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いじめ隠蔽は解雇! 学校教師を“底辺の存在化”させるバッシング社会の闇

2015-08-26 09:40:00 | 憎むべきいじめ
大阪市教育委員会は、「いじめが疑われる事案の情報を被害児童・生徒側に故意に提供しなかった教職員に対し、懲戒処分を含む「厳正に対処」を明記したいじめ対応の基本方針を策定した。

目的は、わずかなサインも見逃さないよう、いじめの情報を学校や市教委、保護者間で共有し、迅速な対応につなげること。

SOSが出されながらも、自殺が原因と思われる事件は後をたたない現状をうけ、「どうにか子供たちを守りたい!」と一歩踏み込んだ“対策”に乗り出したのである。

確かに、尊い命が奪われるようなことは防がなくてはなならない。子どもが必死で出したSOSを、大人は必死で受け止めねばならない。そのための政策や制度をもうけ、それを最大限に生かす努力は不可欠である。

だが、情報がシェアされない状況を「隠蔽」と捉え、「隠蔽=懲戒」と、先生の責任に押し付けつけることで問題は解決されるのだろうか。

「故意に」という文言が記されているが、故意とはどういう状態を言うのだろうか。

「見てみないふりをする教師が増えやしないか?」ーー。そんな心配もある。以前、本コラムにも書いた通り、

「何か問題が起きるとそれに関係のある1人の先生だけがやり玉に挙げられ」、

「今の先生に求められているのは、間違いを起こさない無難な教師」を、また量産させやしないか? そう思えてならいのである。

岩手県の中学2年男生徒の事件のときを思い出して欲しい。

あのとき世間は厳しいまなざしを先生に向け、担任の先生を容赦なくバッシングした。憎むべき対象を見つけると、場外から石を投げる。「何を言われても仕方がない」とばかりに総攻撃をする。いつものパターンだ。

「これじゃ生徒殺人学校!」ーー。そう切り捨てる識者もいた。

先生にももっとできたことはあったのだとは思う。もう一歩踏み込んでいれば、最悪の事態を防ぐこともできたかもしれない。

私自身、「ここまでSOSを出しているのだから、どうにかできなかったか」と、なんとも言葉にしがたい感情に襲われたものだ。

でも、だからといって「これじゃ生徒殺人」は、少々言い過ぎ。うん、言い過ぎだと思う。

念のため断っておくが、担任の教師の肩をもっているわけじゃない。

そうではなく、教師たちに罰を与えるばかりではなく、もっと根っこにある問題に手を付けるべき。そう考えているのだ。

そこで今回は、教師の「今」について、少しばかり書こうと思う。

「学校の先生って、その……なんていうか、一番底辺の存在なんです」

こう嘆くのは、中学の理科の教師。彼は、“底辺の存在”でいることに耐えられなくなり辞めた。

「先生の仕事って“雑用”っていうか、やたらと提出書類が多い。しかも、雑用の方が優先順位が高いので、授業の準備は後手になる。夕食を食べてからしか、子どもたちのための時間は取れません。

周りからは、“毎晩、残業で大変だな”と心配されますが、僕にとってその時間はとても幸せな時間でした。これは去年やってうまくいかなかったから、こうやってみようとか。子供たちの顔を思い浮かべながら、準備するのは楽しい。僕は子供たちに理科の楽しさを教えたいと思って先生になった。なので、子どものことに集中できるその時間は、僕が僕でいるためにもとても大切な時間になっていたんです。

でも、限界です。これ以上……、耐えられる自信がない。逃げただけかもしれません。でも、一番底辺の存在で居続けることが、これ以上耐えられなくて。夢も希望もない。恐くて、逃げ出したんです」

しかも、この件の先生によれば、教師には数値目標なるものが課せられているのだという。

親のクレームの数をいくつまで減らす
問題行動をとる生徒を何人まで減らす
遅刻する子供を減らす

……そういった具合である。

文科省が昨年11月に、全国の公立小中学校451校の計9848人を対象に実施した調査で、次のようなことが分かった。

副校長と教頭の平均在校時間は小学校が12時間50分、中学校が12時間53分で、小中学校とも校長や教諭より1時間前後長い。

8割以上が負担に感じている業務のトップは「国や教育委員会からの調査やアンケートへの対応」、次いで「給食費の集金、支払い、未納者への対応」「保護者・地域からの要望、苦情への対応」だった。

