教育学校の品川区立日野学園で昨年度まで4年間、PTA会長を務めた鴇田宣一(ときたのりかず)さん(51)は在任中、700人を超える保護者に話を聞き、PTAに何が求められているのかを探った。働く親も専業主婦も参加しやすくするには、多様なニーズを聞き、小さな改善を続けることで当事者意識を持ってもらうことが大事。区長や教育長と撮った写真をあえて積極的にSNSにアップして活動をアピールしたりもした。大変だが、自己裁量の活動ができるのは会長ならでは。
「日時の調整は会長に選択権が委ねられるので、会長はマイタイムで動け、むしろ仕事との両立もしやすい」
PTA会長が「地元の名士」の代名詞だったのも今は昔、不思議なルールや前例の縛りがある組織での、新しいリーダー像が求められている。
2016年5月6日 16時0分
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仕事をしていても、逃れられないPTA。無理なくこなす方法はあるのか。AERAワーキングマザー1000人委員会に昨年発足した「PTA部会」が、改革する方策を探った。
フリーのITコンサルタントで、コンサルティング会社「チェンジウェーブ」に参画する難波裕子さん(37)は今年度、小学3年、1年の子どもが通う横浜市立小学校のPTA会長を務める。初めて経験するPTA活動でいきなり会長になった理由をこう話す。
「何かを変えるのはトップにしかできない。働く親など多様な保護者が参加しやすいPTAにしていきたい」
会長を務めるにあたり、規約や過去の資料を読み込んだ。もともと立候補する人が多く、役員決めはスムーズだった。それでも、負担が多いため敬遠される委員はある。活動量を平準化したり活動内容に理解を求めたりするのは、会長だからできる役割だと感じている。
トップが変われば組織が変わる。企業ではよく聞かれるセリフだが、「前例踏襲」や「無難」がはびこるPTAは、大きなモチベーションがなければ変革しづらい。
実際、2年連続で小学校のPTA役員を務める会社員女性(44)は昨年度、仕事で培った業務の効率化のノウハウをPTAに持ち込もうとしたが、壁にぶち当たった。10人以上が集まって一から話し合う非効率さに辟易し、親しくなった役員に「結果だけ発表してくれればいいのにね」と話しかけると、同意されなかった。
「ダラダラやりたい人もいるから、委員同士では埒が明かない。変革するには、もうトップダウンしかありません」
前例を変えるときには、企業以上に気配りが必要だ。実は「改革」や「効率化」はPTAではNGワード。活動量の多さを誇る文化や、前任者の実績は、いくら非効率だと思っても否定してはならない。営利目的ではなく、あくまで協力関係で成り立っている組織。会長挨拶や会報誌のコラムでは「上から目線」にならないような配慮まで求められるという。
義務教育学校の品川区立日野学園で昨年度まで4年間、PTA会長を務めた鴇田宣一(ときたのりかず)さん(51)は在任中、700人を超える保護者に話を聞き、PTAに何が求められているのかを探った。働く親も専業主婦も参加しやすくするには、多様なニーズを聞き、小さな改善を続けることで当事者意識を持ってもらうことが大事。区長や教育長と撮った写真をあえて積極的にSNSにアップして活動をアピールしたりもした。大変だが、自己裁量の活動ができるのは会長ならでは。
「日時の調整は会長に選択権が委ねられるので、会長はマイタイムで動け、むしろ仕事との両立もしやすい」
PTA会長が「地元の名士」の代名詞だったのも今は昔、不思議なルールや前例の縛りがある組織での、新しいリーダー像が求められている。