院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

「早めのパブロン」

2006-11-19 09:25:20 | Weblog
 風邪気味だからと風邪薬を求められることがよくある。

 症状を聞くと、なんとなくだるい。熱っぽいといった程度である。風邪薬は基本的に解熱剤であり、咳止めであり、鼻水止めである。

 熱も咳も鼻水もない人に風邪薬は効かない。飲んでも役に立たない。

 それなのに、風邪の前兆のような症状のときに、早くも風邪薬を求める人が多い。

 これは「早めのパブロン」というCMのせいだと思う。風邪薬を早めに飲んでもムダである。風邪薬は対症療法の薬であり、風邪を根本的に治す薬ではない。

 風邪はウイルス疾患である。ウイルスに対する抗体ができるまでは治らない。そして風邪薬はウイルスには効かない。

 だから早めに飲んでも、風邪の防止にはならない。

 なんとなくだるい、熱っぽいという症状は、風邪の前兆とは限らない。疲れたときなどには誰でもそうなる。

 でも、そこで「パブロン」を飲むと、すっきりした気分になる。それはなぜか。

 「パブロン」には無水カフェインが含まれている。その作用によって、すっきりするのである。だから、漠然とした症状のときに風邪薬を飲むのは、コーヒーを飲むのと同じことである。無水カフェインは、いわゆる健康ドリンクにも含まれている。

 「早めのパブロン」というキャッチコピーは、極端に言えば詐欺的である。風邪でもない人が、この薬を飲んですっきりしたと喜んでいる。それで大正製薬はガバガバ儲けている。

 風邪薬は早めに飲む必要はない。熱、咳、鼻水が出てから飲んでも遅くはない。

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