なんとも……。文科省の調査で、「国のアンケートへの対応」が最も負担となっていることが明らかになるなんて、笑うに笑えない。が、それ以上にこれらの結果を受けて提示されたガイドラインは、笑えないモノだった。

校長が、学校の実態を踏まえ、学校教育目標とそれに基づく学校経営ビジョンを設定
優れた人材の確保やマネジメント能力強化のための研修の実施
教員と事務職員の役割分担を明確にするほか、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、学校部活動における指導員など、専門スタッフ等による支援の充実
校務の情報化と効率化のための教職員のICTスキル研修の実施
教育委員会による学校サポート体制の構築

etc.etc.、

これらはすべて、「学校現場における業務改善のためのガイドライン」の中に書かれていたこと。「マジ!? これじゃまた、“雑用”が増えるっしょ?」と突っ込みたくなる内容が満載だったのである。

ちなみに、この「ガイドライン」の副題は、「子供と向き合う時間の確保を目指して」。 

ううむ……どんなに脳ミソをクルクルさせても理解できない。文科省の役人はホントにこれで、子供と向き合う時間が増えると信じているのだろうか? 大学改革しかり。ガイドラインしかり。“お勉強のできる”エリートたちの考えることは、理解しがたい。

え? なに? アレについてはどう書いてあったかって?

はい、ありましたよ。アレですね。アレ。はいはい、かなりあっさりでしたけど、確かにありました。

最も負担とされた、「国のアンケートへの対応」については、

「平成20年以降、見直しに取り組んできているが、引き続き調査の見直しに取り組んでいく」

のだそうだ。

効率化、マネジメント力、リーダーシップ、明確なビジョン――。

企業経営で求められる資質を、先生たちに求める文科省。

学校って何? 先生って何なのだろう。申し訳ないけど、文科省の考えていることが私にはちっとも理解できない。

ときにオトナを必要とし、ときに一人の人間として、ときに残酷なまで感情の赴くままに行動する子供たちと向き合うことは、想像以上に難しく容易ではない。そんな個性的な人格を持つ40人近くの子供たちを統制しなくてはならない、教師という職業は極めてストレスフルな大変な仕事。そんな“戦場並み”に大変な仕事についている先生たちが想像する以上に疲弊しているのである。

“子供のために”、“子供がかわいそう”と次々と雑用が課せられ、それでもゼロにならない“事件”に腹を立てる人たちが、先生たちに厳しいまなざしを向ける。挙げ句の果てに、「隠蔽=懲戒解雇」とすべての責任を教師に課す。

子供は宝、子供は社会全体で育てよう、と誰も否定できない美徳を振りかざすくせに、

「教師は一番底辺の存在。夢も希望もない」と、教師たちを追いつめる――。

そんな社会が、ホントに子供を大切にしていると、言えるのだろうか?

そもそもなぜ、日本の教師の労働時間は、世界でも突出して高くなってしまうのか?

その背景のあるのが、「4%で働かせ放題」の制度だ。

日本の公立学校の管理職以外の教員には、給与の4%分の教職調整額が一律に支給されている。田中角栄氏が首相だった時代に設けられた特別手当だが、これがあることで、労働基準法第37条の時間外労働における割増賃金の規定が適応されず、残業代が出ない。

一方、労働時間の少ないEU(欧州連合)などは、1週間の労働時間の上限を48時間(時間外労働を含む)に制限している。

つまり、日本の教員の勤務時間を政策的に減らすには、「働かせない」制度を作る必要がある。そこに誰も手を付けようとしない。

「先生の仕事を、もっと効率化すればいいだけでしょ?」

いや、違う。子供と向き合う“仕事”に、効率化なんて言葉はもっとも縁が遠い。

「だったらどうする?」

A県教育委員会は、男子生徒に体罰を加えて左手首に骨折のけがをさせた

2015-08-26 09:38:39 | 体罰と言う名の暴行・傷害・鬱憤晴らし

学校不祥事の顛末-体罰で骨折,中学教諭を減給-

教員養成セミナー 8月25日(火)11時30分配信

懲戒行為を逸脱した体罰  刑事責任が問われる可能性も

【今月の事例】
A県教育委員会は、男子生徒に体罰を加えて左手首に骨折のけがをさせたB 市立中学校の男性教諭(49)を減給1カ月(10分の1)の懲戒処分にしたと発表した。県教委などによると、男性教諭が生徒指導を務める1年生全体の朝礼前に、男子生徒の頭髪について注意した際、胸ぐらをつかんで押し倒し、全治3~4週間のけがをさせたという。県教委は「体罰の根絶に向けて取り組んでいる中に起こり、極めて遺憾。信頼回復に全力を尽くす」と話した。
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1 体罰事案における法的責任の種類
 本事例は、「胸ぐらをつかんで押し倒す」という暴行により、生徒の「左手首に全治3~4週間の骨折」という傷害を負わせた事案です。この暴行行為は、生徒の身体に対する直接的な有形力の行使にあたり、当時の状況からしても懲戒行為を逸脱した体罰と評価されることは明らかです。

 体罰は学校教育法第11条で明確に禁止されており、体罰を行えば懲戒処分の対象となります。本事例では減給処分がなされましたが、これは行政上の懲戒処分になります。しかし、体罰をした教員に問われるのは行政上の責任だけにとどまりません。刑事罰を受ける可能性、あるいは民事上の損害賠償を請求される可能性もあるのです。

 今回は、このうち刑事上の責任について見ていきましょう。

2 体罰事案と刑事責任
(1)人の身体に対する罪
 刑法の条文に沿って、体罰に関連する罪について概観しましょう。

・傷害罪(刑法第204条)
「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」
例: 生徒の顔を平手打ちし、これにより鼓膜が破れた

・傷害致死罪(刑法第205条)
「身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。」
例: 生徒の足を蹴って転倒させ、これにより頭を打って脳内出血し、結果生徒が死亡した

・暴行罪(刑法第208条)
「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」
例:胸ぐらをつかんで揺さぶる物を投げつける

(2)本事例の検討
 「胸ぐらをつかんで押し倒す」行為は、相手を立った姿勢から床へ転倒させることになるため、危険な態様の暴行と評価できます。そして、暴行による転倒で手首骨折という傷害結果が発生しています。よって、正当防衛といった違法性阻却事由もない本事例は「傷害罪」が成立する事案であると言えます。なお、立った状態から転倒して頭を打てば、さらに重篤な傷害が発生した可能性も十分ありますし、場合によっては死に至る結果を招くことも予見されます。
 最悪の場合、傷害致死罪が成立する可能性がある危険な暴行行為であることを認識すべきでしょう。

(3)懲役刑に処せられた場合
 地方公務員法には、禁固以上の刑に処せられた場合、失職するという規定があります(第28条4項、第16条2号)。また、教育職員免許法によれば、禁固刑以上の刑に処せられた場合、教員免許は失効するという規定があります(第10条1項1号、第5条1項4号)。

 罰金刑は「禁固以上の刑」に当たりませんが、懲役刑はこれに当たります。そのため、たとえ執行猶予がついたとしても、懲役刑の判決を受ければこれらの規定に該当することになります。

 例えば「傷害罪で起訴されて、執行猶予付きの懲役刑という有罪判決を受けた」という場合、刑務所へ収監されるという実刑は避けられたとしても、失職や教員免許失効という厳しい結果が待っていることになるのです。

3 総括
 示談が成立して起訴猶予となる場合もあるため、あらゆる体罰事案について常に刑事責任が問われるわけではありません。しかし、刑事責任を問われる事態はコンプライアンス違反の最たるものです。被害者となる児童生徒のためにも、常日頃から体罰によらない指導について研鑽を重ねる必要があると思います。